日本時事評論 5月1日号 〈天録時評〉 より転載です。



我慢できない若者たち


スマホ依存を防ぐのは親の責任



信州大学の入学式での学長挨拶で「スマホ止めるか、それとも信州大学生を止めるか」


との発言が話題になるなど、若者のスマホ依存が問題となっている。


スマホは便利な道具だが、道具に支配されたのでは人生を棒に振ってしまう。


子供の将来を考えれば、スマホを長時間使用させないために、使用方法、時間などを決め、


守らせることが親の責任だ。




自己抑止力の低下



東北大学は、無料通信アプリ「 L I N E 」などの使用が学力低下を招くとし、


「スマホや携帯の使用時間 はどんなに長くても一時間以内に抑えるべき」だと提言している。


平成二十六年七月に行った総務省情報通信政策研究所の調査では、


スマホ依存傾向の高い高校生の場合、「睡眠時間が減った」は74.6% 、「勉強時間が減った」は67.7% 、


「引きこもりになっている」は49% 、「学校に遅刻したり欠席したりしがちになっている」が35.8% 、


というように、日常生活や学業、そして対人関係に影響が出ている。



未成年者のスマホ所有率 は、セキュリティー会社デジタルアーツの調査では


平成二十七年二月現在で65%となっている。


特に、高校生になると所有率がぐんと上がり、96.1% となっている。


スマホの利用目的は主に無料通話アプリ「 L I N E 」やネットゲーム、動画鑑賞である。


そして、長時間使用し続けることによって、スマホを持っていないと不安になる、


スマホなしでは一日過ごせない、歩行中や運転中でもスマホを操作し、


親しい人と一緒でもスマホを使う、風呂やトイレまで持ち込むなどの


「スマホ依存」のような症状が現れる。



この現状に対して「スマホ止めるか、それとも信州大学生を止めるか」と信州大学の学長が警告をし、


「スイッチを切って本を読み、友だちと話し、自分で考える習慣をつけ、


物事を根本から考えて全力で行動することが独創性豊かな学生を育てる」と語った。


便利な道具に支配されるのではなく、道具を支配しなければならないが、


子供たち任せでは難しいのが実情だ。



親の努力が最重要



このような状況の下、全国の自治体や学校では「 L I N E いじめ」「 L I N E 疲れ」など、


スマホ利用の問題を解決するべく取り組みが行われている。


「午後九時以降の使用の禁止」、「長くても一日一時間」と 呼び掛けるなど、


小中学生の使用を具体的に制限する取り組みも始まった。


栃木県の小山市や栃木市のよう に、児童生徒の携帯電話・スマホ所持を原則禁止として、


所持させないよう要請している自治体もある。



問題は、こうした自治体や学校の指導が、家庭でどれだけ実行されるかだ。


日本人は、子供に甘い親が多い。


親子間で決めた約束事を子供が破っても、厳しく罰したりスマホなどを取り上げたりする親は少ない。


友達のような親子関係が望ましいと考える親もいる。これでは子供はわがまま放題に育ってしまう。


最近では、幼稚園に入園してきた子供が、一人で服を着られないという例も珍しくなくなったという。



子供が基本的な生活習慣をはじめ、自律心や自己抑止力を身に付けるために、


一番努力しなければならないのは親である。


子供に自己抑止力が身についていないのは、幼児期から家庭において、


親が子供に対して過保護や放任で、「しなければならないことをする」


「すべきでないことはしない」といったことを、厳しくしつけてこなかったからである。



ものの豊かさの中で、我慢することや自律心、克己心を身に付けさせるのは、親の責任である。


子供がスマホによる犯罪に巻き込まれないように、または、子供のスマホ依存症による、

コミュニケーション能力や 思考・判断力の低下から守るためには、


親がスマホの危険性をきちんと教え、我慢することの大切さを教えるべきである。


そのためには、約束を守らせる、守らなければ罰を与えるという厳しさが必要である。



「スマホが人間を駄目にする」という論調も時々聞くが、あくまでスマホは道具であり、


正しく使えばとても便利なものである。


依存するような使い方を許すからいけないのである。


子供を社会の役に立つ人間に育て、素晴らしい人生が送れるようにするのは、親の責務である。