【独偏ベストテン 45-2】 田原俊彦 シングル作品 (1~5位) | 歌謡曲(J-POP)のススメ

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音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 いやはや。今週の私はず~っと仕事に追われっぱなしで平日に記事を書くヒマがまったく取れず、ちょっぴり間が空いてしまいましたが、皆さん風邪なんか引いてませんか…ってことで、お待たせしている田原俊彦の独偏ベストテン、上位5作品の発表にいってみたいと思います。それではどうぞ~

 



第5位 ピエロ 【オススメ度★★★★】

作詞:来生えつこ、作曲:網倉一也、編曲:大谷和夫
[1983.2.17発売; オリコン最高位1位; 売り上げ枚数33.0万枚]

 独偏ベストテン上位5曲の一角を占めたのは13作目シングル「ピエロ」でしたカッコいいトシちゃんも勿論goodなのですが、トシと違ってモテない私みたいな男としては、女の子から振られた心情を歌い上げる方により共感を覚えてしまうわけで。Bメロの歌詞(♪ とにかく見事に振られたわけだよ おどけたピエロになりきるだけさ~)あたりの心の動きなんか、しみじみ身に沁みてよく分かるんだよなぁ…


 曲の構成は、A-A-B-C(サビ)-A-A-B-C(サビ)-C(サビ)と、割とシンプル
。この「ピエロ」でも、網倉センセがCメロ(サビ)に気前よく哀愁フレーバーを振りかけて、失恋したピエロの“哀しみのひだ”を巧みに表現しています。また、大谷和夫センセの手によるアレンジは、イントロの目くるめくようなバッキングや間奏のエレキギターソロなど実に賑やかですが、そんなところに、ピエロの淋しい背中に毛布を掛けてやるようなさりげない優しさを感じてしまうのは私だけでしょうか




第4位 抱きしめて TONIGHT 【オススメ度★★★★】
作詞:森浩美、作曲:筒美京平、編曲:船山基紀
[1988.4.21発売; オリコン最高位3位; 売り上げ枚数27.9万枚]

 トシちゃん34作目のシングルにして、月9ドラマ「教師びんびん物語」の主題歌として人気を博した「抱きしめてTONIGHT」が第4位でした~。1984年あたりからは、ソロ名義でシングルをリリースしてもオリコン20万枚割れが続き長期低迷期に入っていたトシちゃんが久々に放った起死回生のヒット曲としてお馴染みの作品ですデビューして数年間は、「トシちゃんのモノマネ」といえば、100人中98人くらいが頭を振りながらバ○っぽい口調で「トシちゃんで~す」とやったものですが(←あのモノマネはいくら何でも悪意ありすぎ。ありゃ一体何だったんだ…)、ドラマ「びんびん」で彼が見せた、相棒役(野村宏伸)の兄貴分としての貫禄と役者としての成長ぶり(=“いい男”ぶり)に、私も思わず目を瞠(みは)ったものです(遠い目)。


 この「抱きしめて…」は、筒美センセの手によるメロディ&リズムが非常に凝っていて、しかもこれを激しいダンスを披露しながら歌わないといけないことを考えると、難易度は“非常に高い”
んですよね…でも、そんな心配は全くの杞憂でした。以前よりも安定感と余裕のあるトシちゃんの歌いっぷりを見て、“プロとしての矜持のようなもの”を感じ入ったと同時に、同世代仲間として嬉しく思いましたね この辺りの姿勢は、近頃の若いタレントさんにとっても学ぶべきところが大いにあるのではないでしょうか。ちなみに、この曲が大ヒットしたことで、トシちゃんはNHKから紅白歌合戦へのカムバックの依頼を受けるのですが、「別れた女性から『また付き合って欲しい』と言われた」ように感じたそうで、出場を辞退しています。トシちゃんが、もはや単なるアイドルの枠に収まらない存在に“ヴァージョンアップ”していることが如実に現われたエピソードと言えましょう


