2月5日
Fちゃん、
お誕生日おめでとう
誕生日前夜
辛い毎日が続いたFを
Aさんと私は
川の字の真ん中にして眠った。
朝、ぐっすり眠って目覚めたFは初めて抱いた時と変わらない真綿のような頬を少し赤くして
「母さん、
私を生んでくれてありがと。」
と言って ぷくっと毛布を被った。
私が
「お誕生日おめでとう。
今日まで元気に育ってくれてありがとぉぉぉぉぉ!
Fちゃ~~~~~~ん!!」
と言いながら
重ね布団みたいに両手にくるんで
「Fちゃん、母さんは自分の命に代えてもFちゃんを守っていくからね。
これから、どんな壁にぶつかっても それだけは忘れないで。約束、ね。」
と言ったら、Fは唇をタコみたいにしてふざけ、また布団に潜り込んだ。
お祝いはFがずっと行きたがっていたホテルのレストランで。
窓辺に置いたスパークリングワインの、グラスを上る泡を眺めながら
お気に入りのリボンを付けてアイスクリームを頬張っていたFを想った。
ふと、
「Fちゃん、どんな23歳にしようと思うの?」
と聴いてみた。
Fは
「ん~、そうねぇ、」
とほんの少し考えてから
ニコッと笑って
「ん!!がむしゃらに生きる!がむしゃらに生きてみる!
去年は入社前で夢いっぱいだったけど、
今は早起きして会社に行って、一生懸命仕事して、また帰ってきて、また早起きして・・・の連続。
だからね、あんまり悩まないで ともかく
がむしゃらに生きてみようと思うの。」と言った。
そして、
ホテルの庭に続く石段に出るとき、
「あっ、少しだけどね、
ほんの少しなんだけどね、
春がきた時の匂いがする~!」
そう言って とことこと
我が家のカメラマンNがいる赤い太鼓橋の庭に向かって歩いて行った。
F23歳、
私達のFに幸あれ・・・
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