魔女とレヴィ 第5話 桜の行方
レヴィが小さく息をつく。
「それで、何しに来た」
アルが顔を上げ、にこっと笑う。
「桜の季節が美しいと聞いたんです。見たくて!」
百合夜は少し困ったように微笑んだ。
「ごめんなさいね。この桜、もう咲けそうにないの」
「……寿命だ」レヴィが静かに言うと、ジャンとアルは言葉を失った。
しばらく沈黙が落ちたあと、百合夜がやわらかく笑う。
「でも、近くの公園は満開よ。お花見にでも行く?」
「ほんとですか!」
「ええ。大樹が帰ったら、夜桜を見に行きましょう」
春風がそっと吹き抜けた。
老いた桜の枝が、どこか安堵したように揺れていた。
「レヴィ、エルさんとライくんも呼ぶ?」
百合夜の問いに、レヴィは少し考え込んだ。
「……ライは無理だろうな」
そう言って目を閉じる。
わずかに唇が動き、空気が静まる。
「エルには、聞いてやる」
一瞬の間。
風がひやりと揺れ、レヴィのまつげがわずかに震えた。
「――下がれ」
低く響く声に、百合夜は反射的に一歩後ろへ下がる。
足元で光が走り、地面が淡く輝いた。
フェアリーサークルが再び開く。
「百合夜さん。お招き、ありがとうございます」
やわらかな声とともに、エルが姿を現した。
不意の出来事に百合夜は目を瞬かせ、すぐに笑みをこぼす。
「エルさん……びっくりしたわ」
「急に賑やかになったな」
レヴィが肩をすくめる。
そのとき、庭の扉が勢いよく開いた。
「ジャン! アル! エルお兄ちゃんまで——! どーしたの!」
大樹が駆け込んでくる。
「大樹! 花見だ〜!」
ジャンが満面の笑みで叫ぶ。
「ジャン、はしゃぎ過ぎです」
アルがたしなめながらも、口元には笑みが浮かんでいた。
レヴィはその様子を見て、ふっと息を漏らす。
呆れたようでいて、どこかやさしい笑みだった。
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