【独偏ベストテン 10-1】 沖田浩之のシングル作品 (1~10位) | 歌謡曲(J-POP)のススメ

歌謡曲(J-POP)のススメ

音楽といっても数々あれど、歌謡曲ほど誰もが楽しめるジャンルは恐らく他にありません。このブログでは主に、歌謡曲最盛期と言われる70~80年代の作品紹介を通じて、その楽しさ・素晴らしさを少しでも伝えられればと思っています。リアルタイムで知らない若い世代の方もぜひ!

 早いもので、独断と偏見のベストテンも、ついに10回目を迎えることになりました。そう言えば、このコーナーじゃまだ男性アイドルを扱ったことがないんですよね。・・・ってなわけで、今回はですねぇ、シングル作品に名曲が目白押しだと私が信じて疑わない沖田浩之を取りあげることにしましょう

 「タケノコ族」として原宿で踊っていた沖田浩之は、1980年、「3年B組金八先生」第2シリーズで主役級の不良役「松浦悟」を好演したことをきっかけに、一躍スターダムへと駆け上がりました。同シリーズでは、伊藤つかさ川上麻衣子ひかる一平などの人気タレントが誕生しています。

 翌81年には、阿木耀子による、セックスと喘ぎ声を描写した過激な歌詞が話題になった「E気持」で颯爽と歌手デビューオリコン最高位8位、売り上げ枚数17.8万枚のスマッシュヒットとなりました。
両手の人差し指で目尻を斜め上に押し上げて、ちょっと鼻声で♪いいきもっちぃ~ とやったら、ヒロ君いっちょあがり・・・当時、そんなモノマネが大いに流行ったものです

 デビューから2年間にリリースした8枚のシングルでは、彼らしいオリジナリティを前面に打ち出した力作が並びましたが、彼の場合もご多分に漏れず売り上げ枚数が徐々に下降の一途をたどることに・・・
。'83年には、ABCのヒット曲「ルック・オブ・ラブ」のパクリとの謗りを免れない迷作「困ったラブソング」をリリースしたり、♪お前にマラリア (「おまえにマラリア」)、♪お前に副作用 (「奇蹟の純情」)など、おビョーキシリーズ(不健康シリーズとも言う)を連発したりと、明らかに作品がパワーダウンしていったのでした(まぁ1~2年目の作品が良すぎたとも言えるのですが)。そして、'84年の「君に捧げるララバイ」を最後に、活動の軸足を俳優業へとシフトし、'99年に謎の自殺を遂げてしまいます

 さて、暗い気持ちはひとまず横に置いておいて、本題に移りましょうか。沖田浩之のシングル作品を対象に選んだ独偏ベスト10は次のようになりました。たった13曲の中から選ぶとなると、普通はせいぜいベスト5が成立するのが関の山~だと思うんですが、なにしろ沖田クンのシングルは名作揃いですからね。ちゃんとベスト10が成立しましたよ

1.とりあえずボディ・トーク (1982.12.21発売)【オススメ度★★★★★】
2.隠れアムール (1982.3.5発売)【オススメ度★★★★】
3.気絶するほど悩ましい (1982.9.1発売)【オススメ度★★★★】
4.熱風王子 (1982.5.21発売)【オススメ度★★★★】
5.E気持 (1981.3.21発売 【オススメ度★★★】
6.半熟期 (1981.6.21発売)【オススメ度★★★】
7.お前にマラリア (1983.8.25発売)【オススメ度★★】
8.はみだしチャンピオン (1981.8.26発売)【オススメ度★★】
9.奇蹟の純情 (1984.4.21発売【オススメ度★
10.冬のライオン (1983.11.21発売)【オススメ度★★】

 1位の「とりあえずボディ・トーク」は、ビーイングを創業した長戸大幸作曲によるドライブ感溢れるナンバー。曲全体を通してカッコいいのですが、特にサビの ♪ 背中に手を回せば もう一人のお前がしゃべる~ 
のところのメロディーラインは心の琴線にググッと触れまくり状態。ドーパミン過剰分泌状態で、んもうたまらんっといった感じです(なんのこっちゃ)



 2位「隠れアムール」は、冒頭のセリフ「どうして、どうして俺のものじゃないんだよ・・・」が印象的な作品です。
若さゆえの血気に逸る世界を描いたこの手の作品を歌わせると、沖田浩之は抜群に上手い。ええっと、これをトシちゃんやマッチが歌ったのではダメなのです(お分かりでしょうか?)。ちなみに、「アムール(amour)」は、フランス語で「愛人」のこと。「あなたの写真は踏めないよ・・・」という歌詞から分かる通り、「隠れキリシタン」を下敷きにしているのもなかなか面白いところです。



 3位「気絶するほど悩ましい」は、言わずと知れた
阿久悠センセ作詞の名作ですね。チャーのオリジナルも素晴らしいんですが、沖田浩之のカバーバージョンも、
自分の作品としてしっかりと咀嚼されていて見事な出来映えに仕上がっています。



 最後に。彼のよく通って色気のある独特の声質とメリハリの効いた歌唱は得難い素養だっただけに、たった36年間の短い人生、そして、たった4年間の短い歌手活動期間というのは本当に勿体なかった。私はいまだに彼のベスト盤をときどき聴きたくなるのですが、彼の歌声に聞き惚れるたびにそんなやるせない気持ちを抱いてしまうのです。衷心より合掌・・・。