月に一度のご挨拶 WIN&WINセミナー 塾長の手紙 -24ページ目

 塾長の古田修一です。

暑い日が続いています。今年は猛暑になるのではとの予報です。雨も少なく、農作物への影響も心配しています。

今月から夏休みが始まります。学校の授業も完全にストップし、これまで学習しきれていなかったところをやり直すには、時間的にも十分とれます。夏休みの楽しみもあるとは思いますが、しっかりと復習し、2学期からの授業に備えてほしいと思っています。

受験生にとっては、本格的な受験勉強が始まる夏です。部活動もおおかた落ち着いていると思います。毎年受験生には話をしていますが、ここでの気持ちの切り替えをしっかりときかせて、夏休みの学習に取り組んでほしいと思います。

 

<7月の「凡事徹底」>

 今月の凡事徹底は、「授業中にメモを取る」です。授業中の先生の話には大切なことが含まれていることが多くあります。それを単に聞き流してしまうだけでは、必ず忘れてしまいます。これは、なにも生徒の皆さんだけではなく、私たち大人も同じだと思います。ドイツの心理学者エビングハウスの「忘却曲線」は有名です。理解したことを、時間の経過と共にどれだけ忘れていくかをグラフにしたものです。

そのグラフによると、20分後には、覚えたことの42%を忘れ、1時間後には、半分以上の56%を忘れてしまうそうです。ただでさえ人間の脳は、「忘れる」ので、ただ聞き流しているだけでは、なおさら忘れる速度も速まります。

メモを取るにも様々な手段があります。会議や勉強会などで大切なことをメモするときに、パソコンを使うことが多くあります。中学生や高校生などは、まだなじみのない方法ですが、大学生は、授業にノートパソコンを持参し、キーボードを使ってメモをとっている人も多いようです。しかし、高校生までは、ノートに鉛筆を使ってメモを取ることが大半だと思います。

 

<メモを取ることによる学習効果>

メモを取ることの学習効果について、インターネットで興味深い記事がありましたので、その内容を紹介します。この記事では、ノートパソコンでメモをとるときと手書きでメモを取るときとでの学習面における違いについて書かれたものです。以下はその記事の抜粋になります。

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米プリンストン大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究者により、パソコンに打ち込むより手書きでノートをとる学生の方が総じて成績が良いことが判明した。同じくノートのとり方を比較した別の研究者の実験でも、タイピングよりも手で書く人のほうが、飲み込みが良く、情報を長く記憶し、新しいアイデアを理解するにもたけていることが分かった。

研究者によると、ノートパソコンで授業のノートを取る学生は、鉛筆やペンを走らせる学生よりも多くの量を記録し、容易に講義についていける場合が多い。パソコンを使う大学生はおよそ1分間に約33ワードのペースで講義のノートをとれるからだ。一方、手書きの学生は約22ワードがせいぜいだ。

これは短期間ならば効果をあげる。米セントルイスにあるワシントン大学の研究者らが、2012年に学生80人を対象に実施した実験で講義の直後にテストを実施したところ、パソコンでノートをとっていた学生のほうが、手書きの学生よりも講義で話された事実を多く思い出し、点数がやや高かったという。

ただ、こうした優位性は一時的だ。複数の研究によると、パソコンを使っていた学生は24時間後には記録した内容を忘れてしまうことが多かった。また、大量のノートを見返しても、記憶を呼び戻すのにあまり有効ではなかった。それが非常に表面的だったからだ。

対照的に、手書きでノートをとった学生は講義内容を長く記憶でき、1週間後でも講義で示された概要を良く覚えていた。専門家らは、書くというプロセスがより深く情報を記憶に焼き付けると指摘する。また、手書きのノートはよく整理されているため、復習にもより大きな効果を発揮する。

ともに心理学者であるプリンストン大学のパム・A・ミュラー氏とUCLAのダニエル・オッペンハイマー氏は、2014年に行った3回の実験で、学生にアルゴリズムからコウモリまで幅広い話題を聞かせ、キーボードか手書きでノートをとってもらった。学生にはノートを見て復習する機会を与え、講義直後と1週間後に67人にテストを実施した。

両氏は心理学の専門誌で、手書きでノートをとった学生が記録したワード数は少なかったものの、書くときに題材をより集中して考えたもようで、耳にしたことをより深く吸収したようだと述べた

反面、パソコンを使う学生は機械的にノートをとり、聞いたことを一語一句そのまま打ち込んでいた。

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 この記事を読むと、メモを取ることの大切さが良く分かります。それも、パソコンではなく手書きで書くことで。確かに英単語や漢字などを覚えるときも、単に眺めて覚えるよりは、ノートに何度も書くことで定着します。「手を使って書く」という行為が、脳にも刺激を与え、記憶として頭に刷り込むことができるのでしょう。

 この記事は科学的に「書く」という行為が、成績向上にもつながることを書いていますが、私は取り組む「姿勢」にもつながると考えています。塾の授業や学校の授業で、鉛筆を置いたまま、先生の話を聞いている生徒がほとんどだと思います。これだと話を聞いているだけの、受動的な授業になってしまいます。特に学校の授業は、多くの生徒を相手にした一斉授業になります。油断をすると、他の関係ないことを考えたり、ボーっとしてしまうこともあると思います。

