第7話 妖精の夏休み
そう言うと、こめかみに指を当て、短い詠唱を呟いた。
淡い光が指先に揺れ、すぐに消える。
「エルとライは“明日の朝から行ける”そうだ。
ジャンとアルは日暮れ前には来られる」
「じゃあ夜、浜辺で花火しましょうか」
百合夜が嬉しそうに手を叩く。
「この前買ったの、まだ残ってるでしょ?」
「花火!!やるー!!」
大樹はソファの上でぴょんぴょん跳ねた。
レヴィは小さく息をつき、また呟く。どうやら追加の連絡だ。
「エルとライ、了承済み。ジャンとアルにも伝えた」
「じゃあ私、明日の“お昼のお弁当”と“夜ご飯”の買い出しに行ってくるわね?」
百合夜がバッグを肩にかける。
「俺も行くか?」
レヴィが振り返る。
「レヴィは大樹と一緒にレジャーシートとパラソル探し。
大樹は浮き輪、ちゃんと膨らませておくのよ?」
「はーい!!」
ぱたぱたと百合夜が外へ出ていく。
静けさが戻った部屋で、大樹がそっとレヴィの袖を引いた。
「ねーレヴィ?」
「なんだ?」
「水着、あるの?」
レヴィは一瞬きょとんとする。
「……? 適当に変えるから大丈夫だ」
大樹は顔を寄せ、こっそり耳元で囁いた。
その内容を聞いた瞬間、レヴィの動きが微妙に固まった。
「東の国では、そういうものなのか……?」
本気で不思議そうに首を傾げる。
「当たり前だよ」
大樹は胸を張る。
「ちゃんとしてないと、ママに嫌われるよ? いいの?」
レヴィは一瞬だけ沈黙した。
目がかすかに泳ぎ、すぐ真剣な顔になる。
「……好かれたいわけではない。だが……嫌われるのは困るな」
そしてなぜか真面目にうなずく。
「わかった。調べておく」
ちょうどそのとき玄関ががちゃりと開いた。
「ただいま〜……重かった……」
百合夜が大荷物を抱えて帰ってくる。
「なんの話?」
彼女が首を傾げる。
「ママ、なんでもないよね〜!!」
大樹は全力で誤魔化した。
「……そう?」
百合夜は不思議そうにしつつ笑う。
「じゃあご飯食べたらお風呂入って、早く寝るのよ?」
「はーい!」
その背後で、レヴィはひとり黙って考え込む。
“嫌われないために必要なこと”を、必死に並べ直しているようだった。
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