【お薦めシングルレビュー 43】 “親日派”外国人による日本の応援歌を聴いて元気を取り戻そう~! | 歌謡曲(J-POP)のススメ

歌謡曲(J-POP)のススメ

音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 ついに安倍内閣(衆院)も解散ですか。威勢よくぶちあげた“アベノミクス”も、肝心の中身が伴っているとはとても思えない代物だと思ったら、予想通り上手くいかなかったしなぁ…。かといって、景気回復のいい材料があるかと問われてもすぐに思いつかない…。う~ん、困ったもんだ

 これが“昭和の世”ならば、八方塞がりな世相を払拭すべく、皆が元気を取り戻せる“国民的歌謡曲”が流行したもんだけどなぁ…
なーんて思ってたら、ちゃんといいのがありました。これで~す()。6年前にリリースされた作品ですが、日本の閉塞状態はいまも変わらないので、賞味期限的にもバッチリではないでしょうか。


「踊るマハチャダ」(チャダ)
作詞:ワシャシャスキー兄弟、作曲:脇丸諄一、編曲:脇丸諄一

[2008.11.19発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]
[歌手メジャー度★★★; 作品メジャー度★; オススメ度★★★★]



 CDジャケットの真ん中でニッコリ微笑むインド人のオジサン(チャダ)に思い当たるフシのある方は、間違いなく私と同年代かそれ以上(現在アラフィフ以上)ですよね 若い世代の方には、“ジェロの元祖みたいな人”という説明が手っ取り早いかも知れません。 

 チャダは、もともとミカン栽培の研修生としてインドから来日した人ですが、北島三郎の「函館の女」を聴いて演歌にハマり、1975年に、元祖外国人演歌歌手として日本デビュー
。デビュー曲「面影の女(ひと)」(1975.8.25発売)は、猪俣公章センセ作曲によるコテコテの演歌で、当時小学4年生だったはずの私も、“ターバン姿なのに上手な日本語で演歌を歌う、物珍しいインド人”の絵面(えづら)をはっきりと覚えています。なもんで、「どれだけヒットしたんかいな」とオリコンの記録を確認したら、最高位66位、売り上げ枚数2.2万枚。強く印象に残っている割には、意外と売れてませんでした…

 1975年といえば、昨今と違って日本国内で外国人を見かけること自体がまだかなり珍しかった時代。当時はちょうど、「涙の河」(1974.7.10発売、23位、11.1万枚)がヒットしたマギー・ミネンコや、人気プロレスラーのザ・デストロイヤーが、バラエティ番組『うわさのチャンネル』で“ヘンなガイジン”ぶりを披露して人気を得ていた頃
でしたから、私の頭の中では、チャダのことも同じカテゴリーにぶち込んで咀嚼しちゃってたのかも知れません

 さて、歌手デビューしたチャダは、「恋女房」、「流し子守唄」、「石巻ブルース」をリリースしたものの「面影の女」ほどのヒットには至らず、就労ビザの関係から5年で引退
インドに帰国してから貿易商に転じて、年商10億円の大成功を収めていますそんな彼の“親日派ぶり”にはひとかたならぬものがあって、インドでは、アジア人留学生向けのラジオ番組『こんにちはニッポン』のパーソナリティも務めたとのこと。近隣諸国に大量の“反日派”を抱える我が国にとっては、実に奇特な“味方”の外国人なんですよね~

 「踊るマハチャダ」は、日本を“第二の故郷”と大切に思う外国人が、元気のない昨今の日本(と日本人)に贈る“応援ソング”
です。歌詞はこんな感じですね()。

(Aメロ) ♪ 世の中暗いね みんなブルーだね
        とても寂しいね 夜の大都会
        小遣い減ったよね おかずも減ったよね
        なのにお店に行けば またまた値上げだね
(Bメロ) ※ でも何にも心配 ないないない
        私がついてるよ
        インドのパワーで 世直しだ
        さぁ 手をつなぎましょ
(Cメロ) ※※ 踊ろ踊ろう 皆の衆
         やなこと忘れて ひと晩中
         踊ろ踊ろう ダンシング
         素晴らしき 日本よ

(Aメロ) ♪ 世の中何でも ネットとメールだね
        携帯もないと 生活できないね
        昔の日本は もっと輝いてたね
        私のふるさとが どうしてピンチなの
(Bメロ)  (※ くり返し)
(Cメロ)  (※※ くり返し)

(Dメロ) ♪ 今宵 あなたと確かめ合う
        グレイト日本 大和魂
(Cメロ) (※※ くり返し)
(Cメロ) (※※ くり返し)



 ここで詞を書いたのがチャダ本人ならば、「日本への熱い想い、しかと受け取ったでござる(←お前は何者やねん)」ってな気持ちが沸々と湧いてきてサイコーなんですが、さすがにそんな良くできた話が転がっているはずもなく…。実際の“仕掛け人”は、作詞を担当した”ワシャシャスキー兄弟”なる人物のようです。ちなみにこの人(←いや、複数かも)は、ジョンアリージョリーナという美人さん「鼻毛ボー」と連呼するCMも企画プロデュースしているとのこと。どうやら、この手の“妙なテイスト”の打ち上げ花火をあげるのが好きな御仁のようですね。ま、そんなこたともかく、懐かしいチャダをフィーチャーして激励ソングを作ろうというコンセプト、非常にいい企画だと思いますよん

 曲の構成は、
A-B-C(サビ)-A-B-C(サビ)-D-C(サビ)-C(サビ)。この手の企画ソングは、キャッチー(←“ベタ”とも言いますが、企画モノなんだからそれで正解なのです
なサビを軸にしてシンプルな構成にするのが一番という鉄則通りの作りになってます

 Aメロの“またまた値上げだね~”というフレーズは、段階的な消費税増のことを指してるんでしょうか。なかなか鋭いとこ突いてますよね


 Bメロでは、
インド音楽に特有なメロディに乗せて、♪ でも何にも心配ないないない 私がついてるよ~ インドのパワーで世直しだ~ なーんて明るく歌われちゃうと、ホントに何とかなりそうな気分がしてくるのが不思議です(←ほんまかいな
)。このテキトーっぽさが、いかにもインド人っぽくてイイですよねぇ…。私がアメリカの大学に1年ほど留学していたときに同じ研究室だったインド人の連中が、まさにこんな感じのおおらかなポジティブ思考で、何度も助けられたっけ…(そういや彼らに貸した500ドル、まだ返してもらってないな…。ま、メンタルな面でお世話になったお礼だと思えばいっか)。この辺の姿勢は、グローバルな観点からするとどちらかと言えば“考えすぎ”の傾向がある日本人が、大いに見習うべき点かも知れませんね

 Cメロのサビではまた演歌調に戻って、
踊って元気を取り戻そうっ
という、これまたいかにもインドっぽいメッセージが素敵です。サビメロ的には細川たかしあたりの顔がちらつきますが、この歌詞の内容を歌って説得力があるのは、チャダ以外にはいないでしょう。 ♪ 踊ろ踊ろう ダンシング~ のところに、エドはるみのあのネタがさりげな~く()仕込んであるのも、思わずニヤリとするポイントになってます

 それにしてもチャダさん、相変わらず日本語上手だし、いい声してるよなぁ…

 さあさ、
毎日が自分の思うようにいかず気分が落ち込んでる皆さんも、この「踊るマハチャダ」を聴いて、明日からまた元気出して行きましょう~


 それでは、今回はこんなところでおしまい
。またお逢いしましょう