【お薦めシングルレビュー 39】 ランナーズハイを体感したい方にお薦めの小気味よいディスコ歌謡! | 歌謡曲(J-POP)のススメ

歌謡曲(J-POP)のススメ

音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 しばらく寒かった東京も、ようやく先週初めに桜が満開になったと思ったら、今年は散るのがあっという間でしたねぇ。私は今日、下の息子の小学校入学式に出席してきたのですが、桜の花びらはほとんど散り終わった状態でした。それでも、昨年のちょうど同じ頃に、すっかり葉桜と化した桜の木を横目に長男の小学校入学式に出たことを思うと、今年はまだマシだったと思います・・・

 今回ご紹介するシングルは、34年前のちょうど今頃にリリースされた作品
なのですが、曲自体はほとんど知名度=ゼロに等しいでしょうね。でも、少なくとも歌っている片割れの女の子はきっとご存知のはず・・・


「タイム・アスレチック」(BIBI)
作詞:三浦徳子、作曲:馬飼野康二、編曲:馬飼野康二

[1980.4.5発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]
[歌手メジャー度★★★; 作品メジャー度★; オススメ度★★★★]




 BIBIと聴いてもピンと来ない方も、上のレコードジャケットをご覧になれば「なーるほど
」ってな感じなのではないでしょうか・・・ 早坂あきよ(左)と小西直子(右)の2人組BIBIは、“初代”の松本ちえこに続く2代目バスボンガール。あぁ何て懐かしいんでしょ。この「タイム・アスレチック」は、彼女たちの5作目シングルに当たるんですよね。

 二人ともモデル出身で身長が170cmくらいということで、この作品やデビュー曲の「スカイ・ピクニック」のように、健康的なイメージを前面に押し出すタイプの楽曲がとてもよく似合ってました。ところが実際にデビュー曲を手掛けたのは穂口雄右センセ、そして「タイム・アスレチック」は馬飼野康二センセの作曲ということで、タレントイメージ的には完全に“ピンクレディー路線”なのに、出てきたサウンドは“キャンディーズ的”という、なかなかトリッキーな存在でしたね。この「タイム・アスレチック」では、長い肢体を駆使してマラソンしたり泳いだりする激しい振り付けが印象的でした。 

 それでは、詞と曲の方を見ていきましょう。まず詞の方ですが、こちらは明らかにデビュー曲「スカイ・ピクニック」(1979.4.25発売、オリコン最高位62位、売り上げ枚数2.1万枚)を踏襲していて、「似たような路線でもう一発ヒットを・・・」というスタッフの意気込みは伝わってきます。ただ、「スカイ・・・」では、“金の魚”、“マシュマロの雲”、“エデンの園”などのフレーズが登場することからも分かるように空想ワールド全開だったのが、「タイム・・・」では、あまりに非現実的で妄想気味の詞になっていて、さっぱりワケ分かりません。私みたいな変わりモンにとってはこういうナンセンスなのは大好物ですが、さすがに一般ウケはしそうにありません・・


 ♪ 悩んでる人は 走って下さい
   ピラミッド並べ ハードルに……
   ベルトの目盛りの 数字を合わせて
   一回転したら 飛べるから……
   恋してても悩んでても 地球はまわる
   好きなことを好きな時に やってみるだけ……

 ♪ 太ってる人は 泳いで下さい
   ナイアガラ・シャワー ご機嫌よ……
   くびれた曲線 モンローみたいで
   口笛が空を 飛び交うわ……
   太っててもやせていても 地球はまわる
   好きなことを好きな時に やってみるだけ……


 うーむ、歌詞の後の方に、♪ 30世紀の扉は もうすぐ あなたの部屋へと 開くでしょ~ とあることから、「タイム・アスレチック」の舞台は、きっと(30世紀に近い)二十ウン世紀なんでしょうね
水谷麻里のデビューシングル「21世紀まで愛して」では、描かれた歌詞世界が本当に21世紀に実現しているかどうかを検証した人がいましたが(←わはは、ヒマな奴がいたもんだ 私ですが・・・)、30世紀の世界なんて誰も確認できないんだから、要は言ったもん勝ちってことですもんね。それにしても、「ベルトの目盛りの数字を合わせて一回転したらピラミッドが飛べる」「ナイアガラの滝をシャワーにする」というでかいスケールのフレーズから、人類がウルトラマンのように巨人化したマヌケな状態を思い浮かべてしまうのは私だけでしょうか・・・

 それとなぁ、せっかく“30世紀”と“アスレチック”を融合するという新機軸ワールドを打ち出しておきながら、歌詞の結論が「太っててもやせていても地球は回る 好きなことを好きなときにやってみるだけ…」というのもどうなんでしょ
個人的には尻すぼみで萎え~ってな感じが結構好きだったりするのですが・・・

 馬飼野康二センセによる曲&アレンジの方は、最初は「なんだか地味な曲だなぁ」と感じるのですが、何度か聴くうちに、メジャーコードとマイナーコードが交互に現れてしつこく登場するリフがだんだんクセになってくる
んですよね。それともう一つ、小気味よく時を刻みながら切迫感をあおってくる疾走感満点のリズムが最高っ 皆さんもぜひCDを入手してヘッドフォンで聴いてみて下さいシンセの繰り出すリズムで脳内ドーパミンがどくどくと分泌される(“エア・ランナーズ・ハイ”とでも言えばいいのかなこと請け合いですよ~

【2014.5.31 記事加筆】
 最初に貼ったYouTubeが消されちゃったので
、ニコニコ動画からBIBIのテレビ番組バージョンに差し替えました。動いてる2人が見られるのは嬉しいのですが、肝心の曲がオリジナルからテレビサイズに削られちゃったせいで、上にあれこれ書いた話がイマイチ理解してもらえないのが残念。いい動画があったらまた差し替えますね・・・m(u_u)m。



【2014.10.3 記事加筆】

 そんなこんなで、CD音源によるYouTubeをセルフアップしておきます。記事に書いたメロディとアレンジの妙を楽しんで戴ければと思いま~す