マル・ウォルドロン名義で行われた、プレスティッジのスタジオ・セッションで、1957/4/19 , 1957/5/17のものが3曲ずつ収められています。最大の聴きものはマルのオリジナル・ブルース「ONE BY ONE」で、「J.M’S DREAM DOLL」と「DON’T EXPLAIN」もなかなか良いです。
1957/4/19 (1-2) (2-2,3)
BILL HARDMAN(tp) JACKIE McLEAN(as) JOHN COLTRANE(ts) MAL WALDRON(p) JULIAN EUELL(b) ART TAYLOR(ds)
1957/5/17 (1-1,3) (2-1)
IDREES SULIEMAN(tp) SAHIB SHIHAB(as,brs) JOHN COLTRANE(ts) MAL WALDRON(p) JULIAN EUELL(b) ED THIGPEN(ds)
86点 side1-1 「FROM THIS MOMENT ON」 1957/5/17
89点 side1-2 「J.M’S DREAM DOLL」 1957/4/19
86点 side1-3 「THE WAY YOU LOOK TONIGHT」 1957/5/17
92点 side2-1 「ONE BY ONE」 1957/5/17
89点 side2-2 「DON’T EXPLAIN」 1957/4/19
86点 side2-3 「POTPOURRI」 1957/4/19
「フロム・ジス・モーメント・オン(1-1)」
C.ポーターの曲です。疾走感があるテーマのサビはM.ウォルドロンです。ソロで真っ先に飛び出すのはJ.コルトレーン(ts)、大空を飛び回る練習に余念がない若き龍の趣です。S.シハブ(as)はハキハキとしたアルト・サックスで、良いと思います。その後I.シュリーマン(tp)、そしてM.ウォルドロンも不器用に疾走します。ちょっといい86点です。
「ジャッキー・マクリーンズ・ドリーム・ドール(1-2)」
M.ウォルドロンのオリジナルです。マルの沈鬱なピアノから始まり、テーマを合奏してソロはM.ウォルドロンからです。心に沁みるピアノで「いいですねー」J.コルトレーン(ts)は完成途上ですが、バラードは聴かせてくれます。次にB.ハードマン(tp)、J.マクリーン(as)ですが、マクリーンもバラードでは独特の味を見せます。そうです、「レフト・アローン」に続く…。お洒落で格好良く気品があり別格目前の89点です。
「ザ・ウェイ・ユー・ルック・トゥナイト(1-3)」
J.カーンの曲です。三管とマルのピアノを対比させたテーマで、ソロはS.シハブ(as)、I.シュリーマン(tp)、J.コルトレーン(ts)、M.ウォルドロンです。J.コルトレーンのソロは1957/4/19のものと較べると、僅か一ヶ月ながら大きく進歩しています。この進歩が二週間後の初リーダー・アルバムに繋がったのではないでしょうか。一方のマルは繰り返しとパターンを変化させてゆくマルらしいソロで、個性を発揮しています。ちょっといい86点です。
「ワン・バイ・ワン(2-1)」
M.ウォルドロンのオリジナルです。J.ユーエルのウォーキング・ベースが心地よく、テーマをブレイクするようにソロへと入るI.シュリーマン(tp)が格好いいです。この人は普段やや足を引っ張り気味ですが、ブルースをやらせると俄然調子が出ます。S.シハブ(as)も良いソロで続き、次はJ.コルトレーン(ts)です。コルトレーンのソロは押し出しが良く風格をすら備えつつあります。次のマルは得意の訥弁でブルースを歌います。気品があり別格でいつまでも浸っていたい92点です。
「ドント・イクスプレイン(2-2)」
A.ヘルツォーグの曲で、作詞はビリー・ホリデーです。テーマの部分ではJ.マクリーンの吠えるようなアルト・サックスが印象的です。ソロはB.ハードマン(tp)から。J.コルトレーン(ts)は安心安定のバラード・プレイを聴かせます。テーマを荘重に演って終わります。マルのソロはありません。お洒落で格好良く気品があり別格目前の89点です。
「ポープーリー(2-3)」
M.ウォルドロンのオリジナルです。ハード・バップそのもののテーマ部があり、ソロはJ.マクリーン(as)から。以下B.ハードマン(tp)、J.コルトレーン(ts)、M.ウォルドロンと続きますが、マルのピアノが最も光っていると感じます。平凡なハード・バップではないからでしょうか。ちょっといい86点です。
86点 side1-1 「FROM THIS MOMENT ON」 1957/5/17
89点 side1-2 「J.M’S DREAM DOLL」 1957/4/19
86点 side1-3 「THE WAY YOU LOOK TONIGHT」 1957/5/17
92点 side2-1 「ONE BY ONE」 1957/5/17
89点 side2-2 「DON’T EXPLAIN」 1957/4/19
86点 side2-3 「POTPOURRI」 1957/4/19