【独偏ベストテン 19-4】 坂田晃一 作曲シングル作品 (資料編 その2) | 歌謡曲(J-POP)のススメ

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音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 今回は、独偏ベストテン関連の追加企画として、「坂田晃一作曲シングルの資料編(その2)」をお送りしたいと思います。一応、確認しときますが、この追加企画は、「wishy-washyの選んだ独偏順位と、世間の売り上げ枚数との間には、どれだけ違いがあるんだろう…」という趣旨でやっているものです。ちなみに、坂田センセの独偏ベストテン記事は…っと。調べてみたら、2012.8.31付け記事(6~10位)2012.9.2付け記事(1~5位)2012.9.4付け記事(資料編)ということなので、もう2年以上も前の話になるんですねぇ…

 それでは、例によって、「【独偏ベストテン 19-3】 坂田晃一 作曲シングル作品(資料&補足編)」の続きの形式でいってみましょう。


(4)オリコン売り上げ枚数との比較

 坂田晃一センセの作品群は、’70~’80年代に、大人向けのドラマ主題歌として取り上げられたものが圧倒的に多く、哀愁に満ちた落ち着いた佇まいのその作風が、幅広い世代から支持されました。 坂田センセが手掛けたドラマ主題歌はおそらく100曲を超えると思われるので、オリコン売り上げ枚数の面でも、さぞやいい数字が残っていると私は思っていたのですが、オリコンの記録に残っている坂田晃一センセの作曲シングル作品(A面)はたったの17作品 つまりベスト20が成立しないという結果となりました。いやぁ、こりゃ意外でしたね…。売り上げ上位はこんな感じになっておりました()。


【オリコン売り上げ枚数ベスト20 坂田晃一作曲 シングル作品(A面)】
第1位 さよならをするために (ビリー・バンバン)(1972.2.10発売、1位、69.5万枚)
第2位 もしもピアノが弾けたなら (西田敏行)(1981.4.1発売、4位、51.7万枚)
第3位 鳥の詩 (杉田かおる)(1981.6.21発売、10位、28.0万枚)

第4位 冬物語 (フォークローバーズ)(1972.10.10発売、16位、17.7万枚)
第5位 目覚めた時には晴れていた (伝書鳩)(1976.5.25発売、23位、10.7万枚)
第6位 愛の伝説 (まがじん)(1973.11.10発売、33位、9.8万枚)
第7位 まるで少年のように (坂口良子)(1982.2.21発売、41位、6.0万枚)
第8位 さよなら、今日は (朝倉理恵)(1973.11.21発売、57位、4.9万枚)
第9位 めぐりあい (真木悠子)(1975.2.5発売、59位、3.6万枚)
第10位 さよならの夏 (森山良子)(1976.4.5発売、76位、3.3万枚)
第11位 純愛さがし (高田みづえ)(1983.5.21発売、45位、3.2万枚)
第12位 さよならの夏 ~コクリコ坂から~ (手蔦葵)(2011.6.1発売、22位、2.7万枚)
第13位 旅路 (風車)(1974.10.25発売、77位、2.5万枚)
第14位 ブリキの星 (井上純一)(1981.8.1発売、67位、1.2万枚)
第15位 鳥の詩(再販盤) (杉田かおる)(2004.7.14発売、56位、1.2万枚)
第16位 切ないね悲しいね (RiNA)(1990.8.21発売、82位、0.9万枚)
第17位 ビビビのビ (高橋基子(モコ))(1972.5.25発売、86位、0.3万枚)


 これまでにご登場戴いた諸先生方(加藤和彦小室哲哉井上ヨシマサ川口真網倉一也…)と比較すると、数字的にもメンツ的にも地味なラインナップという印象は否めません10万枚超えのヒットが5曲というのも、他の先生方と比べて明らかに少ない数字です。しかし、ドラマ主題歌を主戦場とする坂田センセの最盛期が’70年代~’80年代初頭だったことを勘案すると、これもまぁ仕方がなかったのかな…と思えてくるのです。

 ’70年代の歌手は、歌手活動の一環としてリリースするレギュラーシングル作品(主)と、ドラマ主題歌などの企画物シングル(副)を明確に切り離して考えていました
。リリースのパターンとしては、レギュラーシングルが数ヶ月おきに発売される合間に企画物シングルがランダムに発売される、といった具合です歌番組などで披露されるのはレギュラーシングルであり、企画物シングルはあくまで“副次(=おみそ)的”な扱いだったんですね。そんなこんなで、’70年代にドラマ主題歌が大ヒットに結びつくというケースはかなり稀でした。少し見方を変えると、’70年代という時代は、ドラマタイアップ曲よりも、定期的にリリースするシングルの方が売れる公算が高いと考えられていた時代だった、という風にも言えると思います

