2つの初恋がありました。



小さな両の手のひらに 木の実をいっぱいのせて



耳元でそっと 僕の名を呼んだ君。



でも 



なんか勢いよく 振り向いちゃったから



君はびっくりして 全部 落とした。



ぽろぽろと 教室の床を転がっていく 木の実たち。



あっ! と思って 



僕は 急いで 拾ったけど 



「ごめんね」 と だけ言って



全部君に 返しちゃったよね。



恋なんて 一回もしたことが無かったから



僕のことを好きになってくれたなんて



全然 わからなかったから。



それでも君は 笑ってた。




女の子は 泣いていた。



でも 



おばあちゃんは 笑っていた。



「・・・ほんとうに しんじゃうの?」



「うん」



「もう あえない?」



「どうだろうね。 いつか きっと 会えるんじゃないかな」



しわくちゃな手が 小さな両手を 包み込む



「元気な 優しい女の子に育ってね」



おばあちゃんは にっこりと 微笑んだ。



3万日後



おばあちゃんに会う日が やってきた。



お話したいことが たくさんあるんだよ



見せたいものも たくさんあるんだから



今までで一番 穏やかな気持ち。



でも



目の前にいる



女の子は 泣いていた。














引っ越した日に



アロエの鉢を買いました



ひとり暮らしの 記念になればと・・・。




棚の隅っこに売られてた



大きな大きな鉢



汗びっしょりかいて



家まで 歩いて運んでいった




毎日水あげて、毎日眺めて



雑草もきれいに抜いて 大事に育てたね




いつのまにか 



一人暮らしの記念日が 



どんどん遠くなってしまった



毎日友達が来て 毎日遊んだ。




ずっと前から 気がついてたけど



ずっと前から 知らないフリをしていた



枯れたアロエ鉢がベランダに転がってた




茶色くなって。



葉っぱがちぎれて。




水をあげなくなってから どのくらい経つのかな



どのくらい 僕を待ってたのかな



どのくらい 生きられたのかな・・・。




それすら 僕には言う資格なんてないけど



――ごめん。




君を買った日に



ドアの前で一回だけ落っことした



その時折れた 葉っぱの跡が



今どこにあるのか 分かんなくなった






その日 世界の その場所で

              アロエ  買った日