永年勤続者に交付した旅行券 1年超 | 源泉所得税を専門にやってきた国税OBのブログ

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  税についての相談窓口|国税庁 (nta.go.jp)

 

 

  今日、仕事用携帯に電話が入り

  電話をとると自動音声で

  「電話料金が滞納しており・・・・」

  途中できっちゃたけど、 

 

  国番号が表示されていたから

  みると +1 844

      +1は「アメリカ合衆国」・・・びっくり

  844は「Toll Free」という無料電話・・・びっくり

 

  ネット検索すると、

  迷惑電話が頻発しているみたいですね。

  99%詐欺だそうですムキー

 

  さて、本日も

  「永年勤続表彰」関係の

  続きです

  

  

   永年勤続者に交付する旅行券

 

  当社では

  永年勤続者に対し旅行に招待する

  (連れていく)のではなく

  旅行券を交付しています。

 

  勤続年数 35年   15万円

  勤続年数 25年   10万円 

 

  そして、

  ① 旅行券の交付日から

    1年以内に旅行を行うこと

  ② 旅行をした場合、

    旅行実績を報告すること

  ③ 未使用の場合は返却すること 

  の条件を付けており、

  給与課税をしてきませんでした。

  

  ところが、一部の表彰者から

  『仕事や家庭の関係で

   「1年位以内の旅行」が

   できなかったので

   2年目以降も利用できるように

   してほしい』との要望がありました

 

  そこで、

  使用条件等の変更はしないものの

  運用として、上司の許可を得た者は

  1年を超えての旅行(使用)許可

  又は

  旅行券の返還を求めない

  ことにしました

  

  あくまでも、

  特別な理由があった場合

  上司の許可が必要としていますので

  この場合も給与課税をしなくとも

  よろしいでしょうか。

    

 

   回 答

  

  本来は、

  全ての「旅行券」を交付した

  全員に対して

  給与課税の可能性が生じます。

 

  ※使用条件は変更しないと言いつつ

   運用として変更したようなので・・・

 

  あくまでも「私見」ですが

  実態として

  多くの表彰者が

  ①~③の要件を満たしており

  原則は「返還させる」ことに

  しているのであれば

  

  1年を経過した者に対してのみ

  給与課税する必要性が生じると考えます。

  ※ 一旦返還させて、改めて交付したとして

    最初の交付日の1年経過後に

    「賞与」課税すべきと考えます。

  

 

 解 説 

        

  永年勤続した役員や使用人の表彰にあたり

  その記念品として旅行、観劇等に招待し

  又は記念品※を支給することにより、

  各人が受ける利益で、

  次に掲げる要件の

  すべてを満たしているものは

  課税しなくとも差し支えないことになっています。

  (※現物に代えて支給する金銭は含みません

 

  ① その利益の額が、

    その役員又は使用人の

    「勤続期間等に照らし」、

    社会通念上相当と認められること

  ② その表彰が、

    おおむね10年以上勤務した人を対象とし、

    かつ、2回以上表彰を受ける人については、

    おおむね5年以上の間隔をおいて

    行われるものであること

 

  これらのことから、

  

  「旅行券」や「商品券」などのように

  「換金性」があるものは

  本来は、交付した時に

  給与課税する必要があります。

 

  しかし、永年勤続記念の「旅行」に関しては

  「旅行券」を交付し

  ① 一定期間内(おおよそ1年以内)に

    旅行を実施させること

  ② 旅行実施報告書 の提出や

    旅行先を確認できる資料を徴求する

  ことにより

  例外的に、「旅行への招待」と同様に

  給与課税をしなくとも

  差し支えないとしています。

 

 

  この「旅行券」の取り扱いに関しては

  「昭60.2.15付照会に対する回答」で

  明らかにされています。

永年勤続記念旅行券の支給に伴う課税上の取扱いについて|国税庁 (nta.go.jp)

   

  当該「照会」には、

  ① ② のほかに

  1年以内に使用しなかった場合の返還

  記載があるため

  「返還がなかった」ときに

  どのように考えるかが

  ポイントになります。

    

