*このブログの紹介 *
書いている人:未苑真哉(みそのまや)
・働きながら年間読書数 約100冊
・己も小説書き。2023年文学レボリューションコンテストで大賞受賞🥇 苦節◯◯年の小説家デビューに一歩近づく😭✨
・2024年、文芸社文庫NEO小説大賞で優秀賞🥈✨ 書籍化決定✨
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暑中見舞い申し上げます、未苑真哉です。
毎日暑いですね💦
しかも関東地方は明日、台風上陸予定とのこと!!
南海トラフ地震注意もあり気が気ではないですが、どうか皆様が安全に過ごせますように。
『ななつのこ』 加納朋子 創元推理文庫
今回ご紹介するのは、連日の暑さにぴったりな、夏の〈日常の謎〉ミステリ
名作中の名作です。
“夜中に盗人が出ることから、親にスイカ畑の番を任されたはやて君。
寝ずの番をしたところ知らぬ間にスイカが盗まれてしまいます。悔しい想いで見つけた犯人は意外な相手で……。”
(第1話「スイカジュースの涙」より「すいかお化け」)🍉
田舎に住む少年・はやて君を主人公にした連作短編小説『ななつのこ』、
その愛読者になった短大生の|駒子《こまこ》。
作者の|佐伯《さえき》にファンレターを書くのですが、作中に感化され、自身の身近に起きた謎を思い出します。
先日近所で血の痕が道なりに続くという不可解な現象。
周囲は巷で人気の〈スイカジュース🍉〉をこぼした跡だ、と結論付けます。
しかし違和感を感じる駒子は、この事件を佐伯へのファンレターによもやま話として添えることに。
すると、何と佐伯からお返事が返ってきます。
しかも謎解きの答えが添えられて……!
いやー、面白い!!
何が面白いかって、連作短編それぞれの章で作中作『ななつのこ』と各章ともにミステリーが用意されているんです。
つまり、2倍おいしいサービス精神満点の連作短編集です。
こちらの作品で加納先生は鮎川哲也賞をご受賞✨、デビューされたそうですが納得です。
個人的には、3話目「一枚の写真」がぐっと来ました。
駒子の小学生時代のアルバムから1枚だけ写真が抜かれている、という話なのですが、その写真がある日郵送で突然戻ってきます。差出人は|橋本《はしもと》さん。あまり親しかった記憶のないクラスメイトです。
いつ橋本さんは写真を盗ったのか、なぜ、長い時を経て写真を戻してきたのか……。
これがもう、動機がめちゃくちゃ切ないです……。
これに呼応する物語「空の青」でも、はやて君の友達が青色の絵の具を盗ってしまうのですが、この理由もまた胸に迫ります。
そして、
〈他人からしたら意識もされない一瞬〉が〈誰かの宝物〉かも知れないことを
駒子は佐伯から教えて貰います。
この関係性、同じく創元推理文庫の
北村薫《きたむらかおる》先生の〈先生と私シリーズ〉と近いかも知れません。
どちらも20歳前後の女性主人公でメンターとなるのが〈先生〉。
文通仲《ペンパル》になった駒子と佐伯先生の謎解きには、《《付かず離れず》》の距離ゆえ許された、穏やかな絆にじんわりします。
誰にでも、人に言えない苦しみを抱えているもの。
それは自分の影のようにひっそりと付いて離れない。
光が強いほど、それは濃くなる。
〈先生〉とのささやかな会話の中で翳りをすくって貰えることが、
〈問題〉を抱える私達の〈光〉となるのかもしれません。
改めて、日常の謎には得体のしれない魅力があります。
私自身が〈対権力〉系のお話が得意でないせいですが💦
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