【独偏ベストテン 29-1】 浅野ゆう子のシングル作品 (6~10位) | 歌謡曲(J-POP)のススメ

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音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 今回は、浅野ゆう子のシングルを対象とした独偏ベストテンでいってみたいと思いま~す

 ・・・ん
「浅野ゆう子じゃベストテンなんて成立しないんじゃないの・・・」なーんて声もちらほら聞こえてきそうですが、その辺は大丈夫。現在50~60歳代の方々の中には、日本人離れしたプロポーションをした13歳の女の子がヘアバンドとミニスカート姿で颯爽とデビューしたのをご記憶の方も多いはず・・・ですよね もっとも、ベストテンが成立することと、読者の皆さんにちゃんとついて来てもらえるかどうかはまた別問題なんですが・・・ ま、あまり気にせずいってみましょうか

 浅野ゆう子は、1974年にアイドル歌手としてデビュー
。同期のアイドルとしては伊藤咲子松本ちえこ林寛子シェリーリンリン・ランラン麻生よう子木之内みどり風吹ジュンなどがいました。前年にデビューした山口百恵桜田淳子キャンディーズ浅田美代子あたりと比較すると、1974年組が全体的に小粒な感じがするのは否めませんが・・・。ちょっと変わったところでは、「うわさのチャンネル」で強烈なギャグを披露して人気者になったマギー・ミネンコ、後に作詞家に転向するしのづかまゆみ(篠塚満由美)なんていうメンツも懐かしいですね

 最初の一年間は割と正統派のアイドル歌謡を歌っていた浅野ゆう子ですが、レコードセールス面で伸び悩んだこともあって、2年目からは、初期の山口百恵を思わせる“青い性典”路線を展開することに・・・
中学生の歌う思わせぶりな歌詞は、いま聴いても思わずドッキリものです・・・。デビュー3年目にはさらにディスコ歌謡路線にイメチェンして成功するも、その後は活動の軸足を徐々に女優の方へシフト。’80年代後半のバブル期に、浅野温子と共に「W(ダブル)浅野」としてトレンディ・ドラマの女王として君臨し、いまや大女優の一人として現役バリバリなのはすでに皆さんもご存知の通りですよね。・・・とはいえ、間もなくデビュー40周年を迎える彼女のパブリック・イメージを考えると、かなり激動の芸能人生を歩んできたお方と言えましょう

 そんなこんなで、彼女がこれまでにリリースした全シングルA面曲(21作品)の中から、私の独断と偏見によって10作品をピックアップしてみました
。記事の方は、6~10位、1~5位、資料編の3回に分けてお送りする予定です。

 それでは、さっそく順位の発表にうつりましょう
。第10位から第6位まではざっとこんな結果になりましたよ~()。


第10位 恋はダンダン 【オススメ度★★】

作詞:有馬三恵子、作曲:川口真、編曲:川口真
[1974.8.25発売; オリコン最高位38位; 売り上げ枚数5.1万枚]

 第10位に入ったのはセカンドシングルの「恋はダンダン」でした。彼女のシングルの中では3本の指に入るくらい有名な曲だと思います。めいいっぱい言葉遊びを繰り広げる歌詞がそれほど安っぽいイメージにまみれていないのは、一本スジの通ったテーマ(=大人のオンナへの目覚め)が明確に提示されているからではないでしょうか。

 ♪ あき~ のところで転調する展開はなかなかオリジナリティがあって面白いので、個人的にはかなり気に入ってたりします



 ♪ 大人になるのダンダンダン 秘密を持つのドンドンドン
   彼とはもう子供じみて駄目ダンダンダン
   秋 みんな教室へ帰り着き 想い出話をし合うとき
   何にもないのは駄目ね 今年こそは出逢いたい
   分かってきたのダンダンダン 隠していてもドンドンドン
   大人になる喜びについてダンダンダン





第9位 ムーンライト・タクシー 【オススメ度★★】
作詞:橋本淳、作曲:筒美京平、編曲:筒美京平、萩田光雄、サディスティックス
[1976.12.5発売; オリコン最高位54位; 売り上げ枚数4.7万枚]

 1976年に爆発したディスコ・ブームにあやかって発売された、浅野ゆう子としては第3弾のディスコ歌謡が第8位にランクインしました。作曲のクレジットこそ「筒美京平」ですが、J.ダイヤモンド名義で書いた「セクシー・バス・ストップ」、「ハッスル・ジェット」と基本的に同じコンセプト(=洋楽と思わせてヒットを狙う)に基づいて作られた作品です

 この曲が素晴らしいのは、スピード感溢れるスネアとキックが軽快に刻むリズムに、ヴォーカル・ストリングス・ギターが相性良く乗っかって、曲全体が心地良くまとまってカッコイイ
点に尽きるかと思います。単なる「2(3)匹目のドジョウねらい」に終わらない気合いのこもった曲づくりになっているのはサスガです



