21世紀に入ってPerfumeがブレイクしたことで、再び脚光を浴びることになった「テクノ歌謡」。その元祖として名高いのが、ジューシィ・フルーツの「ジェニーはご機嫌ななめ」(1980.6.1発売、オリコン最高位5位、売り上げ枚数36.9万枚)で、そのキュートなコンセプトと ポップなピコピコサウンドは、当時中学3年生だった私にとって、それはそれは衝撃的なものでした
今回のシングルよもやま話で取り上げるのは、ジューシィ・フルーツの生みの親である近田春夫センセのポップチューンです。
「ああ、レディハリケーン」(近田春夫)![](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/242.gif)
作詞:楳図かずお、作曲:近田春夫、編曲:矢野誠
[1979.9.21発売; オリコン最高位-位; 売り上げ枚数-万枚]
[歌手メジャー度★★; 作品メジャー度★; オススメ度★]
![ああレディ・ハリケーン(近田春夫)](https://stat.ameba.jp/user_images/20120627/19/wishy--washy/2d/d8/j/t02200221_0259026012050143931.jpg?caw=800)
「ああ、レディハリケーン」は、近田センセのソロ3枚目のシングル。テレビでは「近田春夫&BEEF」というクレジットが付いてました。このBEEFってのは近田センセのバックバンドで、元ガールズのイリア(奥野敦子)、後に「吐息でネット」(南野陽子)の作曲などで名を上げる柴矢俊彦、東京スタイルズの沖山”東京キケン野郎”優司と高木利夫、四人囃子の茂木由多加(早見優の一連の曲のアレンジャーとして有名)などが所属していました・・・つまり「ジューシィ・フルーツ」の前身です。
この曲、なかなか巧みな計算に基づいて作られてます。冒頭から異国情緒あふれるシンセフレーズで聴く者の興味をうまく惹いたと思ったら、畳みかけるような「テクノ歌謡」で強引に近田ワールドに引きずり込んじゃうあたりなんかはさすがといった感じ。それと時代の影響か、GSサウンドのテイストもそこはかとなく感じられますねぇ。やー、私こういう欲張りなのって大好物なんですよ
![](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/186.gif)
この曲は資生堂バスボンのCMソングってことで、近田センセもかなり気合いを入れて作ったはず。その甲斐あって、しっかりとキャッチーなサビが搭載された、CMソングに相応しい出来に仕上がっていると思うんですけどねぇ。どういうわけか、皆さんに手放しでお薦めするわけにいかない蟠(わだかま)りが残るんですよ・・・。で、その辺の理由について少し考えてみました。
もともと「歌謡曲」ってものは、良く言えば「親しみやすい(≒庶民的)」、悪く言ってしまうと「ちょっとカッコ悪い(≒チープな)」要素がどこかしらにあって、逆説的なようだけれど、それがまたたまらなく愛おしい要因になっていることは間違いありません。だけどそれにしたって、この「ああ、レディハリケーン」にまとわりつくチープさ加減は尋常でなく過剰です。これって近田センセ、ワザとなのかなぁ~
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以前、近田センセがどっかのラジオ番組で、「最初、自分は歌謡曲なんかキライでロックがやりたかった。でも自分がロックをやっても、どうしても歌謡曲になってしまう。」という趣旨のことを曰ってました。そりゃそうでしょう、センセみたいにロングトーンの最後にあんだけビブラートかけてちゃ、どうやったって歌謡曲にしか聞こえませんぜ
。私なんて最初、近田センセが聴き手を笑わせにかかってるんじゃないかと勘違いしたくらいですから・・・(どうやら近田センセは真剣みたいデス)![](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/139.gif)
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しかも、♪ ああああ~ レディ・ハリケーン の部分は、「全速力で走ったはいいけど勢い余ってつんのめって頭から砂かぶった・・・」みたいな様相を呈してるしなぁ(すいません分かりにくくて
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一方、楳図かずおが付けた詞の方を見ると、♪ ラメのボタンをいじくりながら バストを右手で確かめてみる あたりは上手いんだか上手くないんだか良く分からん歌詞だし
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週刊文春で長期連載中の「考えるヒット」で、独自の観点からJ-POP批評を繰り広げて、いまや確固たる地位を築き上げた近田センセにとって、この「ああ、レディハリケーン」は、もしかして「黒歴史」なのでは・・・
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