魔女とレヴィ 第5話 桜の行方
登場人物
水の妖精 アル
土の妖精 ジャン
火の妖精 ライ
霊(魂)の妖精 エル
-1-
冷たい風が去り、土はやわらぎ、空気がやさしくほどけていく。
春を運ぶ風が、丘を越えて流れたころ――
レヴィと百合夜は、古い桜の木を見上げていた。
「やっぱり……だめかしら?」
百合夜の声は、散りそびれた花びらのように淡く揺れた。
レヴィは黙って幹へ手を伸ばす。
「……この木の寿命だな」
「そう、仕方ないわね」
小さく笑ったその瞳には、わずかな寂しさがにじんでいた。
その瞬間――微かな魔力のざわめき。
レヴィの指先がわずかに動く。
「下がれ!」
声と同時に地面が光を帯び、風が渦を巻く。
フェアリーサークルが開いた。
次の瞬間、ふたりの影が転がり出る。
「百合夜さん! 桜の季節ですよ!」
「わっ!?」
驚く百合夜を庇うように、レヴィが一歩前へ出た。
「お前たち、人間がサークルに触れると消滅するんだって何度言えばわかる!」
低く響く声に、ジャンが青ざめて頭を下げる。
「す、すみませんっ!」
「だ、大丈夫よ……」百合夜が慌ててなだめた。
「大樹もいるから、気をつけてね?」
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