2019年7月鑑賞映画ひとことレビュー | (ほぼ)月一更新(予定)鑑賞映画ひとことレビュー

(ほぼ)月一更新(予定)鑑賞映画ひとことレビュー

月一で初鑑賞映画の感想を書いてます。
あくまで個人の感想です。立派な考察・評論は出来ませんのでご容赦下さい。

2019年7月鑑賞映画ひとことレビュー

 

7月の鑑賞本数は33本。邦画ブームも一段落。まあ映画鑑賞の間に「深夜食堂」「孤独のグルメ」全話イッキ見とかやってるんでまだブームは継続中なのかも。とりあえず映画館鑑賞をメインに。

 

「COLD WAR あの歌、2つの心」

モノクロの美しすぎる映像で描かれる、時代に翻弄された芸術家同士の魂の恋愛を描いた珠玉のラブストーリー。…というような映画自体に免疫があまりに少ないせいか、この手の映画には素直に感動してしまう自分がいます。第二次大戦後の冷戦を背景に、政治と時代のうねりに翻弄されながらお互いの愛を貫こうとする二人の15年間の生き様は、それはもう壮絶かつ激動な出来事のオンパレードで、それを観ているだけでも心が揺れるのですが、またこの二人がそれぞれエゴが強い芸術家だというところもこの映画のミソ。芸術家同士の恋愛といえば個人的には「ニューヨーク・ニューヨーク」が真っ先に思い出されるのだけれど、「ニューヨーク・ニューヨーク」が表現者というエゴ同士のぶつかり合いをあくまでパーソナルな問題として(ある意味)等身大で描かれていたのに対し、これはそんな芸術家が世界の荒波の中でいかに自分のエゴを貫き通したかという(ある意味)レジスタンス的なストーリーといった方がしっくりくる、そんな社会派としてのポジションの方が強い映画です。とはいえそこのバランスの取り方が絶妙というか非常に自然で、そんな鼻につくような主張や声高な声明は無く、ただ二人の運命を淡々と(それでいて時には劇的に)描く事で舞台となったポーランドの悲劇を表現しているのは流石の手練れ感。とまあ難しい話はさておき、美しすぎる映像美と華麗なミュージカルシーンや胸に迫る名曲を楽しみつつ、二人の悲恋に涙する、そんなシンプルな楽しみ方ができるのがこの映画の一番の美点だと思います。

【85】

 

「ハッピー・デス・デイ/ハッピー・デス・デイ2U」

”同時上映で目当てのものよりはるかに面白かった”映画の系譜に連なる、現時点で今年1番の拾い物(「ハンターキラー」といい勝負です)。お話はタイムリープ+殺人鬼という事で正直それほど目新しいものでも無く、スタッフ・キャストは無名の人ばかり。映像や美術なんかでもお金がかかっていないのは明白で、まあザ・B級って感じの映画なんだけれど、これの何が素晴らしいかっていうともうひとえに主人公の女の子。これに尽きます。初登場時は自己中で男好きで最低のビッチ。こんな女が殺されようがどうでもいいって感じだったのが1日を繰り返すごとにドンドン魅力的になていくそのプロセスがもうたまらなく痛快。元々タイムリープものはハズレが少なく、パズルを解くような知的興奮とともに、成長物語のメタファー的なところがあるので相性がいいのは当たり前なんだけれど、それをここまで徹底してキャラクターの魅力を描く事だけに集中したのがこの映画のキモ。演じるジェシカ・ローズ嬢のぴったりすぎるキャスティングによってそのビッチなキュートさが全開(まあ2作目のトウのたち具合はご愛嬌ですが。この映画以外にこれといった出演作が無いのが不思議だけれど、ここまでぴったりな映画に出てしまうと後が続かないというのもなんかわかる気も笑)。1作目で美しく着地したかと思ったら2作目でさらに広がりと掘り下げを見せるその展開も中々に知的。勿論ストーリーのアラとか納得できない要素も多々あるけれど、それを百も承知で何よりも主人公(と仲間たち)の成長物語に絞ったのがこの映画を面白くさせた要素。そういう開き直りの潔さが清々しくも痛快な、B級映画(これは褒め言葉)的な面白さに満ちた快作です(ただホラーでは無いです笑)。

【1作目・2作目 85】

 

「アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲」

”月の裏側でナチスドイツが生きていた!”なんてムーで中二的に興奮しかない設定なのに、微妙というか正直ハズレだった1作目。そして今回、”地球内の空洞でナチスドイツが地底帝国を築いていた”なんてもう呆れるくらいの狙いまくりで、それはそれでやっぱり興奮しちゃうのだけれど、何故か今回もハズレ。その原因をのんべんだらりと考えてみたら、これが”クラウド・ファンディングで作られた映画”って事に行き当たりました。一言で言えば”計算高い”。なんというか”これやっとけば喜ぶんじゃね?”とか”これ入れとけばウケるんじゃね?”っていうそういう計算というか客のニーズを見越した作品作り。勿論エンタメ興行である限りそれは必須事項なんだけれど、それがここまで表立って出てきてしまってるのがこの映画の欠点。というか作り手の限界かと。結局、ムーで中二な奴らがただ面白そうななだけで立ち上げた企画でそれを長編映画というか観れるレベルの映画に作り上げるだけの能力が無いって事なのでしょう。それなりに金がかかってそうな特撮(あえてこう呼びます)にやたら力が入っているけれど、それ伊賀いい加減さというか練りこみ不足というかあざとさは明らかに商業映画のレベルでは無いし、とりあえずジョブスでも出しとけ的な幼稚さに、もしかしたら上から目線の儲け話的な感覚なのかもしれないって感じもあります。そこまで底意地が悪いとは思いたくは無いけれど、映画全体に見える安直で不快な感じの原因がそこにあるのだとしたら、それはこの手の映画で絶対にやっちゃいけない事だと思うのですが…考え過ぎですかね。

【65】

 

「トイ・ストーリー4」

”完璧な3部作”があるのにまさかの続編。金儲けの匂いしかしない4作目はやっぱり蛇足でした。まああの3作の後という事でこれ以外のストーリーは無いというのは納得なのですが、だからこそ作る意味があったのかというのが正直な感想。元々おもちゃ達の面白おかしい生態(っていうとなんか変ですが)を描きながらアンディとバズの成長物語をベースとしたのがトイ・ストーリーの基本。そんなストーリーで語られるのが”人間の存在意義”というテーマ(まあこの場合はおもちゃの存在意義ですが)。3部作でその存在意義をこれ以上ないくらい美しく描き切った後で何故もう一度それを仕切り直す必要があったのか、この映画ではその意味がどうしても見出せませんでした。というかこの映画のストーリーが”果たしてそれでいいのか?”という疑問というか納得しかねるものでしか無いのが致命的。勿論これはこれでつまらないという訳ではなく、会議で散々みんなで知恵を出し合ったであろうディティールとかそれぞれのエピソード、そして映画としての完成度は素晴らしいのだけれど、だからこそその根本となるストーリーがこういう予定調和というか万人にウケるような流れ(詳しくはネタバレになるから書けないけれど、ラストの展開はファンだからこそ許せないか、ファンだからこそ許せるかのギリギリ折衷案という感じがありました)というのはいかがなものか。そういう根本の安直さに合議制の限界を見たような、そんなディズニー的映画製作というか産業としての映画製作の限界を感じた、そんな切ない映画でした。

【70】

 

「チャイルド・プレイ(2019)」

1作目の職人肌的怪作を現代的にリブートしたらこうなるよね。っていうそれ以上でもそれ以下でも無い映画。ただ一言「チャッキーが可愛く無い」これに尽きます。

【65】

 

「ポラロイド」

そんな可愛く無いチャッキーを作ってしまった監督のデビュー作。まさかの同時期公開という売れっ子か!なんてツッコミが来そうな感じですが、チャッキーに比べこっちな中々の佳作でした。呪いのポラロイドカメラに撮られた人々が次々に怪異に見舞われるという昨今よくあるシチュエーションホラーなのですが、こっちは怪談テイスト満載。呪いによる惨殺絵のシークエンスも中々に考えられてて、昨今のこの手の映画の中ではかなり怖い方かと思われます。謎解きが今ひとつ(というかありきたり?)な感じもしますがそこはまあご愛嬌。とにかく写真に棲んでいいる幽霊という設定(吉良の親父?笑)をここまで真面目にダークにやられたらそれはそれで結構な感動があるってもんで。取り立てて新鮮味は無いけれど、YOUTUBEから一発当てたろうっていう監督の真面目な意気込みが伝わる、そんなほのぼのした気持ちになる真摯な1本です。

【75】

 

