魔女とレヴィ 第8話 闇を照らすもの 


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 空いっぱいに光の輪が広がり、夜が一瞬だけ昼に戻ったみたいだった。


 レヴィは大樹を肩車し、その小さな身体をぐいっと支える。


「レヴィ! すごいね〜! おっきいね〜!」


「危ないから、ちゃんと掴まっていろ」


「ママーーー! 滝みたいな花火ー! きれいだねー!」


「ほんと、綺麗だねぇ……」


 百合夜はふたりを見上げながら、胸の奥がきゅっと縮むのを感じた。


 光の雨の下で笑う大樹。
 その隣に、当たり前みたいに立っているレヴィ。


 ――あの人とは、こんな夜を一度も過ごさなかった。


 たった一枚の置き手紙を残し、すっと世界からいなくなったひと。
 忘れたいのか、忘れたくないのか。
 そんなことを考える余裕すら、あの頃はなかった。


 花火がぱらぱらと落ち、薄い光が頬を照らす。


「……どうかしたのか?」


 レヴィが大樹を抱き上げたまま、横目でそっと覗き込む。


「なんでもないわ。秋が近いからかしら?
 ちょっと感傷的になっちゃっただけ」


 百合夜は、夜風に揺れる花の匂いみたいな笑顔で、静かに微笑んだ。


 レヴィが庭に現れて、もう十ヶ月が経つ。


 人ではない。
 魔力の形を借りて、世界に存在しているだけの――掴めないもの。


 明日にはいなくなるかもしれない。
 そんな不確かさを抱えた存在なのに、
 ふとした瞬間だけ落としていく温もりが、どうしようもなく心に触れてくる。




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