【独偏ベストテン 39-2】 尾崎亜美の作曲シングル作品 (1~5位) | 歌謡曲(J-POP)のススメ

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音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 前回の記事に引き続いて、今回も尾崎亜美の作曲シングル(A面)を対象とした「独断と偏見によるベストテン」をお送りしま~す。さっそく、上位5曲を、第5位から第1位まで一気にご紹介したいと思います。それではどうぞ~





第5位 PIRA★星物語 (若林加奈) 【オススメ度★★★★】

作詞:夏目純、作曲:尾崎亜美、編曲:萩田光雄
[1985.3.1発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]

 上位5曲の一角に食いこんだのは、若林加奈のデビューシングル「PIRA★星物語」でした~ 冒頭の ♪ PIRA パリピラル~ やタイトル&曲調から、いかにも“PIRA”という名前の主人公が活躍する女の子向けアニメの主題歌っぽい作品なのですが、どういうワケか“さ”にあらず。・・・いやぁ、メルヘンチックなアニメ主題歌は世に沢山あれど、この「PIRA★星物語」ほど“アニメ主題歌”然とした曲はそうそうないと思うんですケドねぇ

 それはともかく、この曲は女性アイドル向けに書かれた尾崎亜美の正統派路線作品の中では、最も“尾崎亜美”度数の高い(=メルヘンチックでキラキラ感に満ちた)作品なのではないか
と、個人的には思っとります

 ところで、若林加奈の歌唱法は、いわゆる“ちりめんビブラート唱法”
というヤツで、厳しい音楽の専門家に言わせると“ご法度”なんだそうです。彼女、もともとの声質は素直でハリもあってなかなかいいモノを持っていたと思うので、シングル4作、オリジナルアルバム1作をリリースしたのみで早々に歌の世界からリタイアしてしまったのはちょっと勿体なかったですね・・・



第4位 私がいる (石嶺聡子) 【オススメ度★★★★】

作詞:尾崎亜美、作曲:尾崎亜美、編曲:富田素弘
[1995.3.8発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]

 独偏ベストテンの第4位は、石嶺聡子の2作目シングル「私がいる」でした~ すでに触れたように、女性アイドルと極めて相性の良いメルヘンチック・ワールドが尾崎亜美作品の真骨頂の一つと言えるのですが、その一方で、非アイドル系女性アーティストに提供したバラード群(数はあまりないのですが・・・)の中にも、ヒーリング効果を持ったアダルト向けの秀作が散見されるんですよね。中でもこの「私がいる」は、尾崎節が“てんこ盛り”で変化に富んだメロディと、希望に満ちあふれた歌詞とが高いレベルで融合した逸品で、ぜひ皆さんにも一度聴いてほしい作品ですすがすがしく流れるような石嶺聡子の歌唱もほぼパーフェクトと言って良いのではないでしょうか。

 ふと自分の心が折れそうになったとき、どうしようもなく辛くて仕方がないときに聴くと、「もう一度、前向きな気持ちを取り戻して頑張ってみようかな」と元気がもらえる
・・・そんなステキな曲なのです



第3位 二人だけのセレモニー (岡田有希子) 【オススメ度★★★★】

作詞:夏目純、作曲:尾崎亜美、編曲:松任谷正隆
[1985.1.16発売; オリコン最高位4位; 売り上げ枚数14.7万枚]

 第3位にランクインしたのは、岡田有希子の4作目シングル「二人だけのセレモニー」でした~ デビューシングルから3作連続で竹内まりや作品を歌って、清純派の“お姫さま”路線を地でいくアイドルとしての地位を固めたユッコですが、4~5作目では尾崎亜美作品にシフトして、基本路線は変えずに楽曲の難易度だけをアップ。それまでよりも少し大人っぽい方向に舵をとるという手法できました。ユッコのスタッフ側が、歌手としての彼女の最終到達地点を事務所の大先輩である松田聖子に設定していたであろうことが、この辺の時期からすでに伺えますよね(6作目以降のシングルの選び方で、その徴候はますます濃厚になってゆくワケです)。

