寒い日が続きますが、訪問して下さる皆さんは、風邪などひかれていませんか?

少し心がほっこりする音楽はいかがですか?



ダン・フォーゲルバーグ

その遺した実績に比較して、あまりに日本での知名度が低いシンガーソングライターです。



彼が故郷のイリノイ州からロスアンゼルスに出てきたのが1971年。

一緒にLAに出てきた友人は、ダンのマネージャーとして働くとともに、

イーグルスやジョー・ウォルシュらのマネージメントも手掛けるようになり、

ダンのアルバム作りにも彼らをゲスト参加させます。

そして、ジョーがプロデュースした2作目のアルバム「Souvenir」が高い評価を受け、

70年代のウエストコーストを担う存在として、音楽界での地位を確立するきっかけになります。



しかし彼は、都会での生活に馴染まず、

デビューの直後にはテネシー、そしてコロラドの田舎へと拠点を移します。

そして、自身の書くメロディーや歌詞を大切にし、

できるだけ外部の不純物を交えずに、楽器やコーラスも大部分を自ら担当し、

多重録音の手法で作品作りを心掛けました。

彼が「一人のCSNY*」「一人のイーグルス」とも称される所以です。

(*クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング。

 60年代末から70年代初期のウエストコーストを代表する超有名バンド。)



商業的成功を狙うような意図は感じられず、自らの内面・感性と向き合うような、

しかし独りよがりではなく、聴くものに色々な絵画的情景を想起させる、

琴線を揺さぶられるような曲を作り続けました。



しかし、その純粋性や手法は、時にマイナスの印象を与える側面もあったようです。

「地味」「ノリが悪い」・・・



それに反発したわけでは決してなかったと思いますが、

次いで実験的作品として世に出された第5作「Twin Sons of Different Mothers」では、

ジャズプレイヤーのティム・ワイズバーグと共演し、

インストルメンタルを主体としたアルバムを作りました。

図らずもこれが商業的には大きな評価を受け、彼のマルチな才能はさらに評価されていきます。



そして翌年に発表した第6作「Phoenix」からは、

全米2位となるシングルヒット「Longer」が生まれ、俄然人気アーティストとなりました。

さらに、1981年に発表した2枚組の第7作「The Innocent Age」は、彼の最高傑作。

シンプルでアコースティックな音を基本にしながらも、壮大なオーケストレーションの曲もあり、

宇宙から、私小説のようなパーソナルな世界まで、それぞれの物語や情景が自然と浮かびます。

作品的にも商業的にも彼の音楽の集大成といえる作品になりました。



その後は、それまでの繊細で透明感に包まれた音楽性を徐々に変化させ、

社会的側面に切り込むような曲や、

音楽的ジャンルを超越したようなものを多く手掛けるようになりましたが、

商業的には成功するものではありませんでした。

しかしそれはそれは彼も分かっていたことなのでしょう。

ファンが勝手に思い込む「衰え」や「心変わり」ではなく、

彼の中では「深化」「確信」であったのだと、今になって気付かされます。



そして彼は、2007年12月、前立腺癌のため、56歳で亡くなりました。

優しく美しいメロディだけでなく、その詩の世界がまた深くて味わい深いものがあり、

近年さらに聴いてみたいと思うようになったアーティストです。

繊細で抒情的な彼の音楽を、いつまでも語り継いでいきたいと思うのです。




「Longer」

1980年、全米チャートで2位まで上がった彼の代表曲のひとつ。

愛する人への永遠の誓いを、穏やかで優しいメロディーに乗せて綴った美しいラブソング。




Longer than there've been fishes in the ocean
Higher than any bird ever flew
Longer than there've been stars up in the heavens 
I've been in love with you

Stronger than any mountain cathedral
Truer than any tree ever grew
Deeper than any forest primeval
I am in love with you

I'll bring fires in the winters
You'll send showers in the springs
We'll fly through the falls and summers
With love on our wings

Through the years as the fire starts to mellow
Burning lines in the book of our lives
Though the binding cracks
And the pages start to yellow
I'll be in love with you
I'll be in love with you

