マル・ウォルドロンの傑作アルバムです。若者たちは半世紀ほど昔のジャズ喫茶で深刻な顔をして聴いていました。勿論私も…。マルはこれまでにも沢山の曲を残して来ましたが、ここに「LEFT ALONE」という大傑作を作ってくれました。これは作曲家としての最初のピークだと思います。それにしてもA面は素晴らしい!…。

 

MAL WALDRON(p) JULIAN EUELL(b) AL DREARES(ds)  JACKIE McLEAN(as)

 

98点  side1-1  「LEFT ALONE」                           1959/2/24

89点  side1-2  「CAT WALK」                               1959/2/24

93点  side1-3  「YOU DON’T KNOW WHAT LOVE IS」1959/2/24

86点  side2-1  「MINOR PULSATION」                1959/2/24

86点  side2-2  「AIRGIN」                                     1959/2/24

----点  side2-3  「INTERVIE」                                 1959/2/24

 

「レフト・アローン(1-1)」

M.ウォルドロンのオリジナルです。作詞はB.ホリデイですが、レコーディングは残されていません。ビリーに代わってJ.マクリーンがアルト・サックスでこの歌を歌います。マルらしい重厚な前奏の後、J.マクリーンがビリーに代わって歌います。マルの伴奏はビリーの時よりもマルらしさを前面に打ち出しています。マクリーンとマルが魂をぶつけ合うこのテーマを聴くだけで「もう充分…」という気持ちになります。しかし、続くマルのソロは何とも言えず良くて、ビリーの哀しさを代わりにピアノで歌っているようです。最後にJ.マクリーンがテーマから離れないソロを吹き、そして完璧なテーマへと移ります。マルとマクリーン渾身の演奏は、他人(ひと)に奨めたいほどで、感動の極みの八合目に達する98点です。

「キャット・ウォーク(1-2)」

M.ウォルドロンのオリジナルです。J.ユーエル(b)から始まりますが、このベースのイントロが「いいですねー」。そしてマルのピアノがテーマを奏でます。前の曲の哀しい気分が残っており、この曲もなかなか良いです。マルの作曲の才能が花開いたという感があります。その後J.ユーエル(b)のソロがあり、マルのソロに移ります。ピアノを叩きつけるようなソロで、アドリブに於いてもマルの境地が跳ね上がって、マルが強く出てきたと感じます。お洒落で格好良く気品があり別格目前の89点です。

「ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ(1-3)」

G.デポールの曲です。『LADY IN SATIN / BILLIE HOLIDAY』ではマルのピアノが聴こえませんでしたが、ここでは最初から最後までマルのピアノです。重く叩きつけるようなピアノでテーマを弾き、ビリーとは違った表現でこの曲を聴かせてくれます。又しても「テーマだけで充分…」という気分になってしまいましたが、アドリブ・パートに入っても、充分と思ったその続きを聴かせてくれました。そしてそのまま重たくテーマに戻ります。気品があり別格でいつまでも浸っていたく、他人(ひと)に奨めようかなという気がよぎる93点です。

「マイナー・パルゼイション(2-1)」

M.ウォルドロンのオリジナルです。A.ドリアース(ds)から始まり、マルはハンマー打鍵奏法、モールス信号、繰り返しに変奏とあまりにもマル的な演奏を聴かせます。J.ユーエル(b)に活躍の場を与え、A.ドリアースにソロを取らせて、テーマに戻ります。極めてマル的ではありますが、ちょっといい86点です。

「エアジン(2-2)」

S.ロリンズのオリジナルです。マルの重厚なピアノから始まり、テーマをマルの重たい鎧で包みます。ソロ・パートからは一転してスインギーになります。J.ユーエル(b)のソロ、マルとA.ドリアース(ds)のフォー・バース、マルのソロと続きます。最後のソロは良いのですが、ちょっといい86点です。

「インタビュー(2-3)」

プロデューサーを務めたT.チャールスの質問にマルが答えた形のインタビューです。

 

98点  side1-1  「LEFT ALONE」                           1959/2/24

 

89点  side1-2  「CAT WALK」                               1959/2/24

 

93点  side1-3  「YOU DON’T KNOW WHAT LOVE IS」1959/2/24

 

86点  side2-1  「MINOR PULSATION」                1959/2/24