 この「二人だけの・・・」では、終始一貫して“ささやき唱法”で音程をとらないといけない点と、パートごとにリズムが次々と変化していく点で、歌い手の表現力と歌唱力が大いに問われる
ところですし、AメロからBメロへとキー上昇を伴って転調する部分もアイドル歌謡としてはちょっと類を見ない難しいものだと思います。で、これだけ特異な構成の曲でありながら、聴き手を尾崎ワールドに引きずり込んでしまうパワーもしっかりと兼ね備えているのはお見事 まさに’80年代の女性アイドル歌謡シーンで脂の乗りきった活躍を見せてくれた尾崎女史の“金字塔”的な作品だと思うのです



第2位 幾千の涙を贈りたい (山口由子) 【オススメ度★★★★】
作詞:夏目純、作曲:尾崎亜美、編曲:武部聡志
[1988.12.10発売; オリコン最高位63位; 売り上げ枚数0.8万枚]

 堂々第2位にランクインしたのは、マイナーアイドルグループ(a-cha)出身の山口由子のソロデビューシングル「幾千(せん)の涙を贈りたい」でした。さすがにこの曲の世間的な知名度は低いでしょうね・・・。でも、歌っている山口由子は、1999年にリリースした月9ドラマ「オーバー・タイム」の主題歌「believe」が、オリコンベスト10入りするスマッシュヒットになったので、あるいはご存知の方もおられるのでは・・・ 実は彼女、一昨年前に書いた記事 【独偏ベストテン 4】 元気が出てくるJ-POP女性ソロ・シングル編 でも第5位に登場しているので、私のブログ記事には2度目の登場ということになるんですよね

 私が大学時代に所属していたサークル(歌謡研)が、彼女を学園祭のゲストとして呼んだのは、ちょうどこの作品をリリースした前後のことでした・・・(←回想モードへ突入した模様
)。当時の彼女はまだ19歳か20歳でしたが、ひと言でいうと「イケてるおねえちゃん」という感じだったなぁ(オヤヂが書くとちょっと生々しいですか)。もともとa-chaというグループ自体、彼女のソロデビュー準備のために結成されたようなものだったし、ルックスも歌唱力も偏差値60以上は確実にあるコでしたが、学園祭のステージではばっちり化粧を決めていて、アイドルというよりむしろレース・クイーンみたいなイメージだったのを、つい昨日のことのように思い出します。

 曲の方は、メジャーコードとマイナーコードが交互に登場して展開してゆく構成が実にドラマティックでいい
んだよなぁ・・・としみじみ。歌詞の方は、ちょうど20歳前後の女性の心象風景を紡いだような内容で、当時の山口由子のイメージともぴったり合っていました。「孤独」と書いて「よわさ」、「架空の虹」と書いて「このにじ」と読ませるなど、いくつか無理のあるフレーズが登場するのは“ご愛敬”といったところですが、歌詞のモチーフがしっかりしているせいか、軽薄さや嫌悪感のようなものは感じないんですよね・・・

(2016.7.7.更新)
 テレビ出演時のYouTubeとオリジナル音源を再アップしておきました
ぜひご堪能下さいね




第1位 オリビアを聴きながら (杏里) 【オススメ度★★★★★】
作詞:尾崎亜美、作曲:尾崎亜美、編曲:瀬尾一三
[1978.11.5発売; オリコン最高位65位; 売り上げ枚数5.5万枚]

 並みいる強豪を抑えて今回の独偏ベストテンの第1位に輝いたのは、杏里のデビューシングル「オリビアを聴きながら」でした~ わー、パチパチパチ 発売当時はオリコン50位にも入らず売り上げ枚数もイマイチでしたが、この作品の持つ魅力は長い年月を経てじわじわと世間に浸透していったみたいで、杏里のベストチューンに挙げる人も多い“不朽の名作”ですね

