「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」
マーベルの中でもかなりマイナーなキャラクター、完全なスペースオペラという、正直入り込みにくい世界観、しかもB級映画専門(とはいっても「SUPER!」は快作でしたが)で大作を手がけるのは初めての監督。
いかに全米大ヒットで高評価でも、まああまり期待はしていませんでした。
あやまります。すいません。
まさかの今年ベスト級の傑作だとは。
まあ結構この映画のよさについてはいろんなところで語られているので、音楽の使い方(発明ですね、これは)やキャラの立ち方(これはもう全員はぐれもので日陰者で基本悪い奴っていう設定が最高)、何気にギミックのこだわりの半端なさ(各キャラの小道具のデザインと使い方がそれぞれの個性にきちんと合わせてあったりとか、都市のデザインにきちんとした理由付けがあったりとか、戦闘シーンでその世界にあった作戦をきちんと組み立てるとかそういうささやかな部分に手を抜かないのはオタクならではの長所でもあります)について今更どうこう言うつもりもないですが、全シーン、全カットに溢れるのはジェームズ・ガン監督が今までの人生で観てきた映画への限りない愛情とリスペクト。それは70年代に全盛だった男臭く真面目なんだけど大らかで豪快なアクション映画へのオマージュと、80年代の軽薄だけどポップでゴージャスな雰囲気の融合。そしてきっと自身もそうだっただろう生き方が下手な人たち(大体トロマで働くような人がリア充なわけがないじゃないですか)に対する強烈なシンパシー。それは観客にキャラクターへの猛烈な愛を持たせ、誰もが応援でき、誰もが共感できる物語となったのだ(それにしてもクレジット後に登場する彼。どこまではぐれ者好きなんだ、ガンは笑)。
まあそんな小難しいことはおいておいて、要は「スター・ウォーズ」+「宇宙からのメッセージ」+「戦略大作戦」+マーベルという足し算の映画が面白くないわけないわけで、そこにもってロケットの小憎らしくも男前な雄姿、グルートのかわいらしさが加わればそりゃもう無敵ってもんです。ほんとここまで笑って泣ける王道の娯楽大作、久しぶりでした。昔はこういう普通の映画がいっぱいあったのになあ…てういのはおっさんのたわごとでしょうかね。
とにもかくにもここまでジェームズ・ガンの個性爆発映画をもその懐におさめてしまうマーベルユニバース、恐るべし。
★★★★