*このブログの紹介*

 

 書いている人:未苑真哉(みそのまや)

・働きながら年間読書数 約100冊

・己も小説書き。2023年文学レボリューションコンテストで大賞受賞🥇 

 苦節◯◯年、商業書籍デビューしました😭

 

 

・2024年、文芸社文庫NEO小説大賞で優秀賞🥈✨ 書籍化決定✨

 

 

お盆休みに入りましたね。

 

夏休み、といえば読書感想文

 

皆様はお好きでしたか、むしろ苦手でしたか? 未苑です。
私は好き勝手に書いた上に、分量オーバーして国語の先生に読む前から呆れられたトホホな学生時代でした😅。

さて、今回は夏真っ盛りな今の時期にぴったりな作品にしました。涼しい読後感を味わえる小説です。
 

✽言葉の星をわたる旅のような読書体験を✽

 

『賢治先生』 長野まゆみ 河出文庫

 

前回に引き続き、


拙著『人生投影式〈スクリーン・オブ・ライフ〉』特典版で行なわれましたビブリオバトル詳しくはこちら)参加作です。

拙著をリリースしてくださった出版社 22世紀アート

敏腕編集者・赤嶺《あかみね》さん
人生を変えた1冊です。
 
 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

ふと目覚めると、南へ向かう夜汽車に乗っていた賢治《けんじ》先生。
聖歌隊の少年でカムパネラ」と名乗る――カムパネルラではない、と断固言い張るおしゃべりな少年に声を掛けられます。そこへ途中乗車してきたジョバンが加わり、賑やかになる車内。
煩い二人に無視を決め込んでいましたが、
 
「北には、先生の探している人がいなかったから南へ向かっているのね」
 
と尋ねられて、賢治先生は答えます。
「トシに逢ひに行く」と……。

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
 
小説とはこうも美しくあるものか……!!
 
本書のあとがきで、

宮沢賢治の文章には

狂おしいほどの中毒性がある

 
サムネイル


と仰る著者・長野まゆみ先生が、〈賢治熱〉に浮かされながら、五感を刺激される言葉で細やかに編んだ織物のような作品でした。
例えば、
 

 “ジョバンナの指とカムパネッラの唇が、少しのあいだ静かに交流しました。

 向かい合った二人の躰のなかを、白く煌く結晶粉末《マグネシア》が行き交います。”


一文の美しさよ……!(☆下記参照)

 
また、天末線《スカイライン》、 黒晴《ひとみ》、苹果緑《アップルグリーン》(※林檎ではないのが良い)等の表記と、思春期魂をくすぐられっぱなし!
また、挿入される中毒性あるわらべうたにもノックアウトです。

それこそ、紹介者の赤嶺さんが
「文学部進学を決めた1冊」とのこと。
「すべての文章が映像で見える」と仰るだけあって、視覚を刺激する文章で編まれた本作に出会ったら、そりゃあ人生を文学に捧げようと決めちゃうよな……と納得しきりでした。

本作は『銀河鉄道の夜』のオマージュなのは言うまでもありません。
ええ、勿論、云十年振りに(何年かは聞かないで・苦笑)オリジナルの方も読み直しましたとも!!

 

 

 

 

『賢治先生』では本編になぞらえて、

ザネリの登場から、烏瓜の燈、ラッコの上着、薔薇いろ……と、細部にわたり、
 
まるで宮沢賢治の世界の双子のように彩られた世界です。
 
そうそう、カムパネッラの先生への問いが、ピネン、テレビン、躑躅《アゼリア》(※ツツジと読まないのがまた良い)、Cats Whiskers《コイル》、シロアヅマヤトリ……と、科学に偏っているのも憎いですし、
「石墨で商売なさるんですってね」と賢治の史実に重なるのもニヤリ。

そして何より、本作が
「ほんとうのさいわい」を求め続ける魂の追随者のような役割を果たしていることにグッときました。

『銀河鉄道の夜』と同じく、ジョバンナは病気がちな母の為に放課後に活版所で働いていますが、洋墨《インク》だらけの指を恥ずかしがる彼を、カムパネッラが唇をつけます(上記☆1の箇所)。
原典でのジョバンニとカムパネルラの結末を慮るに、もう、もう……!! (;_;)(;_;)(;_;)
読後には、その想いが成仏したような救いが(ToT)✨✨

また、原典と違う箇所だと、大正十二年の関東大震災の被害者を追悼する場面も出てきます。
他者の幸せを願う心が「ほんとうのさいわい」だとすれば、それが叶わなかった夭折した妹・トシへの賢治の胸を裂かれるような想いは如何許か……。

とかく澄んだ言葉と清らかさに満ちた作品が辿り着いた終着駅。
そこに、ただ黙って、賢治に寄り添う著者の敬意――ほんとうのさいわいへの祈りが感じられました。

 
「十代で読んでおけば良かった……」と読後に後悔した私。
とは言え、白状すると、当時の私は図書館で何度も気になりつつ手に取らなかったんですよね💦💦
代わり読んでいたのが谷崎、乱歩、第三の新人……と、そっち側を欲する思春期だったもので(笑)


ふと仰いだ夜空に 星になった誰かの想いの結晶を見つける

流れ星のようにあざやかな残像のような一冊でした。

昼の酷暑を逃れて夕暮れに開いたページに、遅れてやってきた十代の感傷《センチメンタル》を反芻するのも悪くないかもしれません☆☆


📖今回紹介の本はこちら  

 

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2025年8月9日

未苑 真哉 misonomaya✽

 

 

 

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