エリック・ドルフィー・クインテットがファイヴ・スポットに出演した時のライヴ録音盤で、23歳で早逝したブッカー・リトルの存在が貴重です。E.ドルフィーは半分前衛、B.リトルは先進的なメインストリーマー、マルは個性的なメインストリーマーといった印象です。

 

ERIC DOLPHY(as,bcl) BOOKER LITTLE(tp) MAL WALDRON(p) RICHARD DAVIS(b) ED BLACKWELL(ds)

 

87点  side1-1  「FIRE WALTZ」              1961/7/16

87点  side1-2  「BEE VAMP」                  1961/7/16

86点  side2-1  「THE PROPHET」          1961/7/16

 

「ファイアー・ワルツ(1-1)」

M.ウォルドロンのオリジナルです。M.ウォルドロンの前奏で始まり、E.ドルフィー(as)とB.リトル(tp)がテーマを吹きます。ソロはE.ドルフィー(as)、B.リトル(tp)、M.ウォルドロンの順です。B.リトルはハッキリとクッキリとした音色で長いフレーズを鋭角的に歌って88点、マルは地面に落ちた小枝を拾っては積み上げ拾っては組み上げて、木と木の間に新しい木を作り上げます。上へ上へと繰り返される作業で88点。トータルでは、お洒落で格好いい87点です。

「ビー・ヴァンプ(1-2)」

B.リトルのオリジナルで、スリリングな曲です。ソロはB.リトル(tp)からで、以下E.ドルフィー(bcl)、M.ウォルドロン、最後にR.デイヴィス(b)がソロと言うよりは「一旦俺が引き取る」といった感じになります。マルは左側の低音鍵盤から始めて、次第次第に右側の高音鍵盤へとシステマチックに移って行くソロで、三人の中で最も秀逸だと思います。お洒落で格好いい87点です。

「ザ・プロフェット(2-1)」

E.ドルフィーのオリジナル故か、やや前衛臭のあるテーマです。長いサビはE.ドルフィー(as)で、ソロもE.ドルフィー(as)からです。マルは半前衛風と言えるE.ドルフィーのソロをほぼオーソドックスに後ろで支えます。ここまでは85点。次いでソロはB.リトル(tp)に移ります。リトルのソロはメインストリームを先進的に歩んでいる感があります。次にマルすが、マルのソロはバックで弾いている時もそうでしたが、若干のペーソスを含んでいます。右手で繰り返し“こうだろう、こうだろう”と語りかけて来るようです。四人目でR.デイヴィス(b)のソロがあり、テーマに戻ります。ちょっといい86点です。

 

87点  side1-1  「FIRE WALTZ」              1961/7/16

 

87点  side1-2  「BEE VAMP」                  1961/7/16

 

86点  side2-1  「THE PROPHET」          1961/7/16