災害用と赤字で書いてある封筒が
二月十八日観音日に届いた
開封すると折り目のついていない
千円札三枚が入っていた
二百字詰め原稿用紙に書いてある文字は
一字の乱れもなく
大災害に遭われたとは
全く思われない書き方で
同封の三千円は
見知らぬお婆さんから
頂いたものであり
そのお婆さんの言葉に感動し
タンポポ堂の観音さまに
お送りさせて頂きますと
書いてあった
広島で原爆に遭われたという
お婆さんの言葉が胸を搏つ
私は政府から今日まで
一銭の援助も見舞金も貰ったことはない
が立派に生きてきた と言い
名前も告げず
励まして下さったという
ああ大宇宙大和楽は
こういう方たちによって
出来てゆくのだと
この三千円は
わたしの心の守り札として
観音さまと共に
拝んでゆくことにした
坂村真民全詩集 第七巻 大東出版社