第7話 妖精の夏休み 


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「レヴィ、荷物、車に積んでくれる?」

「これ全部か」


 レヴィは無駄のない動きで、淡々と積み込んでいく。


「そろそろエルさんとライくん来るかな?」

 百合夜が庭へ目を向けながらつぶやく。


「レヴィ〜、ミステリーサークルが〜!」

「大樹。何度言えばわかる。あれはフェアリーサークルだ」


 またひとつ、静かなため息が落ちた。


「よー大樹〜、待たせたな!」

 ライが片手を挙げて駆けてくる。


「キキさん、いつもお招きありがとうございます」

 エルは丁寧にサンドイッチの包みを差し出した。

「お昼の足しにどうぞ」


「ありがと、エルさん。ライくんもいらっしゃい」

 百合夜はやわらかく二人に微笑む。


「じゃあ、向かうわよ」


 百合夜が運転席へ乗り込み、一行は車を走らせた。


「ふたりとも、水着は持ってきたの?」

 百合夜の問いに、エルが首を傾ける。


「いえ、すぐに着替えられるので」

「あ、そっか。レヴィと同じね」


「レヴィ、大樹を更衣室で着替えさせてくれる?」

「ああ、わかった」


「エルとライも更衣室でね? さすがにここで替えたら怪しいから」

「わかってますよ〜」

 ライは笑いながら手をひらひら。


 海が視界いっぱいに広がり始める。

 浜辺には海の家が並び、色とりどりの水着が揺れ、夏の気配が一気に押し寄せてきた。

「やめなさい」

 即座にエルの小言が飛ぶ。


 パラソルとレジャーシートを広げ終えると、百合夜はタオルを手に立ち上がった。


「レヴィ、大樹お願いね? 着替えてくるわ」

「ああ」


 百合夜が更衣室に向かうと、ニヤついたライがレヴィの横へ並ぶ。


「なぁレヴィ、百合夜さんの水着ってどんなの?」

「……知らない」


 わずかに眉を寄せるが、表情は変わらない。


「へぇ〜……楽しみだな」

 ライは腕を組み、百合夜の背中をニヤニヤ見送った。