2024年6月鑑賞映画ひとことレビュー | (ほぼ)月一更新(予定)鑑賞映画ひとことレビュー

(ほぼ)月一更新(予定)鑑賞映画ひとことレビュー

月一で初鑑賞映画の感想を書いてます。
あくまで個人の感想です。立派な考察・評論は出来ませんのでご容赦下さい。

「2024年6月鑑賞映画ひとことレビュー」

 

6月の鑑賞本数は34本。

 

□「怪物の木こり

 さすがは三池さんな快調なテンポと完成度なんだけど、お話的に無理がありすぎな中二病で引きました。

【65】

 

□「ザ・モンスター(1982)

 古き悪き鬼畜犯人な刑事もの。「ゾンゲリア」のゲーリー・ジャーマンのリアリスティック演出がたまらないです。

【60】

 

■「ライド・オン

 この年齢の映画好き男子でジャッキーを通っていない人はいないので(もう少し上だとブルース・リー)、もちろん自分もハマったクチですが、いつの頃からかそんなジャッキーの軽さ(これ諸刃の剣だと思います)についていけなくなり早ン十年。ハリウッド進出(「ラッシュアワー」や「ドラゴン・キングダム」は好きです)後も頑張ってるのは重々承知の上で、やっぱり合わないなあっていうのは自覚しておりました。

 そんなジャッキー愛少なめな自分の正直な感想は、「年取ったなあっ」ていうのと、「結構限界だなあ」ていうのが7割、「まだまだ頑張れるよ」っていうのが3割の相反する気持ちが湧き上がる感動作という思いでした。

 実際、お話自体が古き良き香港映画へのリスペクトなので、確実に一時代を築いたお方の語る思い入れと郷愁は半端なものでは無く、老スタントマンが一念発起してチャレンジするラストなんかの展開はジャッキー以外では出来ない(許されない)ものだろうなあなんて涙ちょちょぎれもの。相棒のお馬さんの健気さもあり、もちろん主軸で王道である疎遠だった娘との絆が復活していく様子など、基本に忠実過ぎる笑って泣けるいい映画となっているのですが、それ以上にジャッキーの香港映画、ひいてはスタントに対する思いが全面にありすぎて、映画としてはどうにも居心地の悪い感じというかバランスの悪さも正直感じてしまいます。

 あと、今回についてはNG集は不要だったかと。バンバンCG使いまくりの裏側を見せられてしまい、リスペクトとは?とふっと感じてしまったりもしたもので。

 まあこれは長年のジャッキーファンへ向けた贈り物のような映画であって、それ以上でもそれ以下でも無いというのが正直な気持ちです。

【70】

 

□「インパクト・アース

 なんとも尻つぼみなエセパニック映画。でもトム・べレンジャーで全て許してしまいます。

【50】

 

□「大怪獣バラン

 恥ずかしながら初見。やっぱり往年の特撮怪獣ものは燃えます。

【60】

 

□「ソリス

 一人芝居の熱演は認めるものの、それが空回りし続ける悲しきB級映画。

【55】

 

□「殺人ゲーム

 いかにも昔のフランス映画らしいオシャレが嫌味な映画。

【50】

 

□「ポテチ

 伊坂幸太郎✖中村義洋はやっぱり外れ無しですねえ。

【70】

 

□「メイヘムガールズ

 美少女アニメの実写版的な感じはいいけれど、もうちょっと色々気を遣えばと。

【55】

 

■「男女残酷物語 サソリ決戦

 予告編の巨大オブジェに心奪われてしまい、観てしまったトンデモ前衛ポップなセックススリラー。ってなんだかよくわからない感じですが、要は変態男女による、男女の尊厳をかけた壮大かつおバカなマウント合戦でした。

 慈善財団の幹部を務めるセイヤーは、その一方で女性に対する征服欲や加虐性を抱えていた。ある日彼はジャーナリストのメアリーを拉致して秘密のアジトに監禁し、肉体的・精神的凌辱の限りを尽くす。窮地に追い込まれたメアリーはおびえながらも果敢な姿勢でセイヤーの心の隙を突き、やがてセイヤーは弱音を吐きはじめる…(映画.comより)

 ストーリーがなんとも現代的(苦笑)なので、何ら違和感無く観れてしまうのが恐ろしいというか先進的というか、はたまた原始より男女の関係は変化していないのか、なかなか高尚なところではありますが、自分は男なので、こういう感じでコロッと女性の手の平で転がされる感は身につまされる感もあり、恐ろしくもあり。映画としてはかなり破綻しているというかヘタッピなのですが(なのでオチなんかが全く機能していなかったりします)、なんだかどこか違う方向へ連れていかれるようなこの時代独特の空気感がかなり楽しい、そんな愛すべきポンコツ映画でした。

