ヴァーブに残されたビリー・ホリデイの作品をピック・アップした国内盤です。1面はJ.A.T.P.のもので、2面は大和明氏の選曲によるものです。岩浪洋三・児山紀芳・油井正一という当時の巨頭評論家三氏が選んだだけあり、平均点で91点を超えるアルバムとなりました。特に素晴らしいのがJ.A.T.Pのものです。
1945/2/12 (1-1~8)
BILLIE HOLIDAY(vo) JOE GUY(tp) prob.BUCK CLAYTON(tp) TOMMY TURK(tb) WILLIE SMITH(as) prob.LESTER YOUNG(ts) prob.COLEMAN HAWKINS(ts) MILT RASKIN(p) prob.IRVING ASHBY(g) RED CALENDER(b) DAVE COLIMAN(ds)
1952/4/1 (2-1)
BILLIE HOLIDAY(vo) CHARLIE SHAVERS(tp) FLIP PHILLIPS(ts) OSCAR PETERSON(p) BARNEY KESSEL(g) RAY BROWN(b) J.C.HEARD(ds)
1952/7/27 (2-2)
BILLIE HOLIDAY(vo) JOE NEWMAN(tp) PAUL QUINICHETTE(ts) OSCAR PETERSON(p) FREDDIE GREEN(g) RAY BROWN(b) J.C.HEARD(ds)
1954/9/3 (2-3)
BILLIE HOLIDAY(vo) WILLIE SMITH(as) HARRY EDISON(tp) BOBBY TUCKER(p) BARNEY KESSEL(g) RED CALENDER(b) CHICO HAMILTON(ds)
1955/2/14 (2-4)
BILLIE HOLIDAY(vo) CHARLIE SHAVERS(tp) TONY SCOT(cl) BUDD JOHNSON(ts) CARL DRINKARD(p) BILLY BAUER(g) LEONARD GASKIN(b) COZY COLE(ds)
1955/8/23 (2-5)
BILLIE HOLIDAY(vo) HARRY EDISON(tp) BENNY CARTER(as) JIMMY ROWLES(p) BARNEY KESSEL(g) JOHN SIMMONS(b) LARRY BUNKER(ds)
1957/1/7 (2-6)
BILLIE HOLIDAY(vo) HARRY EDISON(tp) BEN WEBSTER(ts) JIMMY ROWLES(p) BARNEY KESSEL(g) RED MITCHELL(b) ALVIN STOLLER(ds)
92点 side1-1 「BODY AND SOUL」 1945/2/12
96点 side1-2 「STRANGE FRUIT」 1945/2/12
91点 side1-3 「TRAV’LIN’ LIGHT」 1945/2/12
90点 side1-4 「HES FUNNY THAT WAY」 1945/2/12
94点 side1-5 「THE MAN I LOVE」 1945/2/12
91点 side1-6 「GEE BABY AIN’T I GOOD TO YOU」1945/2/12
93点 side1-7 「ALL OF ME」 1945/2/12
89点 side1-8 「BILLIE’S BLUES」 1945/2/12
88点 side2-1 「EVERYTHING I HAVE IS YOURS」1952/4/1
95点 side2-2 「MY MAN」 1952/7/27
92点 side2-3 「STORMY BLUES」 1954/9/3
87点 side2-4 「ALWAYS」 1955/2/14
88点 side2-5 「PLEASE DON’T TALK ABOUT ME WHEN I’M GONE」1955/8/23
90点 side2-6 「DAY IN DAY OUT」 1957/1/7
「ボディ・アンド・ソウル(1-1)」
(1-1~8)はJ.A.T.P.コンサートによるものです。これはJ.グリーンの曲です。 M.ラスキン(p)のイントロを受け、B.ホリデイは管奏者達のオブリガードを受けて、このジャズの名曲を一人で最後まで歌います。ゆったりとして大らかですらあります。気品があり別格でいつまでも浸っていたい92点です。
「ストレンジ・フルート(1-2)」
