【第16話 五大元素】 | 【ルシファーといっしょ】


ルシファー「さやちゃん、この大きなダンボールなぁに?お引越しするの?」

さやか「んな訳ねーだろwww大掃除中にな、金になりそうな不用品が沢山出てきたから

     売り払う事にしたんだ」



ルシファー「へぇ、どんなもの?」

さやか「主にアニメグッズだ、プレミアになるもんは入ってねぇが

    結構な数入ってるからな、それなりの値段になるだろ」

ルシファー「…ふぅ~ん」



ルシファー「この中に入ってるものがお金になって戻って来るんだぁ…」ふみふみ

さやか「ふーむーな、中の物に傷がついて査定に響いたらどうすんだ」



ルシファー「やっぱり状態が悪いと査定に響くんだ?」すとんっ!

さやか「当たり前だろ、だから思いっきり座るんじゃねぇバカ野郎」

ルシファー「大丈夫だよ、僕軽いもん♪」




ルシファー「それじゃぁさやちゃん、四大元素のお勉強が終わった今、

       僕達が次に勉強すべきなのは五大元素…何を指しているかは分かるね?」

さやか「ああ、四大元素の勉強中にちょこちょこ話に出て来てたからな

    今まで勉強した四大元素にもう一つ、『エーテル』を加えたものを五大元素って言うんだろ」

ルシファー「その通り…でも、僕はその五大元素を説明する前に

       一つさやちゃんに言っておかなくちゃいけない事があるんだ」

さやか「…何だよ?」




ルシファー「今まで僕達が勉強して来た四大元素は厳密には

       『アリストテレスの提唱した四大元素』なんだ」

さやか「…?すみません、もうちょっと分かりやすくお願いします」

ルシファー「つまり、四大元素は火、風、土、水っていう見解は同じなんだけど

       それぞれ4つに対してのものの考え方が先人達によって違いがみられるって事」

さやか「私達は数種類ある四大元素の考え方の中で

     アリストテレスが提唱した考え方にそって勉強して来たって事か?」

ルシファー「その通り、魔術で応用されるのは主にアリストテレスの提唱した四大元素だからね」

さやか「…でもどうせ他の四大元素の解釈も大したことないんだろ?」


ルシファー「エンペドクレスなんかは四大元素に『愛』と『憎』の力を付与し元素の増長減少を定義したし

        プラトンは『地は正六面体』『水は正二十面体』『空気は正八面体』『火は正四面体』

        って分けたし宇宙を構成する元素(エーテル)については『正十二面体』に区分したけど

        どうする?さやちゃんが大した事ないと思うならやるけど…」

さやか「ごめんなさいもう口挟みませんルシファー大魔王様」





ルシファー「…という訳で僕達が今まで勉強したのはアリストテレスの四大元素だから

       五大元素のエーテルも、アリストテレスの解釈に沿って進むよ」

さやか「はーい」


ルシファー「四大元素、火、風、土、水は君達人間の住む地上(地球)を構成する要素だったけれど

       エーテルは天体を構成する要素として定義された」

さやか「…うむむ、やっぱり今一分かんねぇ」

ルシファー「以下にエーテルを分かりやすく定義した文章を掲示したから読んでみて?」

さやか「…どれどれ?」


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①アリストテレス以前の古代ギリシアにおいてのエーテル

・大気の上層=空~宇宙のこと

・雲や月の領域=宇宙のこと

・ゼウスの領域(ギリシア神話における全知全能の神、宇宙を支配する)=宇宙のこと

・エーテルの意味は「常に光り輝くもの」で、

 転じて太陽や星といった地上を永久に輝き照らす(循環する)様子として表現された=宇宙の事

・死んだ者の魂が行きつく、死後の世界=霊界

・地上が有限の性質を有するならば、

 宇宙なるエーテルは無限の性質を有する、永遠に続いて行く世界=宇宙、霊界

 (空の星が永遠に回る事から宇宙は無限であると連想した)

これらの事から、空や宇宙空間、永遠的な世界を示す言葉である。


※ちなみに当時における宇宙と霊世界はある程度同意語

 現在の私達は霊世界と宇宙を同一視しない。

 (宇宙飛行士が帰って来た時、『あの人霊界行って来たんだ…!』なんて思わない)