【65】

 

□「メイド・イン・ホンコン

 いかにも低予算で素人的な感じは否めないけれど、それを超えるやるせないパワーと独特の閉塞感を持った逸品。

 この時代の若者にしか作れない映画ってだけで価値があるかと。

【70】

 

■「柔道龍虎房

 ジョニー・トー師父がクロサワに敬意を表しまくったトンデモ映画。いや敬愛するクロサワに敬意を表するのによりにもよって「姿三四郎」をベースにしたのか謎でしか無いのですが、それが師父の大好きなハードボイルドな世界観に無理くりかみ合わせたものだから、何とも言えない独特過ぎる世界観に困ってしまう映画となっています。いきなり姿三四郎のテーマが情念たっぷりに流れ出したかと思いきや、カンフーまがいの柔道バトルが繰り広げられ、はたまたギターとサキソフォンが唸りだしたかと思いきや、電波系なトンデモ迷惑女子がトンデモない行動を繰り返し、なのにストーリーの本筋は王道のスポ魂ドラマという、まったくかみ合わない要素を師父の強引すぎる力技でまとめてしまった、そんな狂気に満ちた怪作でした。

 ルイス・クーやらアーロン・クォックがそんなトンデモ物語の中で戸惑いながらも一生懸命演じているのがなんとも微笑ましかったです。

 【65】

 

□「セーヌ川の水面の下に(NETFLIXオリジナル映画)」

 あまたあるサメ映画の中でもぶっちぎりの爽快感と怒涛の展開に大興奮したパニックサメ映画。小さな事件がやがて世界を揺るがす大事件へと発展するクライマックス(地獄のピタゴラスイッチ)、遠慮ゼロのゴア描写など、映画館の大画面で観たかった描写てんこ盛りな快作。

【75】

 

■「ナイトスイム

 決して駄作ではないけれど、ブラムハウス産ホラーの枠はやっぱり超えられない、ある意味外れ無しな家系ホラー。

 難病に侵され早期引退を余儀なくされた元メジャーリーガーのレイ・ウォーラー。現役復帰を目指す彼は自身の理学療法も兼ねて郊外のプール付き物件を中古で購入し、妻イブや思春期の娘イジー、幼い息子エリオットとともに引っ越してくる。新たな生活を満喫する一家だったが、裏庭にあるプライベートプールは、なぜか15年も未使用のままだった。そのプールには得体のしれない怪異が潜んでおり、一家を恐怖の底へと引きずり込んでいく…(映画.comより)

 家というかプール(というか水)に憑いた怨霊が悪さするお話で、良きパパ(そうでもないか)やその家族が憑りつかれ、破滅していく展開は正直よくあるお話。謎解き部分に多少オリジナリティを見出せるものの、パターンが過ぎる演出も含め、どうしてもブラムハウス産お化け屋敷系から脱却する事が出来なかった感じです。

 とはいえそれほど過度な期待をしなければ充分に怖いホラー映画ではありました。

 しかしワイアット・ラッセルの顎がどうしても…(苦笑)

【65】

 

■「ドライブアウェイ・ドールズ

 かのコーエン兄弟の弟・ジョエルの初単独監督作。かつてのオフビートなコメディを超現代風に置き換えたクイアサスペンスコメディ。

 日々の生活に行き詰まりを感じたジェイミーとマリアンは、車の配送(=ドライブアウェイ)をしながらアメリカ縦断のドライブに出かける。しかし、配送会社が手配した車のトランクに謎のスーツケースがあるのを見つけ、その中に思わぬブツが入っていたことから、スーツケースを取り戻そうとするギャングたちから追われるはめに。さらにジェイミーの元カノの警察官や上院議員までも巻き込み、事態は思わぬ方向へと発展していく…(映画.comより)

 あらすじだけだとヒッチコックばりの巻き込まれ型サスペンスっぽいのですが、破天荒で自分勝手、そしてクイアで性欲爆発なジェイミーの自由過ぎる暴走が映画をあらぬ方向へ引っ張っていくその破綻感が面白く、一体どこに向かっているのかわからないその混沌が映画を一筋縄では行かない怪作にランクアップさせています。そんな暴走女子の相方である内気なマリアンがどんどん開放されていく青春成長ドラマとしての側面もあるのがさすがのコーエン。下世話なくせにやたらあけっぴろげな下ネタのオンパレードとともに”普通”にくそくらえ的なアナーキーな感じもなんだか微笑ましい。非常に下品で下種な映画なのになんだか愛らしくもうらやましい、そんな女の子たちの生き様が爽快なガールズムービーです。が、その下ネタと破天荒さでリズムが悪く、全体にディティールに引っ張られたというかアイデアに押された感があるのもある意味ジョエル単独作って感じ面白いです。

