会社の友人のプレゼンを聞いて行こうと思ったものの、3日後が最終日でもう日時予約はいっぱいかと諦めかけましたが、無事に見ることができた「芸術×力 ボストン美術館展」。
権力と芸術の関係性がテーマのせいか、万人受けする見るからにきれいな絵画はほとんどなかったものの、解説に書かれた情報が面白いものが多かったです。
日本にあれば国宝になっていたに違いない「平治物語絵巻」は、人や馬や炎の動きが素晴らしくて。
奇想天外なストーリーが面白かった「吉備大臣入唐絵巻」には、唐で脱出不能な塔に閉じ込められた遣唐使の吉備真備を、唐で亡くなった遣唐使の阿倍仲麻呂が鬼になって訪ねるシーンや、難題をクリアするために飛行術で塔を抜け出して答えを盗み聞きしに行くシーンなどが描かれていて。
「吉備大臣入唐絵巻」(平安時代後期–鎌倉時代初期、12世紀末)
「三銃士」では悪役として有名なリシュリュー枢機卿の重要なアドバイザーだったフランソワ・ルクレール・デュ・トランブレーと、彼にへつらう人々を描いた「灰色の枢機卿」。
トランブレーは欧米で「黒幕」を意味する「灰色の枢機卿」という言葉の語源になった人物とのこと。
「灰色の枢機卿」ジャン=レオン・ジェローム(1873年)
「龍は陽、虎は陰を表す道教では、陰陽の融合を図る」みたいな解説が付いてた「龍虎図」ですが、実際の絵では龍と虎がお互いに噛みついていて、「これが融合?」と頭の中が混乱しました。
「龍虎図」 旧伝 陳容 (南宋、13世紀後半)
この他にも興味深いエピソードが多々あって、楽しかったです。
そしてそんな中にもクラーナハやエル・グレコ、ジョン・サージェント・シンガーら、巨匠たちの素晴らしいの絵画が時々混じっているのが嬉しかったです。
「十字架にかけられた二人の盗人のいるキリスト哀悼」 ルカス・クラーナハ(父)(1515年)
「祈る聖ドミニクス」エル・グレコ(1605年頃)
チケット¥2000はちょっと高いかなと思いましたが、見に行ってよかったです。