法人がその役員に対する債権を放棄した場合、役員からすると債務を免除してもらったという利益が給与と認定され、法人側で源泉徴収義務があり、源泉税の納付を行わなうことが原則です。
しかし、その役員に資力がない場合等には、その源泉徴収義務がなくなる場合もあります。所得税基本通達36-17
これに関係して、広島高等裁判所は、原告が理事長に対し行った債務免除について、(債務免除益の特例)が適用され、一審同様、本件債務免除益に源泉徴収義務は生じないとして、納税者の主張を認める判決を下しました。2014年01月30日(平成25年(行コ)第9号)
この案件で、何が問題かというと、
債務免除当時,理事長には約3,700万円の年収,約2億8,000万円の資産があった
ということなんです。
これに対して、借入金が約48億円という多額であった
ということから、
“資力を喪失して弁済が困難と認められる場合”
にあたると判断されたということなんですね。
確かに、返済はほぼ不能でしょう。
でも、法的手続きない状態で、このような債務免除を認めてよいものでしょうか?
疑問がありますよね。
そこで、通達は改正され、
「破産法による免責許可の決定又は再生計画認可の決定があった場合“その他資力を喪失して弁済が困難と認められる場合”」と法的な債務免除を主な対象とする規定にされました。
通達改正前であっても、法的手続きに入る時期の事前事後の問題は多少あるにしても、同様の判断をすべきではないかと思います。
つまり、理事長の個人資産の処分等、何らかの法的手続きが行われるべきではないかと思います。
所長 こーちゃんより
クリックお願いします。 ↓
所長こーちゃんの記事一覧 もご覧ください。