日本のポリドールが権利を保有しているクレフ/ヴァーヴ、メトロ・ジャズ、MGMレーベルに録音したビリー・ホリデイを全曲集大成した10枚組ボックスです。

8枚目(side15,16)はビリー・ホリデイ最後のスタジオ・セッションで、ラスト・アルバムとなった『LAST RECORDING』にあたります。「LADY IN SATIN」の続編が一年後に出た!という趣きです。編曲指揮はレイ・エリスです。センスの良さは変わりません。1959/3/3の4曲は揃って名演で、「LADY IN SATIN」の続編としての魅力が充分です。1959/3/4と1959/3/11の計8曲はビリーとしてはやけに明るいです。どうしたかと思えるほど明るいです。どうもビリー・ホリデイとレイ・エリスは「LADY IN SATIN」で燃え尽きていたようです。

 

1959/3/3 (15-1~4)

BILLIE HOLIDAY(vo) JIMMY CLEVELAND(tb) ROMEO PENQUE(as,ts,bcl) ELVIN JONES(ds) KENNY BURREL(g) JOE BENJAMEN(b) OSIE JOHNSON(ds) JANET PUTNAM(harp) 4strings  RAY ELLIS(arr,cond)

 

1959/3/4 (15-5,6) (16-1,2)

BILLIE HOLIDAY(vo) HARRY EDISON(tp) JIMMY CLEVELAND(tb) GENE QUILL(as) BARY GALBRAITH(g) HANK JONES(p) MILT HINTON(b) OSIE JOHNSON(ds) 12strings  RAY ELLIS(arr,cond)

 

1959/3/11 (16-3~6)

BILLIE HOLIDAY(vo) HARRY EDISON(tp) JOE WILDER(tp) BILLY BYERS(tb) AL COHN(ts) DANNY BANK(brs) HANK JONES(p) BARY GALBRAITH(g) MILT HINTON(b) OSIE JOHNSON(ds) RAY ELLIS(arr,cond)

 

93点  side15-1  「ALL THE WAY」                                      1959/3/3

92点  side15-2  「IT’S NOT FOR ME TO SAY」                 1959/3/3

92点  side15-3  「I’LL NEVER SMILE AGAIN」                1959/3/3

91点  side15-4  「JUST ONE MORE CHANCE」               1959/3/3

88点  side15-5  「WHEN IT’S SLEEPY TIME DOWN SOUTH」1959/3/4

89点  side15-6  「DON’T WORRY ‘BOUT ME」                  1959/3/4

89点  side16-1  「SOMETIMES I’M HAPPY」                    1959/3/4

88点  side16-2  「YOU TOOK ADVANTAGE OF ME」       1959/3/4

89点  side16-3  「THERE’LL BE SOME CHANGES MADE」1959/3/11

88点  side16-4  「’DEED I DO」                                          1959/3/11

88点  side16-5  「ALL OF YOU」                                        1959/3/11

88点  side16-6  「BABY, WON’T YOU PLEASE COME HOME」1959/3/11

「オール・ザ・ウェイ(15-1)」

J.V.ヒューゼンの曲です。レイ・エリスの編曲指揮が「いいですねー」。B.ホリデイは広々としたところで人を包み込むように歌っているような印象です。ビリーとしてはちょっと珍しいかもしれませんね。R.ペンクのアルト・サックスも出て来ます。気品があり別格でいつまでも浸っていたく、他人(ひと)に奨めようかなという気がよぎる93点です。

「イッツ・ノット・フォー・ミー・トゥー・セイ(15-2)」

R.アレンの曲です。B.ホリデイの歌から始まります。ビリーはゆったりとした気分にしてくれますが、歌の底の方に悲しみが揺蕩っているように感じます。気品があり別格でいつまでも浸っていたい92点です。

