「あっそうだ・・」
夫がおもむろに通勤鞄の中から指輪を取り出した。
手渡されると同時に、それが新しいものでないことに気付く。
「何これ?」
怪訝そうに答える私に夫は
「電車で拾っちゃったんだよ。どうしようかと思って・・・」
ひえぇっ!!
「なんで指輪拾ってうちにもってくるわけ!?」
「酔っ払ってなんとなく・・・。ダイヤかな?」
とりあえず、指輪の内側をみる。
シルバーの記載があった。
婚約指輪や結婚指輪なら送り主のイニシャルなんかが彫ってありそうだが、
何も書かれていない。
宝石を光に照らしてみると、輝きもカットもダイヤモンドではなさそうだ。
「1万円位のものだと思うよ・・・」
私が言うと、夫が言った。
「売れないな」
いったい、この男は、ネコババして売る気だったのだろうか・・・?
「冗談に決まってるじゃん」
私に睨まれ言う夫。
「とにかく、元の場所か駅の拾得物保管所に置いてきて!指輪なんか怖いよ。わざと落としたとしても、失恋の怨念とかが入ってそうで嫌だから。」
「そうだな。また戻ってきちゃったりして。ははは。ロードオブザリングみたいに。ははは」
はははじゃないでしょ・・・。
連休が明けて出勤した夫は、今日きちんと指輪を戻してくるだろうか?
再びこの家に戻ってきませんようにっ!!