【65】

 

□「スティーブン・キング キャッツ・アイ

 昔懐かしキング短編集。ジェームズ・ウッズがいい味出してます。

【65】

 

□「大統領の堕ちた日」

 お話はすごく面白いし、役者もすごいのに演出があまりに下手過ぎてダメな映画。これもっともっと面白くなるお話なのにほんと勿体ない。

【60】

 

□「峠 最後のサムライ

 この方の映画っていつも大作感があるわりにこじんまりしてる印象。役者の芝居をきちんと捉える事が下手なのかなあという印象です。

【60】

 

□「イン・ジ・アース(U-NEXT独占配信映画)」

 なんとも言えない妙な電波系映画。の割にやたらしっかり作られているからタチが悪い。なんというかどうにも芯を外してるというか、どこかずれてるというか。それなのに画面なんかはやたらしっかりとした感じ。この監督の映画ってみんなそんな感じですね。

【65】

 

□「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM

 人気があるのはわかるのですが、やっぱりどうにもこの幼稚な思想とアニメファン向けに特化したお花畑的ストーリーに耐えられない、そんな自分は宇宙世紀絶対主義者(ごめんなさい)。

【65】

 

□「クレージー作戦 くたばれ!無責任

 クレージーの芸達者ぶりが素晴らしい今観ても新しいミュージカルコメディの快作。とはいえ今のコンプラで図ると相当危ういと思ってしまうのがなんだが切ないです。

【70】

 

■「蛇の道(2024)」

 黒沢清監督のセルフリメイク作。舞台をフランスに移し、主人公を女性に変更するなど、結構変化を加えてますが、基本的にはほぼ同じストーリーが展開されます。

 オリジナルよりこちらを先に鑑賞したので、ストーリー等は知らず。ラストのオチも含め、非常にセンシティブで厭なお話を黒沢清らしい、俯瞰的で達観したような目線で淡々としたカメラの中、それぞれの意図が明白な演出を受けた役者たちが組み立てる映画はまるで様式美。それぞれのシーンに明確な目的や意識が感じられるのは流石理論派と言ったところでしょうか。全編フランス語で演じ切り、静かな狂気が滲み出ている柴咲コウの熱演は素晴らしいが、相方であるダミアン・ボナールさんがちょっとやりすぎ&一辺倒だったのはもったいないのと、フランスである意味が正直感じられなかったのは残念なところ。

 お話自体が非常に面白いイヤミスで好みなので、おのずと評価が上がってしまうのですが、それでももう少し色々出来たのではないかなあっていうのが正直なところです。

【75】

 

■「HOW TO BLOW UP

 環境活動家の若者たちによる命がけの石油パイプライン爆破を描き、アメリカでスマッシュヒットを記録しながらも「環境テロ行為を助長する」とFBIが警告を出すなど賛否両論を巻き起こしたサスペンススリラー。

 上記のような惹句がつくと、意識高い系のめんどくさい映画な感じがしますが、いやいやこれ、なかなかにスリルとサスペンスに満ちた良質のエンタテインメントでした。

 登場人物は一言で環境活動家と言えど、その内容は千差万別。いかにも意識高い系の面倒な奴もいれば、ただ人と違う事がしたいとう中二病な輩や、石油会社そのものに恨みを持つもの、楽しければ良い的なジャンキーもいれば、友達だから手伝う的な軽いやつもいるなど、そのあたりのキャラの書き分けがうまい。確かにパイプライン爆破までのプロセスを懇切丁寧に描いてはいるけれど、それだけじゃあなく、きちんとキャラのバックボーンも同様に非常に丁寧に描いているのもポイント。どうしたってテロリストなのに、感情移入させるキャラ作りをしているので、ラストはどうするのか結構気にしていたのですが、なるほど上手い手。サスペンスとしての展開もなかなかで、爆破の成否という大筋の中に、キャラの背景シーンとうまく絡めたサスペンスを展開させるそのシナリオは、構成の妙も含め、久しぶりによく考えられた映画を観たという印象でした。 

【75】

 

□「蛇の道(1998)」

 リメイク版を鑑賞したので、オリジナルを。結構リメイクがオリジナルに忠実だったんだなあという印象(ただしリメイク版の方が精錬されてる感じか)。ただ両方男性だとだいぶ印象が違うのと、やっぱり安っぽさは目立つかと。それでもその安っぽさが逆にパワーになっている、そんなVシネマ時代の熱が懐かしい。