 ところが、’80年代に入ってレギュラーシングルがだんだん売れなくなってくると、状況は徐々に変化することに。’80年代後半にテレビから歌番組が次々と消えると、ドラマのタイアップをつけることが、大衆に向けた恰好のアピール手段と考えられるようになりました。ですから、’90年代に入って、大物アーティストがドラマ主題歌の大ヒット曲を量産したことは、ある意味で予定調和的な現象だった
と言えます。

 …閑話休題。もっとも坂田センセの場合は、
数字的には見劣りしても、オリコンにランクインしなかった作品の中に、ドラマを通じて人々の心に印象深く残っているものが多いことは間違いないので、“記録より記憶”に残るタイプの名コンポーザーであったということで、いかがでしょうか(わはは、何とかうまくまとめたぞ…)。

 ここで比較のために、私が2012年8月31日付けの記事で発表した独偏ベストテンを、私の手帳に残っている11~20位のラインナップと併せて再披露してみますと・・・、こんな感じになっていました。


【wishy-washyの独偏ベスト20 坂田晃一作曲 シングル作品(A面)】
第1位 さよならの夏 (森山良子)(1976.4.5発売、76位、3.3万枚)
第2位 鳥の詩 (杉田かおる)(1981.6.21発売、10位、28.0万枚)
第3位 旅路 (風車)(1974.10.25発売、77位、2.5万枚)

第4位 もしもピアノが弾けたなら (西田敏行)(1981.4.1発売、4位、51.7万枚)
第5位 ビビビのビ (高橋基子(モコ))(1972.5.25発売、86位、0.3万枚)
第6位 さよならをするために (ビリー・バンバン)(1972.2.10発売、1位、69.5万枚)
第7位 帰らざる日々 (ソニア・ローザ)(1975.5.30発売、-位、-万枚)
第8位 白い季節 (西玲子)(1974.9.5発売、-位、-万枚)
第9位 冬物語 (フォークローバーズ)(1972.10.10発売、16位、17.7万枚)
第10位 アゲイン (山本達彦)(1980.1.25発売、-位、-万枚)
第11位 さよなら、今日は (朝倉理恵)(1973.11.21発売、57位、4.9万枚)
第12位 草原のマルコ (大杉久美子)(1976.2.1発売、-位、-万枚)
第13位 目覚めた時には晴れていた (伝書鳩)(1976.5.25発売、23位、10.7万枚)
第14位 愛の伝説 (まがじん)(1973.11.10発売、33位、9.8万枚)
第15位 小さな願い (小林綾子)(1984.1.?発売、-位、-万枚)
第16位 みち潮 (由紀さおり)(1974.4.1発売、-位、-万枚)
第17位 太陽に出逢う風 (RiNA)(1993.9.17発売、-位、-万枚)
第18位 風の挽歌 (小坂恭子)(1975.6.1発売、-位、-万枚)
第19位 何かいいことありそうな (坂本九)(1976.10.?発売、-位、-万枚)
第20位 Mrs.メランコリー (下成佐登子)(1986.7.1発売、-位、-万枚)


 今回、オリコン売り上げ枚数ベスト20(実際は17)と重複した作品は、ビリー・バンバンの「さよならをするために」、西田敏行の「もしもピアノが弾けたなら」、杉田かおるの「鳥の詩」、フォークローバーズの「冬物語」、伝書鳩の「目覚めた時には晴れていた」、まがじんの「愛の伝説」、朝倉理恵の「さよなら、今日は」、森山良子の「さよならの夏」、風車の「旅路」、高橋基子(モコ)の「ビビビのビ」と、何と全部で10曲 これまで、こんなに重なったことはなかったですよねぇ

 これほど多くの作品が重複した原因としては、
①坂田センセの場合、売り上げ上位が複数アーティストにいい感じにばらけていること(私の独偏では「1アーティストにつき1作品」を基本ポリシーとしているため、同一アーティストが売り上げ上位を独占すると、必然的に重複しにくくなります…

セレクト対象となった作品数が72作品と、やや少なめだったこと
…あたりが考えられると思います


 それでは、今回はこんなところで
 またお逢いしましょう~