第2章 第2話 凍りついた扉 


「地下ね」


シンシアは階段を指差す。


「この下よ」


「俺が行く」


レヴィが一歩前に出て、先に階段を降りた。 


「扉が……!」


ノーランが息を呑む。


「凍りついてる……何なの、これ」


レヴィがそっと扉に触れる。


「……微かに結界が残っている」


手を離し、状況を読む。


「そのおかげで、冷気はここで止まっている」


レヴィは静かに手を上げた。


 Gaoth, éist liom.(風よ、聴け)


次の瞬間、城全体が――
淡く、呼吸するように光を帯びた。


「……これは」 


ノーランが、思わず声を漏らす。


「城全体に結界を広げた」


レヴィは短く告げる。


「……開けるぞ」


凍りついた扉の結界を解除した、その瞬間。 


――轟、と。


押し込められていた冷気が、一気に吹き出した。


扉の奥――


青銅の鏡の前に、黒い人影が立っていた。


「……っ」


レヴィは反射的に一歩前へ出て、シンシアを庇う。


「おいおい……」


ライが舌打ちする。


「出てきちゃってるじゃん」


掌に、炎が灯る。


「帰りたい……」


低く、擦れるような声。


「なぜ……戻れない……」


黒い影は、訴えるように
静かに、何度も鏡の縁を撫でていた。


「あなた――戻りたいの?」 


シンシアが、慎重に問いかける。





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