報酬・料金等の源泉所得税 の計算方法(手取計算) | 源泉所得税を専門にやってきた国税OBのブログ

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  税理士の米森です。

 

   先週の「源泉所得税」の算出のなかで

  手取計算を紹介しました。

 

  すっと流して

  紹介しましたので

  今日は、

  もう少し計算方法の違いを紹介します。

 

 

 報酬・料金等の源泉所得税の方法 

 

 源泉徴収の必要となる 「報酬・料金等」には

 

 1 報酬・料金等に税率を掛ける

 2 報酬料金等から一定の金額を控除した額に税率を掛ける

 

 この二つの計算方法があります。

 

 そして

 「1 報酬・料金等に税率を掛ける」 は

  いわゆる2段階税率が採用されており、税率は

  ① 100万円までは10.21%

  ② 100万円を超える場合には、超えた部分に20.42% となっています。

  

   先日少し触れた、「プロゴルファーの業務に関する報酬・料金」などが該当しますね。

 

  具体的には、「報酬・料金等」の額が

  150万円の場合の

  源泉徴収すべき所得税額は

   ① 100万円×10.21%=  102100円

   ② (150万円 -100万円)×20.42% = 102,100円

   ①+②=204,200円  となります。

 

 

 「2 報酬料金等から一定の金額を控除した額に税率を掛ける」の方は

  控除額はその「報酬料金」によって異なりますが

  税率は10.21% 一本となっいます。 

 

  先日の「広告宣伝のための賞金」などが該当します。

 

 

 

 手取計算(グロスアップ)の方法 

 

 例えば、講演に来ていただいた先生に

 その場で「お礼」を渡すときなど

  「切りのいい金額を渡したい」

 「封筒にはお札だけ入れたい」 と

 考えられることもあると思います・

 

 そんなときの計算方法が

 いわゆる「手取計算」とか

 「グロスアップ」といわれる計算方法です。

 

 「1 報酬・料金等に税率を掛ける」 場合で

    税率が10.21%のみの場合

    手取金額 ÷ 0.8979 = 支払金額

    支払金額 - 手取金額 =源泉所得税額

    検算 : 支払金額×10.21%=源泉所得税額

 

   例)手取金額10万円

    10万円 ÷ 0.8979 = 111,370円 (支払金額)  

    111,370円  - 100,000円   = 11,370円 (源泉所得税額)    

    検算: 111,370円 × 10.21%  = 11,370円  ( 〃 )

 

 

 「1 報酬・料金等に税率を掛ける」 場合で

   いわゆる2段階税率が採用されたの場合

    (手取金額-102,100円) ÷ 0.7958 = 支払金額

    支払金額 - 手取金額= 源泉所得税額

    検算

     (支払金額 -100万円) × 20.42% + 102,100円※ =源泉所得税額

      ※ 102,100円は、100万円の源泉所得税額

         100万円 × 10.21% = 102,100円

  

   例)手取金額150万円

    (150万円 - 102,100円) ÷ 0.7958= 1,756,597円 (支払金額)  

    1,756,597円 - 150万円 = 256,597円 (源泉所得税額)

    検算

     (1,756,597円 - 100万円) × 20.42%  

            + 102,100円  =  256,597円( 〃 ) 

    

 

 

 「2 報酬料金等から一定の金額を控除した額に税率を掛ける」の場合

    (手取金額 - 控除金額)  ÷ 0.8979 + 控除金額 = 支払金額  

    支払金額 - 手取金額 = 源泉所得税額

    検算 : (支払金額 - 控除金額) × 10.21%=源泉所得税額

 

 

   例)手取金額10万円(司法書士の場合)

    (10万円 - 1万円) ÷ 0.8979 + 1万円 = 110,233円 (支払金額)  

    110,233円  - 10万円 = 10,233円 (源泉所得税額)    

    検算: (110,233円 - 1万円) × 10.21%  = 10,233円( 〃 )

 

 

   

 

  ここで一言  

 

 先の「1 報酬・料金等に税率を掛ける」の例示

 150万円報酬・料金に対し、

 2段階税率をかけたケースでは、

 

 源泉所得税額 204,200円を控除した

 150万円 -204,200円 =1,295,800円 が

 本人に支払われることになります。

 

 しかし、グロスアップ計算の時には

 150万円が支払われ

 納税する源泉所得税額も 256,597円 となります。

 

 支払う側としての負担は

 256,597円 多くなるわけです。

 負担額として・・・随分多くなります。

 

 

【税務調査とグロスアップ】 

 税務調査等が入って、

 源泉徴収漏れの支払いを指摘された場合には

 源泉徴収を漏れた

 所得税(源泉所得税)を納税することになります。

 

 その際「契約」「源泉所得税込み」又は

 「手取りで」と記載されていた場合は

 「手取計算」により

 源泉所得税額を計算し納税することになります。

 

 しかし、特にそのような契約でない場合は

 通常の税額計算をした上で、源泉所得税を納税し

 報酬を支払った先に対して、

 源泉所得税分を請求することになります。

 (税額分を取り戻す必要があります)

 

 この場合

 取引先が海外であったり

 単発の取引であったり

 徴収を言い出しにくい相手だった場合はどうしますかはてなマーク

 

 取引が続いている先なら

 次回の支払時に精算することもできますが、

 なかなか連絡がつかない場合は、どうされますかはてなマーク

 

 この「源泉所得税」をもし

 「徴収しないこととした」場合

 「徴収しないこととした時」が

 当該報酬等の「追加払いしたの日」・・・「支払った日」となります。

 

 この「源泉所得税額」を手取額として

 再度源泉所得税を計算し

 「追加払いした日の翌月10日」までに

 納付する必要がでてきます。

 

 

 源泉所得税の調査になれている調査官は

 前回の調査実績を把握して

 こんなところもチェックしますよウインク

 

 

 

  参考 

 

所得税法第204条

所得税法第205条

所得税施行令第320条

所得税基本通達204-10

所得税基本通達205-9

 

所得税基本通達181~223共-4

所得税基本通達181~223共-5

 

国税庁HP 

タックスアンサー

 「報酬・料金などの源泉徴収」

 報酬・料金などの源泉徴収|国税庁 (nta.go.jp)

 

 No.2792 「源泉徴収が必要な報酬・料金とは」

   https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2792.htm

 

 No.2792 「源泉徴収が必要な報酬・料金とは」の「手取契約の場合の計算方法」

 No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁 (nta.go.jp)

 

 No.2798 「弁護士・税理士等に支払う報酬・料金」

 No.2798 弁護士や税理士等に支払う報酬・料金|国税庁 (nta.go.jp)

 

 No.2801 「司法書士に支払う必要な報酬・料金」

No.2801 司法書士等に支払う報酬・料金|国税庁 (nta.go.jp)   

 

 

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