第8位 彼 【オススメ度★★★】

作詞:千家和也、作曲:川口真、編曲:川口真
[1974.12.??発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]


 第8位には、4作目シングル「彼」が入りました~
この作品を聴いてすぐに麻丘めぐみ「芽ばえ」を連想した方は勘がいいですね曲全体に漂う雰囲気が非常に似ていますし、冒頭の仮定形からあなた(彼)への想いを綴ってゆく構成も全く同じです。両作品とも作詞が千家和也センセなのはもちろん偶然ではないでしょう。

 “浅野ゆう子”のパブリック・イメージとはほど遠い、控えめな女のコが主人公の作品なのに、意外にもしっくりハマッているのが面白いところ
。彼女のシングル初期4作はどれも私が敬愛してやまない川口真センセの作曲なんですが、互いに類似する作品が一つもなくて作風がバラエティに富んでいるのはサスガといった感じです


 ♪ 彼という男の子を 知らなかったら
   きっと私いけない子に なっていたはず
   友だちも出来なくって 淋しかったし
   悩みごと話し合える 人もいなかった
   胸に涙をためていつも ひとりぼっちだったの
   だけど今は彼の心の中で 変わり始めているの




第7位 太陽のいたずら 【オススメ度★★★】

作詞:島田真由美、作曲:ダニー石尾、編曲:あかのたちお
[1975.6.5発売; オリコン最高位44位; 売り上げ枚数3.4万枚]

 第7位に入ったのは、彼女の5作目のシングルにして、“青い性典”へのイメチェン第一弾です。この曲、歌詞の内容も歌い方もなかなかエッチで嬉しいんですよねぇ。・・・んそんなんお前だけだって・・・ いやいや、この作品のリリース当時、私と同じように「ヤッター」と思った男どもは多いに違いありません(ほんまかいな)。

 デビュー当初こそオリコン30位台をマークしていた彼女も、この曲の直前2作ではオリコン100以内にもランクできない低迷状態に・・・
。そこでテコ入れ的にこの「太陽・・・」でイメチェンを試みたところ、売り上げをV字回復したという次第。彼女はデビュー当時から年齢不相応に大人びたイメージだったので、「旧態依然とした正統派アイドル歌謡を歌わせるんじゃつまらんっと不満に思っていた男どもがきっと多かったんでしょうね


 ♪ あなたにその気があるのなら
   悪い女の子になってあげてもいいのよ
   あなたにだったらまだ陽に焼けてない
   隠れた肌秘密の肌 見せてもいいのよ
   乱暴な誘惑 太陽のいたずら
   誰でも夏は大胆になる
   すべてはギラギラ 太陽のせい
   悪い女の子だなんて軽蔑しないで



 「悪い女の子になってあげてもいいのよ」とちょっともったいぶって、「すべては太陽のせい」なぁんて責任逃れしちゃうところなんか、若い女のコ特有の心の動きを的確に表していてなかなかウマいなぁ・・・なーんて思ったりするわけです



第6位 ストップ・ザ・カンバセーション 【オススメ度★★★】
作詞:小林和子、作曲:筒美京平、編曲:井上鑑
[1979.10.??発売; オリコン最高-位; 売り上げ枚数-万枚]

 この「ストップ・ザ・カンバセーション」は、浅野ゆう子のシングルの中ではほとんど知られていない作品だと思います
。作曲は筒美京平センセなんですが、浅野ゆう子が1976年に展開したディスコ歌謡路線とはまた異なる”典型的な歌謡曲”としてイイ感じに仕上がっているんですよねぇ。

 何と言っても、歌い出しからバックで猥雑に流れる’50’s調のサックスの音色が、背中がゾクゾクッとなるくらい魅力的
なんですよねぇ・・・。サビの ♪ Let’s Stop the Conversation 見つめ合う眼差しに 微熱が渦巻くの~ あたりのメロディとコード展開あたりも、筒美センセお得意のワザが炸裂していて言うことなしっ いやぁ、これだから歌謡曲はやめられないんだよな~。それと、この作品を聴くと、彼女がかなりの歌唱力の持ち主なんだってこともよく分かりますよね

 聴けば聴くほど味わい深い“隠れた名曲”ってことで、皆さんにもぜひ一度試して戴きたい作品なのです




  ・・・それでは、今日の記事はここまでとしましょう。次回は、【独偏ベストテン 29-2】 浅野ゆう子のシングル作品 (1~5位) と銘打ってお送りしますので、皆さん引き続きお付き合い下さいね~
(実は誰もついてきてない可能性もあるなぁと、一抹の不安を抱きつつ、フェイド・アウト・・・)。