交際費の範囲~弁護士会役員の支出に関する判例から~ | 税理士こーちゃん・たかちゃん・だんちゃんと男女7人の○○な話

税理士こーちゃん・たかちゃん・だんちゃんと男女7人の○○な話

大阪府寝屋川市の税理士法人長瀬会計事務所のスタッフブログ。楽しくやってまーす!
税務、会計だけでなく助成金申請や事業再生支援など会社経営のサポートに力を入れてます。
インボイス登録事務所 T7120005020272

最高裁判所が、弁護士会の役員を務める原告の役員としての活動に伴い支出した懇親会費等が必要経費に該当するかを巡る事案で上告受理申立てを退けた。これにより東京高等裁判所の判決(平成23年(行コ)第298号,平成24年9月19日判決)が確定した。

~事案の概要~

弁護士業を営む原告が弁護士会等の役員等として支出した懇親会費やその二次会費、弁護士会役員への立候補費等について、事業所得の計算上必要経費に算入したのに対し、税務当局は必要経費への算入は認められないなどとして争われた。


~東京高裁の判断~

「ある支出が必要経費として控除されるためには,当該支出が 事業所得を生ずべき業務の遂行上必要であることを要すると解するのが相当。その判断は,単に事業主の主観的判断によるのでなく, 当該事業の業務内容等個別具体的な諸事情に即して社会通念に従って客観的に行われるべき 」


「弁護士が人格の異なる弁護士会等の役員等としての活動に要した費用でも, 役員等の業務の遂行上必要な支出であったということができるのであれば, その弁護士としての事業所得の一般対応の必要経費に該当する」


~従来の必要経費についての考え方~

一般的に必要経費は事業活動と直接の関連がある支出と認識されており、本件の第一審でも,「所得を生ずべき 事業と直接関係し、かつ当該業務の遂行上必要であること」と解していた。


~両者の違い~

上記の文言は違いは、高裁では「事業所得を生ずべき業務の遂行上必要である」というレベルであるのに対して、従来の判断は「所得を生ずべき 事業と直接関係」することを求めているので、従来の裁判例による必要経費の法令解釈が変更され、必要経費そのものの範囲が広がったのではと考えることもできる。


~私見~

「必要」という文言だけで判断していけば、その範囲が広がりすぎてしまう。

そこで、課税上「事業と直接関係」していることを求め、一定の制約を設けているものと考えます。

これが、課税庁の極端な考え方で直接性を過度に求めてしまうとかえって、その範囲が狭くなりすぎて、実際の事業を行う上で必要なものであっても否定されかねない。

課税すべき所得の計算上、今回の判断は妥当な判断だと思います。

とはいえ、直接性についてはやはり考慮しながら、どうしても必要なものといえるのかという観点で、柔軟に判断する必要があるのではないかと思います


所長 こーちゃんより


人気ブログランキングに参加しています。


クリックお願いします。 ↓ 

       
人気ブログランキングへ


所長こーちゃんの記事一覧 もご覧ください。