エリック・ドルフィー・クインテットがファイヴ・スポットに出演した時のライヴ録音盤の第二巻で、23歳で早逝したブッカー・リトルの存在が貴重です。彼の作曲の才能は「AGGRESSION」によく現れていますが、この曲は3枚に亘る“ファイヴ・スポット”の白眉ともなりました。クリフォード・ブラウンを25歳で亡くし、ブッカー・リトルを23歳で亡くしたトランペット界。「嗚呼!」

 

ERIC DOLPHY(as,bcl) BOOKER LITTLE(tp) MAL WALDRON(p) RICHARD DAVIS(b) ED BLACKWELL(ds)

 

89点  side1-1  「AGGRESSION」                          1961/7/16

86点  side2-1  「LIKE SOMEONE IN LOVE」     1961/7/16

 

「アグレッション(1-1)」

B.リトルのオリジナルですが、B.リトルには作曲の才もあることがよく分かります。速いテンポの曲で、マルのピアノから始まります。ソロはB.リトル(tp)からですが、本領発揮の素晴らしいソロです。クリフォード・ブラウンを乾かして鋭くしたような圧巻のトランペット・ソロを聴かせてくれます。マルはB.リトルのソロに対して、音の塊をぶつけて火花を散らせます。次はE.ドルフィー(bcl)ですが、マルは変わらず音の塊をぶつけていきます。その次のマルは、人形が鋭い動きでダンスを踊るかのようですが、この人形には魂が宿っています。その後はR.デイヴィス(b)のスリリングなソロ、管二人とE.ブラックウェルのフォー・バース、E.ブラックウェルのドラム・ソロとなります。この曲が“ファイヴ・スポットでの“白眉”だと思います。お洒落で格好良く気品があり別格目前の89点です。

「ライク・サムワン・イン・ラヴ(1-2)」

J.V.ヒューゼンの曲です。M.ウォルドロンの前奏があり、B.リトル(tp)とE.ドルフィー(fl)それにR.デイヴィス(b)弓弾きの三者でテーマを演ります。ソロはE.ドルフィー(fl)からで、テーマ部とは異なりソロ・パートは伝統的なフォー・ビートです。ソロの二番手はB.リトル(tp)、ここまでマルのバッキングは伝統的なハード・バップ・ピアノです。その次がマルのピアノですが、やはりメインストリームをマルなりに行くという趣です。その後R.デイヴィス(b)がソロをとります。伝統的なフォー・ビートにE.ドルフィー(fl)とB.リトル(tp)の革新的なソロが乗るという構図で、ちょっといい86点です。

 

89点  side1-1  「AGGRESSION」                          1961/7/16

 

86点  side2-1  「LIKE SOMEONE IN LOVE」     1961/7/16