 最後に、歌詞に関するどーでもいいイチャモンを一つだけ。私、この曲を聴くたびに、♪ いつものように見つめ返す君で欲しいよ~ のところが気になって仕方がないんですよね…
。これって日本語としてどうなんでしょうか いや、意味としてはもちろん「見つめ返す君でいて欲しいよ」ってことは理解できるんですが、森浩美センセもまた随分と大胆に略したものだなぁ…なんて思ったもので




第3位 グッドラック LOVE 【オススメ度★★★★】
作詞:小林和子、作曲:小田裕一郎、編曲:大谷和夫
[1981.10.16発売; オリコン最高位3位; 売り上げ枚数49.5万枚]

 上位3曲の一つに食い込んだのは、トシちゃんの7作目シングル「グッドラック LOVE」でした。約50万枚という売り上げ枚数は、初期シングル3作(「哀愁でいと」、「ハッとして!Good」、「恋はDO!」)に次いて4番目の売り上げ枚数を誇る作品です。そう、「風立ちぬ」(松田聖子)、「ギンギラギンにさりげなく」(近藤真彦)、「悪女」(中島みゆき)あたりが上位に登場した関係でオリコン1位は取れなかったけれど、大ヒットしたと言って良い作品なんですよね。


 曲の構成は、A-A’-B(サビ)-B’-A-A’-B(サビ)-B’(-B)-B’と、シングル作品としては実にシンプルです
。同じ哀愁系の曲でも、網倉一也センセがトシちゃんに書いた作品群と比べると、マイナーコード一直線のため深味にはイマイチ欠けるのですが、その代わりにサビメロが作品全体に占める割合を高くして(実に半分以上!)印象に残りやすくなるよう工夫されています。中でも、“青春の蹉跌”を切々と歌い上げるサビの歌詞♪ 愛されるはかない夢を笑え つかの間を飾るだけのパラダイス~が、聴き手の心に痛ましく沁みますね…。間奏で高らかに響き渡るトランペットの音色も実に哀しくてgoodなのです




第2位 ラブ・シュプール 【オススメ度★★★★★】
作詞:三浦徳子、作曲:筒美京平、編曲:大谷和夫
[1982.12.18発売; オリコン最高位3位; 売り上げ枚数23.4万枚]

 第2位の座に輝いたのは、たのきん出演映画「ウィーン物語 ジェミニYとS」の主題歌にして12作目シングルの「ラブ・シュプール」でした~
  デビュー3年目のトシちゃんのシングルと言えば、大体どの曲も30~40万枚は売れていたのですが、この「ラブ・シュプール」は30万枚の限定発売にしたことイレギュラーなリリース間隔で発売したことなどの理由が重なって、売り上げ枚数は20万枚強にとどまっています。でも、総じて作品レベルが高いトシちゃんのシングル群の中でも“会心作”として名高い曲だけに、限定なんかかけずに上手に売れば彼の最大のヒットになったかも知れないのにな、とつい思わずにはいられません。


 曲の構成は、A(サビ)-B-C-A(サビ)-B-C-A(サビ)-D各メロディがバラエティに富んでいて、聴き手を飽きさせない仕上がりになっています
。冒頭にサビを持ってきたのは、映画の主題歌ということで“ツカみ”を重視したためでしょうか。トシちゃんのシングルとしては、哀愁路線ではなく、さりとてメジャーコードでありながら軽い路線でもない…という、ややイレギュラーな位置付けの作品と言えましょうキラキラ感と疾走感に溢れるイントロ、そして女声コーラスと弦のオブリガードの饗宴に、思わずワクワクしてくるのはきっと私だけではないはずです。彼の明るく優しい歌唱も、この作品では軽薄さを微塵も感じさせず、“王子様”ぶりは健在。熱狂的なトシちゃんファンをさぞかし喜ばせたことでしょう。「ピエロ」、「グッドラック LOVE」、そしてこの「ラブ・シュプール」と、大谷和夫センセがトシちゃんのシングル群で見せる職人技は、また格別のものがありますね~


