魔女とレヴィ第8話 暗闇を照らすもの 


 薄く笑うレヴィの頬に、朝の光が淡く触れた。


「レヴィ? 寝てるの?」


 不意に影がのぞき込み、百合夜が心配そうに首を傾げていた。


 レヴィはゆっくり目を開く。


「寝てない。妖精は眠らない。……少し意識を閉じていただけだ」


「そっか。でも顔色、悪いよ?」


 百合夜はそう言って、レヴィの前髪にそっと触れた。


 その指先が、かすかに触れた瞬間――


 胸の奥で渦巻いていた黒い影が、音もなくすうっと溶けていく。


(……ああ、まただ)


 焦げつくようだった心の奥が、静かに、淡くほどけていく。


 百合夜は気づかず、やわらかく笑う。


「レヴィ、大丈夫?」


 レヴィは言葉を失いかけた。


 あまりに心地よくて――
 このまま委ねてしまいそうで。


「……ああ、問題ない」


 そう言って体を起こす。


 その背中には、わずかに光が戻っていた。


 百合夜は朝食を整えながら振り返る。


「レヴィ、今日ね、町の花火大会があるの。
 大樹が“レヴィと行く!”って、すごく楽しみにしてて……行けそう?」


 その瞳には、隠しきれない心配が揺れていた。


「ああ、大丈夫だ。……気分は良くなった」


 レヴィは胸に手を当て、深く息を吐く。


「よかった。じゃあ浴衣、準備しなきゃ」


 百合夜はぱっと笑った。


 その笑みは、朝の光みたいに部屋を明るくする。


 レヴィはその横顔を、しばらく見つめていた。


 ――どうして、この人のそばだと楽になるんだろう。


 答えは出ない。
 ただ、心地いい。それでいい。


「レヴィっ! 行くんでしょ!」


 勢いよく大樹が飛び込んでくる。


「こら大樹、今はだめ。
 レヴィは疲れてるの。夕方まで休ませてあげなきゃ」


 百合夜が軽く笑ってたしなめる。


 むくれる大樹がレヴィの腕にしがみつき、
 百合夜はその光景をふんわりと見つめた。


 ここにある、あたたかいもの。


 肩の力が、自然に抜ける。
 この、なんでもない時間。


 レヴィは夏の残り香を胸いっぱいに吸い込み、
 “いまこの瞬間の心地よさ”を、そっと心にしまった。


https://ameblo.jp/witch-levi/entry-12942795404.html


初めての方はこちから、

第1話です。


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