   考え方のポイント(私見) 

  

  当初の「交付」時

  その実施方法が、

  当該「個別照会」の内容と

  かけ離れている場合は

  旅行券の交付時に

  給与課税すべきと考えます。

 

  しかし、当初交付時には

  「個別通達」に準じた方針で

  交付したものの

  後日、結果的に旅行の実施が、

  1年以内に行えなかった場合や

  返還をさせなかった時に

 

  1年以内に旅行を行い、

  旅行実施報告書を作成した者対しても

  遡って課税するのは、

  現実的ではないと考えます。

 

  源泉所得税の課税要件は

  「いつ」

  「どこで(国内・国外)」

  「誰が」

  「誰に」

  「なんで(理由)」

  「何を」

  「支払った」  

  になります。

 

  今回のケースでは

  「いつ、支払った(交付した)」か

  を考えますと

  交付したのは、表彰の時となりまが、

  その時点(交付日)では  

  課税すべきであるか

  判別できないものを

  1年後に

  「使用しなかった=課税すべきであった」として

  交付日に遡って課税するのは・・・

  ちょっと違うと思いますし

 

  また、一人が1年以内の旅行を

  しなかったといって

  全員に対して  

  交付日に遡って課税するのは

  これも違うのではないかと考えます。

 

  課税されたら

  規定通り1年以内に旅行に行った皆さんが

  納得できないですし

  特例を認められた人も

  肩身が狭くなりますよね

 

  そこで、

  1年以内に旅行に行かなかった者についてのみ

  「一旦返還させて、改めて交付した」

  考えることもできますので

  交付日の1年が経過した日が、

  「支払った」日として課税するのが

  適切ではないかと考えられます。

 

  なお、質問では

  「使用要件は変えず」としていますが

  運用として変更したなら・・・・

  

  交付時点で、課税要件が

  満たすのではないかと思います。

  危ない、危ないてへぺろ

 

 

 

   蛇足

 

  この個別照会・・・

  日本放送協会が出していますね

 

  放送協会は、該当する人全員を

  旅行へ招待したら、

  出演者や裏方の人たちが不在になり

  番組などが成り立たないから

  「各人で行って!!えーん

  なったのではないでしょうか。

 

  でも、放送協会は大所帯ですが 

  中小企業は、場合によっては1人や2人・・・

  だったら好きなところに

  家族で行ってもらった方がいいですよね

  この「旅行券」

  おおむね1年以内なので

  1~2日・・・1週間くらいの遅れには

  目くじら立てないでほしいですてへぺろ

 

   蛇足の蛇足

 

  迷惑電話、

  大概が「法的措置を」と脅して

  個人情報を抜き出しつつ

  電子マネーで支払えと言ってくるようです

 

  よくメールなどで

  A〇a〇onやア●クル、

  ビッ◎ローブ

  はては国〇庁、e-●axから

  「利用ができなくなります」

  「強制換価をします」

  「裁判所から連絡が来ます」

  ・・・・とありますが、

  わざわざアメリカからお電話をいただくとは

 

  マァ暇というか

  慌てさせて、振り込ませようとする

  魂胆が見え見えです笑い泣き

 

  

【参考】

 

 

 所得税法 第36条 

 所得税基本通達 9-23

 所得税基本通達 28-5

 所得税基本通達 36-21

 

 

国税庁HP 

  

永年勤続記念旅行券の支給に伴う課税上の取扱いについて|国税庁 (nta.go.jp)

 

 タックスアンサー

 No.2591 創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき|国税庁 (nta.go.jp)

 

 

  給与所得の範囲

04.pdf (nta.go.jp)

 

  税大論叢

  所得税制度における非課税所得のあり方

03.pdf (nta.go.jp)

 

 税務訴訟資料第259-32

 福岡地方裁判所平成21年2月19日 

「経済的利益や非課税の旅費などの参考裁決」

11145.pdf (nta.go.jp)

 

 

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