【75】

 

■「ザ・ウォッチャーズ

  所詮シャマラン先生の人の親…って事を痛切に思わされた娘の初監督作品。予告編の段階でまんま親父の映画やと思っていたのですが、予想通りというか、いや予想以上にひどい劣化版でした。

 28歳の孤独なアーティストのミナは、鳥籠に入った鳥を指定の場所へ届けに行く途中で、地図にない不気味な森に迷い込む。スマホやラジオが突然壊れ、車も動かなくなったため助けを求めようと車外に出るが、乗ってきた車が消えてしまう。森の中にこつ然と現れたガラス張りの部屋に避難したミナは、そこにいた60代のマデリンと20代のシアラ、19歳のダニエルと出会う。彼らは毎晩訪れる“何か”に監視されているという。そして彼らには、「監視者に背を向けてはいけない」「決してドアを開けてはいけない」「常に光の中にいろ」という、破ると殺されてしまう3つのルールが課せられていた…(映画.comより)

 あらすじだとなんだか仰々しい感じで、謎が謎呼ぶ展開が期待されてしまうのですが、まずその正体があまりにありきたりというか、普通すぎて興ざめ。もちろんそれがデル・トロみたいなオリジナリティに溢れるような造形・設定ならオッともおもうのですが、そういう訳でもなく、ただセンスが無い。まあそれは置いておいても、とにかく演出がその場しのぎで、キャラが全員薄っぺらく、パターン化されたそのまま。色々目新しい事をしようとしているけれど、とにかく映像的にも演出的にもセンスが無いというかありきたりで、シナリオの展開も行き当たりばったり感が半端なく、とにもかくにも考えの浅さが目につきまくりでした。

実際、このシナリオ、このセンスなら普通こんなレベルの役者たちも使えないし、予算ももらえないと思うのですが、それをやってしまったシャマランはじめ映画関係者は役者やスタッフに謝るレベルの迷惑をかけていると思います。

いや久しぶりに「これはあかんやつや」と映画館で思った映画でした。

【50】

 

■「バッドボーイズ RIDE OR DIE

 破壊王からマイアミのバカップルのバトンを受け継いで。前作も破壊王並みにバカな事をしまくっておきながら、出来た映画が非常にオーソドックスに程よくまとまった佳作となっていた監督コンビによる新生バッドボーイズ第2弾。今回も色々バカな事をド派手にやっていますが、大作らしさを残しつつ程よくまとまった非常にバランスの良い良作となっております。

 物語は前作の続き。それぞれ結構なお年のバッドボーイズたちが(年相応の)トラウマやトラブルを乗り越え(年相応に)成長していく姿をド派手かつ妙味溢れるアクションで見せてくれます。実際お二方とも結構お年を召したなあ(太ったなあ)という印象は否めないのですが、そこはスター、それ相応の円熟味を見せてくれます。特に色々あって干されたウィル・スミスがここまで楽しそうにみえるのはこのシリーズだからこそ。相方もその辺りを心得てサポートしているのが見えてほっこりしてしまいました。

 監督コンビは決して天才では無いけれど、きちんと伝える力と見せる力を持っている二人。見せてほしいものを見せてくれる、感じたい気持ちを感じさせてくれる、そんなエンタメ映画を作るにあたって必要な信頼感を持たせてくれます。

 物語的にはまだまだ続けられそうだけれど、どこかのワイルドなスピードとは違い、等身大のマイアミで等身大の活躍を末永く続けてほしい、そんな愛すべきシリーズに今回で昇華した気がします。

【80】

 

□「劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室

 ドラマを一切観ていなかったのですが、結構な本格派で良い驚き。役者さん達、ほんとに救急ぽく見えるのが(話方とか)素晴らしい。ただ画面がやっぱりテレビ的な構図が多勢だったのと、余計なストーリー(というかドラマがらみだから仕方ないかもですが)が邪魔に感じてしまったが切ないというか勿体ないというか。いっその事「タワーリング・インフェルノ」並みに開き直ったら良かったのですが。それはまあ無理筋ですね。

【65】

 

□「アトラス(NETFLIXオリジナル映画)」

 ジェニロペ大活躍なすっとこSF巨編。やたらお金がかかってるB級映画って感じが良かったです。

【65】

 

□「バッド・トレジャー

 スコット・イーストウッドってなんだかほんと華が無いというかオーラが無いというか大根というか…ほんと勿体無いおひとだなあと(泣)

【60】

 

