長男のカイが急性膵炎で入院中、小さいころからお兄ちゃん大好きだった次男のリクは、カイの事を気にしていました。

 

入院した直後は、特に問題ありませんでしたが、カイがもうすぐ退院するという頃、リクが私が台所で夕飯を作っているところへ来て

「死にたい」と言ったのでした。

 

(前回の話はこちら)

えっ、いきなり?

もうすぐカイが退院するのになぜ!?

 

私はその言葉に不意を突かれてしまって、

えっ、こういう時なんて言ったらいいんだっけ?

思った事をそのまま言うなら「死ぬなんて簡単に言わないで!」なんだけど、

こうい事を言ってきたということは、話を聞いてもらいたいのだろう。

そこで、こう言ったら話、リクはもう何も言えなくなってしまうと思いました。

 

とっさに考えて、こういう時はまず共感してあげるのがよいと聞いていましたが、「死にたい」には流石に共感できません。

 

以前にカウンセラーさんにこういう時に、どうしたらよいか聞いておいたのですが、すっかり頭から飛んでしまっていました。

 

そこで自信はありませんでしたが、なんとか返した言葉は

「そんなに辛いの?」でした。

 

この言葉がよかったのかわかりませんが、とりあえずは答えは返ってきました。

「ずっと」

 

そりゃずっと引き籠ってやりたいこともなくて、ただただ過ごすのは辛いとは思いますが、辛かったら、何かやればよいのにと思いましたが、そこは我慢して、もっと吐き出させた方がよいなと思い

 

「何が嫌なの?」と聞いてみました。

 

「特にない」

 

えっ、特にないの?

 

その後、リクはその場に座り込んで、顔を両手で覆って声を出さずに泣き出してしまいました。えーん

 

「色々考えちゃうと辛いよね」と声を掛けましたが他に何を言ったらよいかわからず見守るしかできませんでした。

 

少しすると、リクは泣き止んで部屋に戻って行ってしまいました。

リクの部屋はそのままベランダに出られるので、私は心配でたまりませんでした。

 

ただ、ずっと付いているわけにもいかず

「私にわざわざ言ってくるくらいだから、実際に行動を起こすことはないだろう」と自分に言い聞かせました。

 

(続きます)