静かな休日の朝でした。
空は少し曇り気味、湿気を帯びた空気が漂う。
雨は降るんだろうか・・・。
雨よ、降れ!
何も急ぐことがない、休日の午前。
何もなくても、僕にとっては、贅沢な時間。
精神的に解放される、自由な時間。
雨が好き、という話をしました。
人によっては鬱陶しいだけの自然現象かも知れませんが、
それは何か情緒的な部分を刺激される、
僕にとっては嬉しくも大切なものです。
さて、今回は、絵の話でも。
僕の好きな浮世絵。作者は、歌川広重。
同じ世代の方は、子供の頃、永谷園のお茶漬けふりかけに
「東海道五十三次」のカードがおまけで入っていたので、お馴染みでしょう。
江戸時代の代表的な浮世絵師であり、抒情的な風景を描く事で世界的にも有名です。
そんな彼にもいくつか「雨」をモチーフにした作品があります。
東海道五十三次 「庄野・白雨」。
庄野は、今の三重県・鈴鹿市にある地名のようです。
「白雨」とは、昼間の夕立やにわか雨のこと。これも何とも美しい表現・・・。
突然の激しい雨に慌てふためく人々。
画面左には、坂道の上方に向かって、茣蓙をかぶった旅人が走り、
籠屋も風に煽られながら先を急いでいます。
反対側には坂を駆け下る二人。強い風に向かって番傘を半開きにさした旅人と、
その脇を駆けるのは、鍬を担いで野良仕事から帰る地元の農夫でしょうか。
背景には、強風に揺れる竹薮。濃淡のシルエットが遠近感を表現し、
画面に無数に描かれた細い線が、雨の勢いや風の向きなどを感じさせます。
そして、静まった草葺き屋根の農家。
街道の一瞬の情景を生き生きと捉えたこの絵は、広重の傑作の一つといえるでしょう。
変わる風景、季節、時間、行き交う人々の生き生きとした営み。
日本の風土に根ざしたこの抒情性が、広重の風景画の最大の魅力です。
見る者をしてしみじみと共感や愛着をおぼえさせるような親しみがあり、
また一方で大胆かつ斬新な色彩、構図やデフォルメ。
この辺りは、同じく同時代の巨匠・北斎や「琳派」にも共通し、
世界中の絵画に大きな刺激を与えました。
そして、もう一枚。
名所江戸百景「大はしあたけの夕立」。
これも広重の「雨」の秀作です。
大橋は日本橋の浜町から深川六間堀の方にかかっていた橋との事で、
幕府の御用船安宅丸の船蔵があったことから、安宅(あたけ)と呼ばれました。
こちらもまた、にわかに降り出した「白雨」の風景が描かれています。
雨に濡れないように、着物の裾をまくり上げ、傘を目深にかぶり先を急ぐ女性。
ここでは大川の向こう岸を霞で表現し、スケールの大きさを感じさせます。
「江戸百景」は、広重の生まれ育った江戸の名所や風物詩、季節感などが暖かくも大胆な視点で
描かれていて、ゴッホやモネらが模写した事でも知られる傑作揃いのシリーズです。
こんな絵を見て、何だかいいなー、何だか懐かしいなー・・・とか思ったあなた。
おめでとうございます!
あなたも立派な雨男・雨女ですよー。 はい、仲間~♪
今回は浮世絵の話でしたが、江戸時代の絵画は、僕にとってはとても魅力的な世界。
浮世絵に限らず、日本画や仏画の分野などでも、傑作目白押しの時代です。
折に触れて、こちら方面にも足を踏み入れていきますので、どうかひとつ・・・。
最近さぼりがちなブログ更新のネタに困って、絵画好きをでっちあげやがってと思われると困るんで、
最後におまけとして、僕の絵を・・・
純粋絵画じゃないけれど、仕事柄、時々「スケッチパース」を描いたりするので、そんな1枚です。
ご愁傷さまでしたー (T▽T;)
何だかピンボケしてますが、これで何とか絵画部門参戦のお許しを・・・。