 ♪ 眠れぬ夜は 星を数えてみる
   光の糸をたどれば 浮かぶあなたの顔
   誕生日にはカトレアを忘れない
   優しい人だったみたい けれどおしまい

 ♪ 夜更けの電話 あなたでしょ
   話すことなど 何もない
   Making good things better
   愛は消えたのよ 二度と掛けてこないで
   疲れ果てたあなた 私の幻を愛したの

 この作品に初めて出逢ったのは、リリースから約1年後、私が中3の頃でしたが、感受性の強い時期だったせいか、この曲に登場するヒロインの心理がどうにもうまく理解できなくてかなり悶々とした
ものです(遠い目)。女性が「話すことなど何もない」、「二度と掛けてこないで」と強い“拒絶”を示して一つの恋愛に幕を引くにはそれなりに理由があると思う(いや、もしかすると明確な理由はないのかも・・・女心って難しいや)のですが、この作品の歌詞にはそれが提示されていないので、ついついあれこれ想像(妄想)してしまうんですよね・・・

 この曲には、杏里がブレイク後に録り直した別テイクもあるのですが、やはりここはオリジナルのシングルバージョンを聴いて欲しいところ(下にアップしたYouTubeは、オリジナル・シングルバージョンです
。おそらく若い世代にはイントロからして古臭いサウンドに聴こえるでしょうし、杏里の歌唱もやや音程が甘めで心許ないのですが、何度も何度も聴いているうちに、そうした“足りない”要素がどれもこれも心から愛おしくなってくるという、実に不思議な魅力を持った作品なのです。



 独偏ランキングの発表は以上になりますが、皆さんのお気に入り作品は登場したでしょうか・・・
 ちょっと笑ってしまったのは、前回の記事に対して皆さんから頂戴したコメントのベスト5予想がか~なりいい線いっていたことですね(独偏順位は企画の段階で決めてしまうので、コメントをもらってから順位を変える操作は一切していません。念のため)。う~む、これって私のセレクトがなかなかいい線いってたってこと それとも、単に私の嗜好パターンがだんだんバレてきただけかなぁ。何となく後者のような気がしなくもないですね・・・。いずれにせよ、今回の独偏ランキングは、’70年代後半に尾崎女史が一線級のアイドル歌手(南沙織、桜田淳子、榊原郁恵、岩崎良美)に対して提供した作品群がすっぽり抜けた結果になってしまっているので、あるいは異論のある方も少なくないのではないかと想像しています。でもまぁ、あくまで“私の独断と偏見で評価したらこうなったランキング”・・・ってことで、その辺りについてはご容赦下さいね~

 さてさて、毎度のことながらここまで長い記事をお読み下さった皆さん、本当にどうもありがとうございましたm(_ _ )m。次回の記事は 【独偏ベストテン Vol.39-3】 尾崎亜美の作曲シングル作品 (資料編) と題して、基礎データの資料を紹介しますので、引き続きお付き合い下さいね~
。ラストに、今回の独偏ベストテンを上位から順にまとめてご紹介しておきます。それでは、またお逢いしましょう~


【wishy-washyの独偏ベストテン 尾崎亜美作曲シングル(A面)】

第1位 オリビアを聴きながら (杏里) 【オススメ度★★★★★】
第2位 幾千の涙を贈りたい (山口由子) 【オススメ度★★★★】
第3位 二人だけのセレモニー (岡田有希子) 【オススメ度★★★★】
第4位 私がいる (石嶺聡子) 【オススメ度★★★★】
第5位 PIRA★星物語 (若林加奈) 【オススメ度★★★★】
第6位 素敵な休日 (堀ちえみ) 【オススメ度★★★★】
第7位 シャイネス・ボーイ (松本伊代) 【オススメ度★★★★】
第8位 天使のウィンク (松田聖子) 【オススメ度★★★】
第9位 夢追いスナイパー (上田浩恵) 【オススメ度★★★】
第10位 パステル・ラブ (金井夕子) 【オススメ度★★★】