1962年10月の『ホエン・ゼア・アー・グレイ・スカイズ』という名盤を残して中央のジャズ界から姿を消したレッド・ガーランドは、9年後にアルバムを二枚だけ残して再び姿を消してしまいました。本格復帰にはここから更に六年もの歳月を必要としました。しかし六年経ってもこのアルバムに収められたような名演は二度と蘇ることはありませんでした。ガーランド最後の名盤、というより最後の名演と言ってよいでしょう。

 

RED GARLAND(p) SAM JONES(b) ROY BROOKS(ds)

 

89点  side1-1  「HOBO JOE」                         1971/5/

88点  side1-2  「AUF WIEDERSEHEN」             1971/5/

87点  side1-3  「A NIGHT IN TUNISIA」            1971/5/

97点  side2-1  「OLD STINKY BUTT」              1971/5/

87点  side2-2  「STELLA BY STARLIGHT」       1971/5/

88点  side2-3  「DAA HOUD」                         1971/5/

 

「ホーボー・ジョー(1-1)」

ジョー・ヘンダーソンのオリジナル・リフ・ブルースです。たしかにジョーヘンの香りがします。前作(多分)の『クオータ』と違い、我々の大好きなガーランドです。タッチの強さはそのままですが、ガーランド・ワールドは健在です。ベースのS.ジョーンズとドラムのR.ブルックスにもソロの場が充分に与えられます。ジョーヘンのリフが効果的に繰り返され、演奏に統一感を与えています。お洒落で格好良く気品があり別格目前の89点です。

「アウフ・ヴィーダーゼーエン(1-2)」

スロー・バラードです。ガーランドのピアノの音が少し明るく硬く聴こえます。これは録音のせいかもしれません。ガーランドの後にS.ジョーンズがベース・ソロをとります。次に現れるガーランドはブロック・コードとピアニッシモを交互に用いて其々を際立たせます。お洒落で格好良く僅かながら気品を感じさせる88点です。

「ア・ナイト・イン・チュニジア(1-3)」

ディジー・ガレスピーで有名なこの曲のテーマを演った後ガーランドのソロです。シングル・トーンは中音が多く、黒っぽさが加わっています。次いでR.ブルックスのやや長いドラム・ソロがあり、テーマに戻ります。お洒落で格好いい87点です。

「オールド・スティンキー・バット(2-1)」

ガーランドのオリジナル・ブルースで、大好きなスローです。イントロから名演の予感がします。本編に移って予感は実感となります。S.ジョーンズの音の入りも良く、十二分に楽しませ浸らせてくれます。ガーランドのスロー・ブルース中屈指の出来と言って良く、この一曲があるので、このアルバムは“買い!”です。右手の執拗なまでの繰り返しが心地良く、S.ジョーンズのベース・ソロは音も少なくしてグルーヴィーになり、再びガーランドにソロが戻った時はブロック・コードで盛り上げ、シングル・トーンで繰り返し、ブルース特有の両手を使った繰り返しと、ガーランド得意のサービスをこれでもかと与えてくれます。他人(ひと)に奨めたいほどで感動的な97点です。但し、かなりの部分は「ソウル・ジャンクション」からそのまま持って来ています。これをどう見るか…。

「ステラ・バイ・スターライト(2-2)」

スタンダード曲です。ガーランドがテーマを独りテンポ・レスで弾いた後すぐにS.ジョーンズのテンポ良いベース・ソロとなります。三人での演奏はR.ブルックスの軽快なブラシによりスインギーに行われます。テーマの扱いに凝った演奏は、お洒落で格好いい87点です。

「ダ・ホード(2-3)」

クリフォード・ブラウンの作品です。このテーマを聴くとブラウニーのことが思い出されます。ハード・バップの香りが一杯ですね。ガーランドのソロは当時の熱気を懐かしむかのようで、内に熱を込めます。R.ブルックスのシンバルが心地良く、ガーランドとの小節交換もいいです。お洒落で格好良く僅かながら気品を感じさせる88点です。