【シングルよもやま話 47】 独特の味わいがヤミツキになる?○○○男達による魂の叫びをどうぞ~! | 歌謡曲(J-POP)のススメ

歌謡曲(J-POP)のススメ

音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 今回ご紹介する作品はかなり“クセ”がある(まあ”くさや”みたいなもんだと思って戴ければので、読者の皆さんの間でも好き嫌いがハッキリ分かれてしまうかも知れません。・・・ま、そんなのいつものコトじゃねぇかってな説もありますが

 私が“この作品”を初めて知ったのは、確か’70年代の後半、ラジオのリクエスト番組を通じてだったように思います。当時中学生だった私が抱いた印象は、「なんかふざけて歌ってんのかなぁ・・・
というもので、ハッキリ言って印象はかなり悪かったですね(いちおう東京23区内に住んでいたものの、当時は外国人自体が日本にあまりいなかったせいか、外国人が歌っているとは考えもしなかった・・・。当時はコミックソングの一種かとも思ったのですが、実は・・・。んで、“種明かし”された後は、かえってその独特の“味わい”がヤミツキになってしまって現在に至るというワケ。こういうのを“スルメソング”って言うんでしょうねぇ(いや、“珍味”といった方がピッタリか)。

 
・・・おっと、さすがにちょっと引っ張りすぎちゃったかな。この作品なので~す。 


「異邦人(エトランゼ)ブルース」(カサノヴァ7)
作詞:橋本淳、作曲:筒美京平、編曲:Bruno Dalla Pozza

[1969.12.10発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]
[歌手メジャー度★★★; 作品メジャー度★; オススメ度★★★]





 曲名は「異邦人ブルース」と書いて「エトランゼブルース」、グループ名「カサノヴァ7」は、「カサノヴァセッテ」と読みます。“カサノヴァ”と7という数字の読み方(セッテ)からもお分かりの通り、男性5人がイタリア人のグループなんですね~。実は、彼らのデビュー曲「夜の柳ヶ瀬」はかなりヒットしたので(1969.6.15発売、オリコン最高位25位、売り上げ枚数13.3万枚)、現在50~60歳くらいの世代ならば、普通にご存知の方も意外と多いのではないでしょうか。あとは、この曲の編曲を担当しているメンバーのブルーノ・ダラボッサ氏が、自分の姪を日本に連れてきて歌手にしたのが“ヒデとロザンナ”のロザンナ・・・というのも知る人ぞ知るエピソード・・・かも

 ちなみに、ダンディなラテン男5人衆に比べて、女性の方はどうも脇役的な位置付けのようで、デビュー曲「夜の柳ヶ瀬」のレコードジャケットにはハワイ出身のキャシー中島が写ってるわ(左下のジャケット写真の左端。本人はレコーディングには参加しなかったとか言ってるらしい。なんなんだそりゃ
)、「異邦人ブルース」の女性2人はこってこての日本人だわ、ラストシングル「女ひとすじ恋心」のジャケットでは女性が消えて男性6人になってるわ(それじゃ“カサノヴァ6(セーイ)”←マヌケな響きだ・・・)で、そんないかにもラテン系なノリ(=いい加減さ)が私は大好きなんですよね~

 


 それでは作品の紹介に移りましょう。作品全体のイメージとしては、演歌とムード歌謡の折衷といった感じでしょうか。ワケも分からず初めて聴くと、どうしても“バッタモン”的なイメージが強いのは仕方ないでしょうね・・・(中学生だった私が「コミックソング」だと勘違いしたのも、さすがに仕方ないかと)。でも、メインヴォーカルのソウルフルな歌いっぷりはどう聴いても真剣そのものイタリア人である彼らが、いわゆる日本のムード歌謡を心から愛していることもしっかりと伝わってきます。そりゃ日本語の発音やアクセントが変なところもありますが、歌なんてもんは結局そういう些細な部分よりも、“感情表現”の方が大切だと思うんですよね。それと、バックコーラスが非常に綺麗で耳に心地よいのもお薦めポイントです。

 それでは、YouTubeの方をどうぞ~




 作詞・作曲は、青山学院大学時代の先輩・後輩の関係に当たる橋本淳筒美京平コンビ。どっちも言わずと知れた大御所です。この「異邦人ブルース」がリリースされた1969年と言えば、同じく橋本-筒美コンビによる「ブルーライトヨコハマ」(いしだあゆみ)がレコード大賞作曲賞を受賞した頃に当たるんですね。う~む、なんて豪華なメンツなんだ

 まず歌詞の方では、外国人が歌うってことでどうしてもカタカナの小道具をいくつも持ち込みたくなるところ、そこをワンフレーズだけに抑えたところが何と言っても技ありだと思うんですよね。そしてまた選んできたのが “ロザリオ”ってのが、彼らのイメージにピッタリでね~

 曲の方は、ムードコーラスの定型を抑えつつも、全体を三部構成にして変化に富んだ展開にするなど、並の仕事では済ませないところがいかにも筒美センセっぽいなと思うわけですが、以前に「惑いの午後」(ジュディ・オング)の記事を書いたときと同じく、一般向けという意味ではさすがにサービス精神が過剰すぎた(=やりすぎちゃった)感じがしますねぇ・・・(私のような好事家は大喜びなんですけど)。ま、しかし、聴けば聴くほど味わい深い作品であることは間違いない と確信しつつ、皆さんの審判を仰ぐことにいたしましょう

 それでは、今回はこんなところで またお逢いしましょう~