百合夜のお薬仕事                                    -よしえさんの腰薬-​ 


 乾燥させたハーブを、一つひとつレヴィが丁寧に枝から外していく。

 百合夜は隣で、その香りを確かめながら小瓶に移していた。

 リンデンのやさしい甘さに、カモミールの温かみが混ざるたび、部屋の空気が少しやわらいでいく。


 「百合夜ちゃんいるか〜い?」

 戸を開けて入ってきたのは、いつものよしえさんだった。

 「腰がまた痛くてねぇ、百合夜ちゃんの軟膏がよく効くのよ」


 百合夜は笑みを返しながら、よしえさんの話を丁寧に聞いた。

 最近、庭の片づけで腰をひねったらしい。

 寒さが深まり始めた初冬――体を温めつつ、炎症を鎮める調合がよさそうだ。


 レヴィが薬瓶から乾燥ハーブを取り出し、百合夜がブレンドを整える。


 「よしえさん、今日寒いからこれ飲んでいって? とっても温まるわ」

 百合夜が笑ってカップを差し出す。


 リンデンフラワー――鎮静とリラックス。

 エルダーフラワー――デトックスとリラックス。

 カモミール――鎮静、体を温める効果。

 ラベンダー――鎮痛と抗炎症作用。


 百合夜お気に入りの“花のブレンド”。


 カモミールを少し多めに。

 「寒い日だからね、体の芯を温めるの」

 湯気の向こうで、レヴィの銀木犀の香りがふと混ざる。