「アイル・ネヴァー・スマイル・アゲイン(15-3)」

F.ローウェの曲です。B.ホリデイはここもゆったりと歌い、J.クリーブランド(tb)が間奏を務めます。気品があり別格でいつまでも浸っていたい92点です。

「ジャスト・ワン・モア・チャンス(15-4)」

A.ジョンストンの曲です。イントロはJ.ベンジャミン(b)。B.ホリデイはゆっくりとしたテンポで柔らかく歌います。ここも間奏はJ.クリーブランド(tb)です。気品があり別格でちょっと浸りたい91点です。

「ホエン・イッツ・スリーピー・タイム・ダウン・サウス(15-5)」

L.T.レーンの曲で、生ギターをバックにB.ホリデイが語り始めます。その後サッチモでお馴染みのメロディーが歌われ、J.クリーブランド(tb)がソロをとり、B.ホリデイが歌います。締めにサッチモがやった「Good Evening Everybody」は勿論無く、最後をリフレインしてフェイド・アウトします。お洒落で格好良く僅かながら気品を感じさせる88点です。

「ドント・ウォリー・アバウト・ミー(15-6)」

B.ホリデイが一人で歌い出し、すぐにオーケストラがバックを務めます。B.ホリデイは「私のことは心配しないで」という言葉を、きっと本心とは裏腹に努めてサラリと投げかけているようです。G.クイルがハード・バップらしいアルト・サックスを挟んでくれます。お洒落で格好良く気品があり別格目前の89点です。

「サムタイムズ・アイム・ハッピー(16-1)」

V.ユーマンスの曲です。M.ヒントン(b)、G.クイル(as)、J.クリーブランド(tb)の三人がイントロを受け持ち、B.ホリデイはくっきりとしたリズムをバックにビリーらしい後ノリをします。お洒落で格好良く気品があり別格目前の89点です。

「ユー・トゥック・アドヴァンテッジ・オヴ・ミー(16-2)」

R.ロジャースの曲です。イントロはG.クイル(as)。B.ホリデイは、彼女としては明るく、しかしやや投げやりな気分で歌います。G.クイル(as)を挟んで再度B.ホリデイです。お洒落で格好良く僅かながら気品を感じさせる88点です。

「ゼアル・ビー・サム・チェンジズ・メイド(16-3)」

W. B.オーヴァーストリートの曲です。イントロはH.エディソン(tp)ミュート。B.ホリデイは少しグルーヴィーに、しかし少女の気分を残した歌唱を見せます。A.コーン(ts)のソロを受けてB.ホリデイです。お洒落で格好良く気品があり別格目前の89点です。

「ディード・アイ・ドゥー(16-4)」

W.ハーシュの曲です。B.ホリデイの歌から始まります。B.ホリデイはやや明るく歌い、若やいでいるようにさえ聞こえます。H.エディソン(tp)ミュートのソロがありB.ホリデイが最後を締めます。お洒落で格好良く僅かながら気品を感じさせる88点です。

「オール・オヴ・ユー(16-5)」

C.ポーターの曲です。オーケストラがイントロを奏し、B.ホリデイは明るい気分で歌います。A.コーン(ts)のソロがあり、最後B.ホリデイです。お洒落で格好良く僅かながら気品を感じさせる88点です。

「ベイビー・ウォント・ユー・プリーズ・カム・ホーム(16-6)」

C.ワーフィールドの曲です。オーケストラとH.エディソン(tp)ミュートがイントロを奏し、B.ホリデイ→H.エディソン(tp)ミュート→B.ホリデイと続きます。ビリーは一所懸命に歌っているという印象です。お洒落で格好良く僅かながら気品を感じさせる88点です。

 

93点  side15-1  「ALL THE WAY」                                      1959/3/3

 

92点  side15-2  「IT’S NOT FOR ME TO SAY」                 1959/3/3

 

92点  side15-3  「I’LL NEVER SMILE AGAIN」                1959/3/3

 

91点  side15-4  「JUST ONE MORE CHANCE」               1959/3/3