『ポテトチップと六法全書』 | From With

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子供達に、幸せの見つけ方、教えてあげたい・・大丈夫。隣りにいるから。あなたの周りは、ほら、幸せがいっぱい!!(自宅を色んなお子さんに開放して14年。問題のある子 無い子皆一緒に 同じ時代の同じ時間を生きていきたいな~!一歩一歩、 丁寧に・・)

また、息子の話になりますが、家族の記録として 書き残しておこうと思います。


息子は お陰様で学校推薦で無事大学受験を終えることが出来ましたが、


必要な人達にお伝えしたところ、少なからずの方々から


「推薦チャレンジは さぞ大変だったでしょう。皆さん ピリピリして、いじめに繋がったりもしますものね。」


「一緒にエントリーしたお友達と ギクシャクしなかった?大丈夫?」


「推薦合格の子は、みながスパートかけるこれから、居住まいが悪くなるらしいから 気をつけてあげてね。」


とご心配下さる内容のメールが届きました。


確かに エントリーから発表までの1ヶ月は 息子本人も私達家族もピリピリ ソワソワしましたし、


これはエントリーされたご家庭は皆さん同じだったと思います。


また、どの学校でも推薦入試のルールに従って、エントリー者も合格者も公式には発表されません。


多分、ご心配下さったメールのような事を懸念しての事かと思われます。







息子の学校は
一学年にあるクラスも少ない小規模な私立中高一貫校で、高校からは募集致しません。


ですから、6年間 思春期の多感な時期を同じ仲間と過ごすことになります。


また、
取り敢えず受験校ですが、
いわゆる(受験向けの勉強)は皆無に等しく、


先生方の 趣味嗜好で組まれたカリキュラム(?!)が

先生方の ご満悦の授業でこなされていく6年間です。


そして、教育理念である
「自由と責任」は


13歳から18歳という
子供から青年への成長の過程において


時に暴走し
時に謳歌されながら


沢山の大切な事を
彼らに教えていくのです。

世の中の(競争)から身を守らた彼らは


お互いをお互いの教材として「人」を学び、


「学校という場所」の温かさ、


「先生という人」の豊かさを その若い心に刻みつけていきます。


そんな環境で兄弟のように育つ息子達ですので、


推薦入試に関しましても、エントリーした人は たいてい自らオープンにし、


発表前は
「だれが合格しても 恨みっこ無しな!!
仲良くやっていこうな!!」

と 声を掛け合った次第でした。


それでも、
いざ自分が合格してみると、


「きっと 随分と落胆してるだろうな・・・。


Y太は、あんなに行きたがってたからな・・・」


と、皆の事情を知るだけに、お友達の事が心配でならない息子でした。


合格の通知を受け取った翌日、


(不合格だった友達に
どう声を掛けたらいいだろうか・・・)
と思案しながら息子は登校しました。


公式には発表されませんので、確かに難しい立場だつたと思います。


私も 息子よりも 
不合格となったお友達のこと、そのご家族のことを想い、


その日は 落ち着かないまま息子の帰りを待ちました。







息子はWith Roomの最後のレッスンに合わせ、夜7時過ぎに帰宅し、


2階の教室から降りて来た私に いつものように
「お疲れ!」
と声を掛けました。


それから、鞄からごそごそと 四角い物を取出し 私の手の上に載せました。


ズシッと重たいそれは


なんと


『ポケット 六法全書』









「これ、
みんなからのサプライズ!

100円ずつ出し合って
お祝いに買ってくれたんだって!」








友達関係がギクシャクしなかったか心配するばかりで

この思ってもみなかったプレゼントに呆気にとられていた私に


息子が持ち帰ってくれたのは
こんなお話でした。











その日、
複雑な思いで息子が登校すると、


すれ違う友達、
すれ違う友達が


「おめでとう!! Nさん!!

(息子は 先生にもお友達にも 名前に”さん“ を付けて呼ばれています。)


君に決まったんだって!!
やったな!!」


「Nさん、おめでとう!!

良かったな!!」


と 声を掛けられたそうです。


びっくりして どうして知っているのか聞いてみますと、


なんと あのY太君が 友達みんなに知らせたらしいのです。


小さな学校です。


それは あっという間に広がり、息子を知る後輩の皆さんにも伝わりました。


そして、親友のK君に
「昼休みに 学食で待ってて。」と言われ 一人広い学食で待っていると、


クラスのお友達が
ぞろぞろと集まり、


山の様に盛り上げられたポテトチップスと備え付けのお水で乾杯!!


ささやかに、
盛大にお祝いしてくれたのだそうです。


そして、
「これだけじゃあ面白くないから」と


急遽 みんなのお小遣いが掻き集められ、近くの書店へ走り、


法学部生の必読書
『ポケット 六法全書』
をサプライズプレゼントに買ってくれた、ということでした。









先日、高校最後の保護者会で校長先生がこんな事をおっしゃいました。


「我が校も 世の中の流れにのって行かなければならない事は重々承知しています。


受験に必要な事を前倒したカリキュラムにすれば生徒達の受験も より確かな手応えを得られる事も承知しています。


しかし、それをしてしまったら 我が校が我が校でなくなってしまいます。


教育も学問も 直ぐに結果の出るものではありません。


点数で計る教育を施された子供達は
点数で計る大人になってしまいかねません。


教師が生徒達を愛し、
責任ある自由を楽しみ、
そして嬉々として学問をする姿を見せ、


その懐の中で育つ生徒達の成長を信じる教育。


思春期に受けたこの教育は何年、何十年の時間の向こうに実るものであると信じ、


我々 教師陣は これからも 我が校が我が校たるべき教育を貫いてまいりたいと思います。」


とおっしゃいました。


そして、
集まった父兄から 大きな拍手が沸き上がりました。









~ポテトチップと六法全書~







これが、
息子の中高6年間の
(財産)となり、


もうすぐ母校と呼ぶ学校の
教育の(証)となりました。





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PS 1

息子の受験に関して
忘れてはならない事を追記させて頂きます。


その日、息子はあるお友達から こんな事実を知らされました。


「Nさん、君が志望校を変更して推薦にエントリーするのは 余程の理由があるんだろう、と思って、


僕はエントリーを取り止めたよ。


だから、僕の分まで頑張ってくれな!!」


このお友達は 学年きっての秀才で、アメリカの優秀な大学に留学されるご予定です。


でも、その前に日本でしっかり学び、それから留学というシナリオで


ひとまず推薦で進学し、粛々と次の受験に備えるおつもりだったそうです。


もし、彼がエントリーされていたら 間違いなく彼が合格していたはず・・・


ご本人はもとより
ご両親様も きっと そのおつもりで先々のビジョンを描かれていたことでしょう。


発表前に知らせて下さっていたら 「こちらのことは気にせず」とお伝えすることも出来たのに・・・と思いながら、


この息子の受験が


深い 深い友情に支えられ、そこに実った果実であったことを


心からの感謝と共に
胸熱く実感した私達でした。


PS 2

主人の治療開始のための入院が決まりました。


息子が落ち着きましたので、来年を繰り上げて12月9日からとなりました。


何が待っているのか分かりませんが、家族四人、


心一つに
力一つに合わせて
頑張っていくつもりです。

どうぞ 皆さん
これからも宜しくお願いいたします。


(息子の事、主人の事が決まり、その準備などで毎日バタバタと奔走しています。


皆さんのところに なかなかお邪魔できませんこと、どうぞお許し下さいね。)