Longer than there've been fishes in the ocean
Higher than any bird ever flew
Longer than there've been stars up in the heavens
I've been in love with you
I am in love with you


海に魚が棲息し始めた時より長く
空高く飛び立つどんな鳥より高く
天上に星が輝き始めた時よりも長く
僕はずっと君を愛し続けてきた

どんな険しい山にそびえ立つ聖堂より強く
どんなに立派に育った木よりも誠実に
どんな原生林よりも深く
僕は君を愛しているよ

冬には僕が暖炉に火をつけよう
春には君が恵みの雨を呼ぶだろう
秋と冬は避けて飛び立とう
愛というふたりの翼で

長年の間に火の勢いが弱まるように
僕たちの人生の台本の一行が燃えていく
修復したひび割れやページは黄ばみ始めても
僕は君を愛し続けるだろう

海に魚が棲息し始めた時より長く
空高く飛び立つどんな鳥より高く
天上に星が輝き始めた時よりも長く
僕はずっと君を愛して続けてきた
僕は君を愛しているよ



「Leader of the Band」 (邦題 『バンドリーダーの贈り物』)

名曲てんこ盛りの傑作アルバム「The Innocent Age」からの1曲。

愛する父への尊敬と感謝の思いを切々と語るダン。

父親に対する彼の思い、今の僕には痛切に心を打たれるのです…。




An only child alone and wild
A cabinet maker's son
His hands were meant for different work
And his heart was known to none
He left his home
And went his lone and solitary way
And he gave to me a gift I know
I never can repay

A quiet man of music
Denied a simpler fate
He tried to be a soldier once
But his music wouldn't wait
He earned his love through discipline
A thundering velvet hand
His gentle means of sculpting souls
Took me years to understand

The leader of the band is tired
And his eyes are growing old
But his blood runs through my instrument
And his song is in my soul
My life has been a poor attempt
To imitate the man
I'm just a living legacy
To the leader of the band

My brother's lives were different
For they heard another call
One went to Chicago
And the other to St Paul
And I'm in Colorado
When I'm not in some hotel
Living out this life I've chose
And come to know so well

I thank you for the music
And your stories of the road
I thank you for the freedom
When it came my time to go
I thank you for the kindness
And the times when you got tough
And Papa I don't think I said
"I love you" near enough

I am the living legacy
To the leader of the band

家具職人の息子は
一人っ子でやんちゃだった
でも、父の手は別の仕事に向いていた
そんな思いは誰にも知られることがなかった
父は家を飛び出し
自分の道を独りで歩き始めた
そして、返すことなんてできないくらいの
才能を僕にくれた

物静かだったが音楽をこよなく愛した父は
単純な運命に従うことを拒んだ
一度は兵士になろうとしたが
音楽が待ってくれなかった
父は規律の中から愛を得た
稲妻のようでベルベットのような手
魂を彫る優しい方法を
理解するのに何年もかかった

バンドリーダーは疲れ
目は衰えてきた
だけど彼の血は僕の楽器に流れ
歌は僕の魂にある
今までその人生を真似ようとしてきたが
決して真似のできるようなものではなかった
僕はバンドリーダーの
生ける遺産にすぎない

2人の兄は違った道に進んだ
なぜなら彼らには別のお告げがあったから
上の兄はシカゴにいるし
下の兄はセント・ポールにいる
そして僕は旅でホテルに泊まっていないときは
ふだんコロラドにいる
自分が選んだ人生を一生懸命生きているし
ようやくその人生も楽しくなってきた

僕はあなたに感謝します
あなたの音楽と旅の思い出に
あなたに感謝します
僕がひとり立ちするときに好きにさせてくれて
僕はあなたの優しさに感謝します
厳しく叱ってくれたことにも感謝します
お父さん、あなたを愛していることを
まだ充分に伝えられていない気がします

僕はバンドリーダーの
生ける遺産にすぎない



訳詞はいづれも、ココログ「名曲洋楽訳詞隊」さん よりお借りさせていただきました。

ありがとうございます。

名曲洋楽訳詞隊