『立春大吉、春遠からじ・・・』 | From With

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子供達に、幸せの見つけ方、教えてあげたい・・大丈夫。隣りにいるから。あなたの周りは、ほら、幸せがいっぱい!!(自宅を色んなお子さんに開放して14年。問題のある子 無い子皆一緒に 同じ時代の同じ時間を生きていきたいな~!一歩一歩、 丁寧に・・)





Fに笑顔が戻った。
「ただいまっ・・・」が
「ただいま~」になった。
















昨年秋頃から
直属の上司からの期待なのか無茶なのかハードルの高い仕事を山積みされ


同期の華やかな合コンにも乗っていけずで気持ちのやり場の無いFだった。


特別連休のアメリカ旅行明けには休暇中に溜まった仕事に加え難題まで持ち上がり、この一週間は毎朝5時起きで出社。


Fの心も身体も悲鳴を上げていた。


見兼ねた先輩が課長に現状を伝えてくれるも課長の反応は


「いやいや、彼女はやる気満々。自分を成長させようと頑張ってるんだよ。


今年の新人は
あの氷河期を潜り抜けてきたんだからね!!
逸材だよ!!」


と、話の軸から脚本が違う。


「今年の新人は」
「氷河期を潜り抜けてきた今年の新人は」


どこに行っても枕詞付きの紹介でスタートラインにハンディキャップが付いてきた。


そんな日々
「理想と現実」という大題目の中で自分を見失うことに怯えFは段々と無口になっていった。


そのFが先日就活生のOG援助に駆り出されたのをきっかけに、少し自分を取り戻すきっかけを掴んだように見えた。


友人関係で酷く傷ついた同期を支えることでF本人にも新しい力が湧いてきたように感じた。












昨夜、Aさんと私にFは
週明けの面談で課長に悲鳴を上げると話した。


「現状は私のキャパを越えています。どうか仕事の在り方を見直して下さい。」と伝えることにしたのだそうだ。













「今日も不機嫌で帰るんでしょうねぇ。」


「豆まきなんて、余計に疲れさせちゃうんじゃないかしら・・・」


そんな言葉を交わして帰宅を待っていた私達に


「ただいま~。
お豆、これねっ。」
と言って


Fは準備していた白木の箱からガサッとお豆を握り取った。


そして、
月と星が金に銀に輝く夜空に向かって力いっぱい豆まきをした。


もう 日付も変わろとする夜の庭で鬼退治とばかりに力いっぱい豆まきをした。
















22歳最後の今日。


立春に生まれた子が
節分ける日に
自分の一歩を踏み出した。




「立春大吉」



きっと
春、遠からじ・・・と願う。


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