 ちなみに、映画のタイトルにある「YとS」は、ヨハネ(John)とソフィア(Sophia)のイニシャルを示している
のですが、本来なら「ジェミニJとS」とするところを、ローマ字で書き下してからイニシャルを並べて分かりやすくした…、というのが当時、製作サイドからあった説明でした。その話を聞いた私が「いくら何でもファンを馬鹿にしすぎだろっ」と思わずムカついてしまったのも、今となっては懐かしい想い出ですね…




第1位 悲しみ 2(too)ヤング 【オススメ度★★★★★】
作詞:網倉一也、作曲:網倉一也、編曲:船山基紀
[1981.9.2発売; オリコン最高位2位; 売り上げ枚数38.0万枚]

 田原俊彦のシングルA面を対象としたwishy-washyの独偏ベストテン 栄えある第1位は、6作目シングル「悲しみ2(too)ヤング」でした~
 わー、パチパチパチ。まぁこの作品は、以前にコンポーザー別の独偏ベストテン(網倉一也センセ)でも第1位に輝いてますから、結果を予想していた方も多かったのではないでしょうか。


 曲の構成は、A-B-B’-C(サビ)-D-B’-C(サビ)-D-C(サビ)-D。この作品が、深い哀愁を帯びたコクとオリジナリティのあるマイナーコードが最も高純度で凝縮された“超名曲”(A~Dメロのすべてがサビと言っても過言じゃない
)だってことは、以前の記事でも書いた通りです。この曲は何百回聴いても飽きるどころか、“作品の良さを再確認して上書きするような清冽な印象”が何十年も変わらずそのままなんですよね。私ももういい歳だってのに、この曲を聴くと細かい悩みなんか忘れて元気になれるというのが、自分でも不思議なくらいです


 Bメロ♪ 浮かれ気分で砂浜~から延々と続くエレキベースのうなりで表現された若さの迸(ほとばし)りは、1度目のDメロ直後の間奏でエレキギターのかき鳴らすソロで最高潮に達する
…この辺りの流れはまさに圧巻で、この曲の聴きどころの一つになっています。あと、3度目のCメロ直前、トランペットの音色をバックにトシちゃんが口にするセリフ(Oh Baby, I can’t say good-bye....)なんかもうカッコ良すぎて、男の私からしてもたまらんですね~(←さすがにちょっと興奮しすぎ)。「あーあ、一生に一度でいいからこんなセリフ言ってみたかったなぁ…と、不公平な神様に思わずブーたれる私なのでした





 …さて、上位10作品の発表はこれでおしまいです。毎回書いてるような気もしますが
ここまで長い記事をお読み下さった皆さん、本当にどうもありがとうございましたm(_ _ )m。今回、この独偏記事を書くために、トシちゃんのシングルを改めて通して聴いてみたんですが、本当にいい曲が目白押しで、残念ながら今回ご紹介できなかった11位以下にもお気に入り作品がずらりと沢山並ぶ結果になったことを、ここに書き添えておきます。


 次回の記事は「【独偏ベストテン Vol.45-3】 田原俊彦 シングル作品 (資料編)」と題して、基礎データの資料を紹介しますので、引き続きお付き合い下さいね
。おしまいに、今回の独偏ベストテンを上位から順にまとめてご紹介しておきます。それでは、またお逢いしましょう~



【wishy-washyの独偏ベストテン 田原俊彦のシングル(A面)】
第1位 悲しみ 2(too)ヤング 【オススメ度★★★★★】
第2位 ラブ・シュプール 【オススメ度★★★★★】
第3位 グッドラック LOVE 【オススメ度★★★★】
第4位 抱きしめて TONIGHT 【オススメ度★★★★】
第5位 ピエロ 【オススメ度★★★★】
第6位 さらば…夏 【オススメ度★★★★】
第7位 It’s BAD 【オススメ度★★★★】
第8位 君に薔薇薔薇・・・という感じ 【オススメ度★★★】
第9位 ごめんよ涙 【オススメ度★★★】
第10位 顔に書いた恋愛小説(ロマンス) 【オススメ度★★★】