日本時事評論2月20日号より ・・・今回は、税金についての提言です。



インボイス制導入で公正公平な税制へ ― 税制の信頼を損う「益税」の解消を!!



わが国の消費税制度には、事業者の手元に消費者から預かった税金が残るという


「益税」が生じる大きな欠陥がある。


欠陥をそのままにして消費税を10%に増税すれば、不公平、不公正が拡大する。


その欠陥を是正するインボイス制度を導入すべきである。


インボイス制度よりもはるかに事業者の負担が大きくなり、


逆進性の緩和にも効果のない軽減税率の導入こそ見送るべきである。



インボイス制導入を



政府は、消費説率10%への増説を見送ったが、平成29年4月には、


景気回復状況に関係なく増税する方針だ。


しかし、現行の消費税制度のままでは、税率が上がれば上がるほど


消費税の一部が国庫に行かないで事業者の手元に残る「益税」が増える。


不公平、不公正の拡大は税制への信頼を失うもので、増税の前に 制度の見直しが必要だ。


わが国の消費税制度には 主に中小事業者の業務負担の軽減を目的として、


免税事業者制度と簡易課税制度がある。


年間課税売上高が一千万円以下の業者は、消費税を預かりはするものの納税が免除される。


また、売上が五千万円以下の業者は、売上げから納税額を概算計算することが認められている。


この二つの制度によって、消費税の一部が事業者の手元に残ってしまい、


消費者が負担する額と国に納められる額に差分が生じる。


その額は四千億円前後と見込まれているが、消費増税に伴って益税がさらに増えてしまうのである。


この問題を解決するために、EUに倣ってインボイス制を導入するべきだ。


インボイスとは、税額が明記された請求書のことだ。


仕入れ側である課税事業者は、売り手側である課税事業者の発行するインボイスに記載された


消費税額のみを控除することができる、仕入れ税額控除の方式のことである。


仕入れ先に支払った税額が明記されるので、控除額を確認でき、脱税や二重課税を防ぐことができる。


また、納税しない免説事業者はインボイスを発行できないので、


買い手は仕入税額控除ができず、益税はなくなる。


インボイス制は、過去にも導入が検討されたが、事業者から「すべての商取引が把握され、


事務量が煩雑になる」として反発され、 見送られてきた。


しかし、 今やパソコンで簡単に税額は計算ができる。


納めた税金が国庫に行かず、事業者に留まるという制度は改善しなければならない。






問題多い軽減税率



インボイス制度導入を見送る理由が事務量の負担増だというのなら、


それ以上に大幅な事務量の負担を招くのが軽減税率の導入だ。


10%への消費増税の際に導入を決めた軽減税率は、軽減税率の適用項目の難しさが指摘されている。


仮に「食料品」に限定しても毎日食べる食品から高級食材に至るまで、その数は膨大だ。


軽減税率を導入している英国では、食料支出かレストランサービスかを巡って、


外食サービスの取り扱いが大きな問題になっている。


テイクアウト品は食料支出と見なし、軽減税率の対象だが、


温かいテイクアウト品についてはレストランサービスと同様に普通の税率にするなど、


軽減税率の対象か否かを決める基準に「温度」という概念を持ち込んでいるぐらいだ。


事業者にとって問題となるのが、軽減税率の適用品目かどうかを判断し、


税率計算をしなければならない手間だ。


明らかに、膨大な事務負担が増加する。


新たな商品やサービスなど毎に、適用か不適用かを調べて、対応もしなければならない。


しかも、軽減税率は、低所得者対策として考えられているが、低所得者にも高所得者にも、


税が軽減される点は変わらないので、結果として高所得者にも大きな利益がある。


また、軽減税率を導入すれば、本来であれば食料品などからも徴収していた消費税が


減収となるので、当然国の歳入が減る。


歳入が減ると、膨らむ社会保障費などのやり繰りに困り、さらに消費税を上げざるを得なくなる。


一方で、事務コストの増大分を、人件費の削減で対応することが予想され、


低所得者の負担は結果的に大きくなることも考えられるのである。


このままの制度では、消費税が上がることにより「益税」まで増やすなど、不透明性が増し、


消費税制度の信頼を失ってしまうことになる。


益税が生じる現行の帳簿方式の消費税制度を改め、インボイス制を導入すると共に、


低所得者などの弱者の効果的な救済につながらない軽減税率の導入は見送るべきだ。