2)会計処理事例
<例>
前提:計算が容易にできるように毎年の標準給与の上昇率を4%とする。(1円単位を切り捨てて計算)
会員氏名 共済 一郎
標準給与月額 170,000円
加入年月日 平成20年4月1日
{共済一郎さんの掛金累計額などの推移}
1年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | 10年目 | |
標準給与月額 | 170,000 | 183,870 | 191,220 | 198,860 | 241,920 |
掛金月額 | 8,700 | 9,400 | 9,770 | 10,150 | 12,300 |
(事業主累計額) | 52,200 | 162,840 | 221,460 | 282,360 | 624,600 |
(会員累計額) | 52,200 | 162,840 | 221,460 | 282,360 | 624,600 |
退職給付金 | 52,200 | 183,870 | 248,586 | 338,062 | 1,040,256 |
退職給付引当額 | 0 | 21,030 | 27,126 | 55,702 | 415,656 |
「決算処理」
・年度末に、退職給付引当金を計上します。
・共済会では、退職給付引当金を、決算時点において会員本人が「退職したら」支給される退職給付金から本人掛金部分を差し引いた金額としています。
つまり、本人がもし退職した場合に、事業主としての退職金の支払義務を負っているかを明確にするものです。したがって、年度ごとに支給率の関係や標準給与月額が減少したなどの理由で一概に引当金が増加するとは限りません。
※共済一郎さんの場合(5年目・平成25年(2013)3月31日現在を仮定)
当年度末の退職給付引当金額 55,702円
前年度末の退職給付引当金額 27,126円
差額(当年度要引当金額) 28,576円
平成25年3月31日
借方 | 摘要 | 貸方 | |||
金額 | 科目 | 科目 | 金額 | ||
28,576 | 退職給付費用 | ○○年度分共済会退職給付引当金繰入額 | 退職給付引当金 | 28,576 |
「異動処理」
同一法人内で施設を異動した場合の会計処理(拠点区分間の異動)
※共済一郎さんが同一法人の他施設へ異動した場合(拠点区分間の異動の場合)
(4年6か月目・平成24年(2012)10月1日に異動した場合を想定)
異動時における事業主掛金累計額(退職給付引当資産)
251,910円(54か月分)
異動時における退職給付引当金計上額
27,126円
{異動前の施設}
借方 | 摘要 | 貸方 | |||
金額 | 科目 | 科目 | 金額 | ||
27,126 | 退職給付引当金 | 共済一郎分共済会掛金等異動処理 | 退職給付引当資産 | 251,910 | |
227,784 | 事業/拠点区分間固定資産移管費用 | 共済一郎分共済会掛金等異動処理 |
異動した会員の退職給付引当資産と退職給付引当金とを相殺します。退職給付引当資産と退職給付引当金との差額は、事業/拠点区分間固定資産移管費用で処理します。退職給付引当資産が退職給付引当金より少ない場合は、事業/拠点区分間固定資産移管収益となります。なお、資金の変動はありませんので資金収支計算書特有の処理は必要ありません。
{異動後の施設}
借方 | 摘要 | 貸方 | |||
金額 | 科目 | 科目 | 金額 | ||
251,910 | 退職給付引当資産 | 共済一郎分共済会掛金等異動処理 | 退職給付引当金 | 27,126 | |
共済一郎分共済会掛金等異動処理 | 事業/拠点区分間固定資産移管収益 | 224,784 |
異動した会員の退職給付引当資産と退職給付引当金とを受入れます。退職給付引当資産と退職給付引当金との差額は、事業/拠点区分間固定資産移管収益で処理します。退職給付引当資産が退職給付引当金より少ない場合は、事業/拠点区分間固定資産移管費用となります。なお、資金の変動はありませんので資金収支計算書特有の処理は必要ありません。
「社会福祉事業共済会」の
「退職給付金事業事務処理および会計処理の手引き」抜粋
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