□「みなに幸あれ

 まんまD4Cラブトレインなお話は目の付け所が良いなあとは思うのですが、唐突に出てくる狂ったシーンがちょっと狙いずぎなのはマイナスポイント。ラストのオチもいかにもな感じなのがちょっとなんだけれど、それでも全体に溢れる陰湿かつどこか違う世界感は良かったです。

【65】

 

■「クワイエット・プレイス:DAY 1

 正直1作目、2作目はあまり評価していませんでした。音に反応する怪物によって滅亡の危機に瀕した世界で生き残る一家の物語だった前2作については、あまりに都合よくコロコロ変わる設定のいい加減さと、主人公家族の自分勝手さに辟易してしまい、怪物のデザインも含め全体的に雑な感じがしてどうしても評価が低かったのです。

 今回はそんな身勝手家族から離れ、怪物が襲来した1日目のニューヨークを舞台にした大好物のザ・地球侵略ものという事で実は結構楽しみにしてました。大スケールで描かれるニューヨーク崩壊。ガンガン壊されるビル、襲われる人々、米軍VS怪物の全面戦争…そんなイケイケアクションを期待していたのですが、蓋を開ければまさかまさかの号泣感動映画でした。

 飼い猫のフロドとともにニューヨークに暮らすサミラ。大都会ゆえに不寛容な人もいるが、そんな街での日々も、愛する猫がいれば乗り切ることができる。そんなある日、突如として空から多数の隕石が降り注ぎ、周囲は一瞬にして阿鼻叫喚に包まれる。そして隕石とともに襲来した凶暴な“何か”が人々を無差別に襲い始める。何の前触れもなく日常は破壊され、瓦礫の山となった街の中を逃げ惑うサミラは、路地裏に身を隠して息をひそめ、同じように逃げてきたエリックという男性とともにニューヨークからの脱出を計画するが…(映画.comより)

 とりあえず期待の侵略シーンは大満足。空に溢れる隕石の不穏なイメージから速い、怖い、強いの怪物たちが大量に現れ殺しまくり壊しまくりの様子は相当作りこんだようでかなりのリアリティ。あくまで地上目線で個人目線を徹底しているため、サミラが感じる恐怖をかなり体感できるようになっています(ここほんと大事)。その大虐殺シーンも含め、基本的に一人の女性の目線で映画が進むのがこの映画の成功ポイント。宇宙怪獣(これが一番しっくりくる気がします)の正体も、対応している世界がどうなっているのかも観客側にはほぼ知らされず、あくまで普通の人々を描くのがこのシリーズの基本。前作までの自分勝手な勘違い家族とは違い、今回は末期がんの孤独な女性という、生きる目的を失った人物を主人公に据えることにより、絶望的状況の中で生きる希望と目的を見出していくという、反語的なテーマをなんと抒情豊かに演出。SFホラーでありながら、人間の尊厳と繋がりを感じる、非常に泣ける良作となっております。

前作「PIG」もそうでしたが人生に絶望している主人公が、絶望的な状況の中で、ちょっとした事がきっかけで希望を持つそんなちょっとしたきっかけを捉える事が上手い監督さんでしたが、こんなフランチャイズな大作でもブレないところは好感度大。ラストシーンに溢れる悲しみと希望はそんな監督の思想を明確に表している非常に心打たれる名シーンとなっております。支離滅裂で破壊的で無茶な設定の中で、それをしっかりと守りつつ、人間ドラマとして切なく泣けるいい物語を作り上げたスタッフ・キャスト陣に感謝したい、そんな“いい映画”でした。もちろん人類滅亡系が大好きな方にもおすすめです。

【80】

 

□「地球最終戦争ロボット・ウォーズ」

 ザ・80年代な空気と安さと軽さが懐かしいすっとこC級映画。

【50】

 

□「スラムドッグス

 かわいいいワンちゃんたちが織りなすアテレコ系エログロバイオレンス。っていうのももう目新しくなくなってしまったのがなんとも切ない。まあこれはこれで普通に楽しめるのですが。

【60】

 

□「ザ・リミット

 発想は面白いと思うんですが。

【50】

 

ここでお得なポッドキャストをご紹介!台東区の銭湯「有馬湯」をキーステーションにお送りする映画やその他社会のもろもろについて私の友人であるアラフィフ男どもが熱く激しく語りまくるポッドキャスト「セントウタイセイ.com」。かなりマニアックなものから有名どこの邦画を独特すぎる視点で時に厳しく、時に毒々しく、だけど基本は面白おかしく語りつくしておりますので、是非聞いてやってくださいませ。

よろしくお願いします!