B.ホリデイのオリジナルです。咳払いを二つして、B.ホリデイは殆どピアノだけをバックに、この歌を大聴衆を前にして歌います。J.A.T.P.という場にそぐわないのではという懸念も感じますが、聴衆は大きな拍手を送りました。気品があり別格の90点です。
「トラヴェリン・ライト(1-3)」
T.ヤングのオリジナルです。B.ホリデイはいつもより遅めに、一句一句に心を込めて歌います。バックはピアノだけです。JATPの聴衆は静まり返ってビリーの歌に浸りますが、曲が終わると同時に万雷の拍手を送ります。気品があり別格でいつまでも浸っていたく、他人(ひと)に奨めようかなという気がよぎる93点です。
「ヒーズ・ファニー・ザット・ウェイ(1-4)」
R.A.ホワイティングとN.モレットの共作です。M.ラスキン(p)がイントロを弾き、B.ホリデイはそのピアノ・トリオをバックにして歌います。気品があり別格の90点です。
「ザ・マン・アイ・ラヴ(1-5)」
G.ガーシュインの曲です。M.ラスキン(p)がイントロを弾き、B.ホリデイが歌いますが、この日この時限りの「THE MAN I LOVE」で、皆が其々でオブリガードを付けます。B.ホリデイの歌と皆のオブリガードが一体となり、これまでで最高の「THE MAN I LOVE」になりました。気品があり別格でいつまでも浸っていたく、他人(ひと)に奨める直前の94点です。
「ジー・ベイビー・エイント・アイ・グッド・トゥー・ユー(1-6)」
D.レッドマンのオリジナルです。M.ラスキン(p)のイントロ、B.ホリデイの歌という同じパターンで、今度はブルース・フィーリングに溢れた歌唱です。B.ホリデイが曲の前後に咳払いをするのが気になります。喉の調子が悪いのでしょうか。気品があり別格でちょっと浸りたい91点です。
「オール・オヴ・ミー(1-7)」
G.マークスとS.シモンズの共作です。B.ホリデイはスインギーに歌い、集団オブリガードとでも呼ぶべきものと、得も言われぬ調和を見せます。喉の調子が良くないのに健気にステージを努めるB.ホリデイの姿を想像してしまいました。気品があり別格でいつまでも浸っていたく、他人(ひと)に奨めようかなという気がよぎる93点です。
「ビリーズ・ブルース(1-8)」
B.ホリデイのオリジナルです。前の曲に対する長い拍手を受け、咳払いを一つしてB.ホリデイはM.ラスキン(p)のイントロの後歌い始めますが、声が荒れています。心配になります。お洒落で格好良く気品があり別格目前の89点です。
「エヴリシング・アイ・ハヴ・イズ・ユアーズ(2-1)」
H.アダムソンとB.レインの共作です。O.ピーターソン(p)のイントロで始まり、B.ホリデイがムーディーに歌います。オブリガードはF.フィリップス(ts)でソロもとります。再びB.ホリデイが出て終わります。お洒落で格好良く僅かながら気品を感じさせる88点です。
「マイ・マン(2-2)」
M.イヴァンの曲です。O.ピーターソンの良いイントロから始まり、B.ホリデイ今日は最初からインテンポです。途中に語りが入り、その後インテンポです。変化を求めたようです。気品があり別格でいつまでも浸っていたく、他人(ひと)に奨めたいほどの95点です。
「ストーミー・ブルース(2-3)」
E.ハインズのオリジナルです。イントロはW.スミス(as)。なかなか良いアルト・サックスで、これだけで別格にしたいほどです。B.ホリデイが歌いますが、ビリーのブルースは「いいですねー」。気品があり別格でいつまでも浸っていたい92点です。
「オールウェイズ(2-4)」
バンドでイントロを演り、B.ホリデイ、T.スコット(cl)、B.ジョンソン(ts)、B.ホリデイと続きます。お洒落で格好いい87点です。
「プリーズ・ドント・トーク・アバウト・ミーー・ホエン・アイム・ゴーン(2-5)」
S.H.ステップトの曲です。ホーン陣が始め、B.ホリデイは後ノリでスイングし、B.カーター(as)B.ケッセル(g)H.エディソン(tp)、B.ホリデイと続きます。お洒落で格好良く僅かながら気品を感じさせる88点です。
「デイ・イン・デイ・アウト(2-6)」
R.ブルームの曲です。イントロはJ.ロウルズ(p)。B.ホリデイは軽快にスイングしますが、後ろで微かに聴こえるピアノがお洒落です。ソロはH.エディソン(tp)ミュート、B.ケッセル(g)、J.ロウルズ(p)、B.ウエブスター(ts)、B.ホリデイ(vo)です。気品があり別格の90点です。
95点 side2-2 「MY MAN」 1952/7/27
92点 side2-3 「STORMY BLUES」 1954/9/3
90点 side2-6 「DAY IN DAY OUT」 1957/1/7