 だが古代において、惑星や星々のある宇宙空間は霊界とある程度同一的見解が成された。

 (星は1日1日…永遠に空を巡っていく、その永遠性から死後の永遠の世界と同一視された)

 現代でも子供に死を伝える際に『○○はお星様になったんだよ』というのはその名残かも知れない。

 人が死んだ際に24時間線香を絶やさないのは、線香の煙が空へ上って行くのを見て

 死者の魂が迷うことなく、天へ上る為であり、途切れると道を見失って迷子になるという話もある。

 今でこそ、宇宙は霊界ではなく、物質世界の一部として科学的解明が進んでいる。

 しかし魔術的分野では、今なお宇宙の神秘性、霊的性質を認めている。

 だいいち科学は宇宙のほとんどを解明出来ちゃいない。

②後のアリストテレスは、これらを踏まえた上で


宇宙や天体を構成する要素としてエーテルを当てはめた。

エーテルの性質を「不変の永遠に回転し続ける性質」とした上で次のように考えた。

私達が空を見上げると、星がゆっくり動いて、毎日毎日絶え間なく永遠に回って行くのも

全てはエーテルという天体を構成及びコントロールする元素が導く事によって

星が巡っているのだと考えた。


※輪廻転生もこのエーテル(霊界/宇宙)の「永遠循環」の理念から来ているのかも知れない。


*****今日のポイント*****


ルシファー「分かった?」

さやか「うん…何となく…いや、あんまり分かって無いかも…」

ルシファー「…心配しないで、さやちゃん、エーテルについてはこれから先

       復習する機会が沢山あるから、ゆっくり時間をかけて理解して行こう?」

さやか「…でも…」




ルシファー「今日のポイントはこれだけ覚えておいてくれればいいからさ♪」


①エーテルは天体(宇宙)を構成する元素(力)であり、四大元素に足される事で五大元素となる

②死後の世界(霊界)だとか、霊的、魔術的、オカルトチックな意味合いもあるらしい


さやか「…でも、もう私自信ない…こんな基礎的な事すらよく分からないなんて

     こんなんじゃこれから先もっと複雑になった時の事を考えると怖い…」


ルシファー「…?

       何言ってるの?

       基礎的な事が一番難しいんだよ?

       基礎が一番容易で、応用になるにつれて難しくなると勘違いしてない?

       見た目の複雑さに惑わされちゃいけないよ?

       何も知らない0から基礎の1を築くのが一番の最難関なんだよ?

       応用で1を10に、10を100にするのなんて簡単だからね?

       男と女がいれば、ほっとけば人間は簡単に増えて行く…これは応用。

       何もない状態(ゼロ)から男と女(1セット)を作る基礎は?これって簡単じゃないよ?

       全知全能の神が6日間もかけて全宇宙を創造し、環境を整備して

       やっとこさ男女の人間を作り出したあげく、7日目は疲れて休んでるんだよ?

       これでも0から1を作る基礎が安易で応用が複雑だなんて言える?」


さやか「…じゃぁ、今やってる魔術の基礎が一番難しい?」

ルシファー「そうだとも♪君は魔術の勉強を始めたばかりでありながら

       それでいて一番難しい事を勉強しているんだ

       だから分からなくて当然だし、これからも沢山分からない事に直面して行く

       でも大丈夫、さやちゃんなら絶対乗り越えられるよ!」



ルシファー「だって優秀なお師匠様である僕が付いてるんだから!」


感動的ラストで第16話はこれで終了…かと思ったら。



美弥伽「うにゅ♪」





美弥伽「ルシ兄(るしにぃ)が一つ皆に伝える事を忘れてるので

     我輩が皆に教えてあげるのだ♪」


美弥伽「エーテル(天/霊/空)」を表す記号は以下の通りなのだ♪

     今までの四大元素とはだいぶ形が違うのだ」




重要な事を教え忘れている優秀なお師匠様、ルシファーであった。


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次回【第17話 未定】

※黄道12宮と黄道12星座について講義する事は決まってるんだが

 カリキュラム(講座の構成)が上手いことまとめられずただいま奮闘中。

 「これは今勉強しなくちゃ駄目」「こんなのは後で別に講義すりゃいい」

 この2つが中々区別できず、計画を立てられずにいる。