比々流のブログ

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絵画・陰陽道・魔術・銀器などの話題をゆる~くつづってます。
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スイス連邦首都ベルン。郊外の高台、針葉樹林の中、市街地を見下ろす…いや、見下すように白亜の宮殿が立っている。

これぞ、世界中に散らばる200余名のエルフを束ねる、欧州エルフ学術評議会本庁舎である。

世界中の名もなき人々からの搾取、世界経済を牛耳るエルフ達からのなお激しい搾取による血と涙で大理石は白く輝いていた…エルフの血統と家族計画は全て、評議長の一存で管理されている。

 

白亜の宮殿の2階、エルフの国から秘密裏に持ち出された財宝を並べ立てた廊下の間からさらに奥、マホガニーの重厚な扉の奥に、評議長の私室がある。

新古典主義の洗練された青と白の空間の中に、ラテン語の諺が優美な花文字で書かれた羊皮紙が幾つも額装されている。

その中の一つ、「エッラーレ・フーマーヌム・エスト(人は過ちを犯すもの)」 に白い手を置く。

 

「ですが、我らエルフには間違いなぞございませんの」

 

見たところ18歳の美少女、全身白い絹にぴっちりと包み込み、金縁のさわやかな青い肩掛けを古風な打ち出し細工のフィブラで留めつけた、「まるで肖像画から飛び出してきたような」貴婦人。

これぞ、欧州エルフ学術評議長にして、古代ローマ帝国よりアルプスのドュクスを拝命したエルフの女王・ヘレナである。

 

「奥様、お茶をお持ちしました」

マホガニーの扉をにぎにぎしく開け、執事が総銀のティーサービスと古伊万里柄のティーセットを運び込む。

 

「ご加減はいかがですか」

執事が尋ねる。茶の温度を聞いているのではない。

「今年もダメだったわ」

 

エルフの女性は、長命と引き換えに年に一度しか排卵しない。妊活は困難を極めるのだ。

その上、エルフの男性も性に淡白で、毎年の妊娠を義務付けているにもかかわらず、200余名のエルフ達の出生数ははかばかしくなかった。

 

スイスの、いや地球上の人間共を全てエルフに置き換えないと気が休まらない。国を失った女王の焦燥は半端なものではなかった。

 

「ところで、奥様、日本で奴隷エルフが発見されまして…」

「そう、で?」

「女ですので、ギヨゼルタが人工子宮の実験に使っています。そろそろ色好い結果報告があろうかと」

「そう。丁度良いわ。何としても出生数を増やさなくてはね。野良で放っておくよりは、どこかに縛り付けてでも産ませないとね…」

 

「…そう言えば、例の不良がアレッチ氷河に入った件はどうなったの?」

「刺客を放っております。時間の問題かと」

「そう。それも楽しみね」

ヘレナはスコーンを半分に割った。

 

この作品はくられ氏と『代理母のエルフ』には無関係です。

気になった方は是非本編をお楽しみ下さい。

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