「天気の子」

個人的に、ある意味今年一番の問題作。というのもどうにも評価するに難しい映画だったからで。高校1年生の夏、帆高は離島から逃げ出して東京に行くが、暮らしに困ってうさんくさいオカルト雑誌のライターの仕事を見つける。雨が降り続くある日、帆高は弟と二人で生活している陽菜という不思議な能力を持つ少女と出会う…(Yahoo映画より)まあここまで大ヒットしてるのでお話を知らない人の方が少ないかとも思うのですが、この映画の一番困るというか引っかかる点はこの主人公二人に対してどのような感情を持つかという事。映画というかフィクションてのは受け手側の立場・意識・趣味好み等の個人的なものによって印象が全く違うのは当たり前なので、それを考えず敢えて理論や思考でその作品の本質や作者自体が考えも寄らない真相を読み解くのが評論っていうものだと思うだけれど、この映画に関してはそのパーソナルな部分での印象の違いがかなりの評価の基準に影響するのではと思います。というわけで敢えて純粋に自分の個人的な感想として考えていきたいと思います。(以後ネタバレ含む)

個人的にこの主人公二人(+主人公の弟)の行動は納得できないものでした。それは自分が曲がりなりにも大人として社会の中で生きてきた年数が結構長い事も含め、自分の都合で世界を(一概には言えないけれど)悪い方向へ変えてしまって平気な顔で愛を語るのはあまりに身勝手な事では無いかとどうしても思ってしまうわけで、勿論こういうストーリーにした監督の意図等も十二分に理解できるけれど、それは自分の思考とは相容れないなというのは正直なところです。まあここまであまりにセカイ系の映画を作ってしまうこの監督の思考回路が個人的には幼稚(っていうと語弊がありますが)というか浅いというところもあり、マーケティングの妙というか製作者の辣腕というかそういうところで過度にヒットしている印象がものすごく強いのだけれど、正直個人的にはこの監督の思考・思想・趣味はこういう大作的な扱いとは違うところにあると感じていて、そういう意味では前作「君の名は。」よりはかなり個人的な冒険をしている分、そこには覚悟というか余裕があったのだろうなあという感じはしました。だけれど新宿を超リアルに描かれようが、ものすごく美しい空を見せられようが、身勝手に見える3人(特に主人公)の行動にイラつきしか感じない(これは純粋に彼に感情移入というかそういう感情を起こさせる演出が不足しているから)のがこの監督の限界なのかという感じもしました。なんというか監督自体の覚悟が見えないというか、そういう作りにしなかった(出来なかった)部分に、大作としての欠点も見えるような気もします。とはいえそれはアラフィフのおっさんの感情的な意見。主人公達と同年代の人達なら全く逆の思いを抱いたであろうこの映画、中々に挑戦的なのかもしれません。まあ色々屁理屈つけて書きましたが、純粋に終始その浅すぎる行動と展開にイライラしっぱなしだったのが正直なところです笑。

【65】

 

その他の鑑賞映画

「悪魔の植物人間」【75】

「それでもボクはやってない」【75】

「ストロベリーショートケイクス」【60】

「映画 続・深夜食堂」【70】

「ある女流作家の罪と罰」【75】

「フロントランナー」【75】

「シャフト(NETFLIXオリジナル映画)」【60】

「LAST SHIFT /ラスト・シフト/最期の夜勤」【75】

「アナザヘヴン(Rー15版)」【60】

「幕が上がる」【80】

「リアル 完全なる首長竜の日」【65】

「本能寺ホテル」【65】

「阪急電車 片道15分の奇跡」【65】

「若おかみは小学生!」【75】

「孤独なふりした世界で」【70】

「蘇る金狼(1979)」【75】

「ドラゴン危機一髪’97」【70】

「俺たちホームズ&ワトソン」【50】

「くちびるに歌を」【70】

「マイ・サンシャイン」【60】

「ヒーロー・ネバー・ダイ」【80】

「全ては君に逢えたから」【60】

「SF核戦争後の未来・スレッズ」【85】

 

ここでお得な映画番組情報‼︎台東区の銭湯「有馬湯」をキーステーションにお送りする毎回1本の映画について僕の友人である40代男達が語るポッドキャスト「セントウタイセイ.com」。かなりマニアックなものから有名どこの邦画を独特すぎる視点で時に厳しく時に毒々しくだけど基本は面白おかしく語っておりますので、是非聞いてやってくださいませ。

よろしくお願いします‼︎