 そこで、鉛筆を必ず手にして授業を受ける習慣を付けてみたらどうでしょうか。そして、先生の話している言葉の中にきっと大切なことが隠されていると意識してみてください。きっと授業の内容がこれまで以上に分かりやすくなると思います。

 また、ある勉強会で「うなずく」ことも大切と聞いたことがあります。「うなずく」という行為も、聞いている内容を理解しようという姿勢につながり、授業内容にも集中して取り組むことができます。

 このように考えてくると、何でも行動することが大切と感じさせられます。手を動かす、頭を動かす、体を動かすことにより、これまで見えなかったことが見えるようになるような気がします。

 生徒の皆さんは、そうはいってもなかなか意欲的になるのは難しいと思うかもしれません。私もみなさんに、「意欲的になりなさい」といってもなかなか伝えることが難しいです。

 そこで、できることはまず「人の話を聞くときには、鉛筆を持つ」ということを意識し、実際にやってみることだと思います。難しく考えることはありません。「鉛筆をもつ」という凡事を徹底させればいいと思うのです。鉛筆をもつ習慣をつければ、自然と「話を聞こう」との気持ちが出てくると思います。そうするといつしか、話を真剣に聞く態度が身につきます。塾だけではなく、学校の授業でも実践できることだと思います。

 「授業中にはメモをとる」「鉛筆をもって話を聞く」これらのことを今月1ヶ月意識して授業に取り組んでほしいと思っています。

 

<そろばん塾保護者会での話し>

 

6月19日(日)にそろばん塾の保護者会を開催しました。その中で私から、今後の教育の変化についてお話をしました。「高大接続システム改革」という言葉をお聞きになったことがあると思います。一般的には、センター入試が廃止され、新たな入試制度に変わるということで関心も高くなっています。

 しかし、この改革は入試改革がメインではありません。大学での授業内容の改革を考える上で、高校での教育内容も考えなくてはいけなくなります。高校の教育内容が変われば、当然入試の内容も従来どおりにはいきません。教育内容と入試内容を一体的に改革するものなのです。

 この改革をする背景には、さまざまな理由があるようです。一つは今後の見通しのつかない社会の変化に対応するためです。デューク大学のデイビッドソン教授は、「現在小学生の全世界の子どもたちの65%が、将来いまはまだない仕事につく」といっていますし、Googleの創業者であるラリー・ペイジ氏は、「20年後、あなたが望もうが望むまいが現在の仕事のほとんどが機械によって代行される」といっています。そのような社会の中で、これまでどおりの受動的な授業だけでは、自ら考え行動できる人材は育成できないと考えたのです。

 二つ目に、「多様な人々と協力しながら主体性をもって人生を切り開く力」の育成です。周りの人とコミュニケーションをとりながら問題解決をしていくことが必要とされるのでしょう。

 これら2つの力を育成していくために、高大接続システム会議では、今後強化していかなくてはいけない力として、「学力の3要素」ということを挙げています。3要素とは、①十分な知識・技能②思考力・判断力・表現力③主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度です。これらの力をつけるために、大学や高校の授業でアクティブラーニングという手法がとられます。現在でも一部の高校では取り入れられています。

 アクティブラーニングとは、受動的学習によって知識を与え、そこからグループ活動を通してコミュニケーションをとり、仮説をたて、それをクラス全体で検討し実行するというものです。

 自らの意見を持ち、それを発表するなど、一見してよいものに思われるのですが、これには教師の力量が問われます。それは、グループ活動をする際に必要となる、十分な知識を与えることができるかということです。これがないと、グループ活動が思うように進まないようです。その例が、『アクティブラーニング失敗事例ハンドブック』の中に紹介されています。名古屋商科大学のホームページからダウンロードできますので、是非ご覧になってください。

 このような話をして思うことは、やはり基礎・基本の徹底が大切だということです。思考力や判断力をつけるためにも、その土台となる知識がなければいけません。知識を付けていくためには、勉強することに対する取り組み方、意識の持ち方が大切になってきます。そう考えると、小・中学生のときに勉強に対する正しい姿勢を付けていくことが、今後の学習や、社会に出てからの取り組み姿勢に大きな影響を与えると思います。

 最終的に落ち着くのは、やはり「凡事に徹する」ということです。今月の凡事徹底でも書きましたが、今後の塾に求められることは、成績の向上を目指す前に、勉強に対する取り組み方をしっかりと伝えていくことだと思います。

 文部科学省は、教育改革をどんどん進めていきます。計画を見る限りはすばらしいものだと思います。ただ、そのすばらしい計画に対応するための基本的な力、「勉強に対する取り組み姿勢」が必要になります。学校現場は、上からの指示でうまく行かないところが多くあると思います。しかし、私たち私塾は学校教育ではなかなか行き届かない細かなところを指導していくことができます。そのためにも、日頃当たり前とされている「凡事」に徹することを、今後も伝えていきますし、私自身も実践していきます。

 

~最後までお読みいただき、ありがとうございました~