今回は、公立高校の受検制度改革?!について記載します。
図書館で何気なく借りた本「日本の未来、本当に大丈夫なんですか会議」の第3章に「日本の教育 大丈夫なんですか?を考える」として、現在の教育の問題点とその解決策が記載されていました。
その中に「受験制度改革は可能か」という内容がありました。
「学校選択の仕組みを変えると、誰がどの学校を希望して最終的にどこに進学できるかというのは変わり得るんです。」との記載があり、
問題点として「東京であれば都立高には何校も出願できずに、1校に決めなければなりません。」という記載がありました。
同じ様な問題点を記載している、以下の資料から図を借ります。
https://www.mdc.e.u-tokyo.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2021/10/utmd-highschool.pdf
生徒1は高校Aには不合格だったものの、点数的に高校Bに入れるべきではないか?ということです。
「単願制のもとで発生する不公平な状況。生徒 1 は高校 B の合格最低点を満たしており、(高校 A には入学できなかったので)高校 B に入学したいと思っているが、高校 B に入学できない。一方、生徒 2 は生徒 1 よりも点数が低いが高校 B に入学できる。」ということです。
高校Aを選んだので当たり前と言えば当たり前なのですが、本には「不合格になっていまうと、公立高校の場合はリベンジできません。もう私立に行くしかないという状況になっています。ある意味非常にリスクの高い方法です。」と書かれています。
更に「いまのやり方だと、希望している公立高校に点数が届かない場合、経済的に公立しか難しいという家の子どもの場合、不合格になったらまずいので志望校の順位を下げる必要があります。」とも書かれていますが確かにその様な側面はありそうです。
そこで本にはある案が示されています。
「前述の受験制度を改善する方法はもちろんあります。
ぼくの専門でもあるマッチングの研究だと、1校だけ出願するのではなくて、第1希望はA高校、第2希望はB高校、第3希望はC高校と、ランキングつきのリストを提出してもらう仕組みをよく使います。
イメージ的には、点数のいい人からその人の希望する学校に定員に空きがあれば入れていくという感じです。上から順番に入れていくので、席が空いていれば行きたい学校に行けます。空いていなければ、第2希望第3希望に振り分けられます。
そうすると、「自分の点数がいま合格している最低点の子よりも高いにもかかわらずその学校に行けない」というような人は現れません。 逆に言うと、現行のやり方はそれが起こり得るということです。」
複数の志望校を提出し、点数の上位から順々に決めていくやり方のようです。確かに合理的な方法にも見えます。
言葉で書くと簡単なのですが、なかなか難しいロジックで、これは「受入保留アルゴリズム」という方法で、東京大学の進学選択にも実際に使用されているようです。
https://zenkyomu.c.u-tokyo.ac.jp/sentaku/FeaturesOfDeferredAcceptanceAlgorithm_202311.pdf
↑ この資料にロジックが簡単に記載されているので、興味ある方は是非!(これでも結構複雑ですが。。。)
言葉で説明しようと思ったのですが。。。断念。。。
書くのが難しいのは、敗者復活があるからですね。例えば第3志望まで高校を提出できる場合で、志望順位に関わらず点数順に定員まで並べた場合、一見、第一志望で定員内に入れば合格できそうな感じなのですが、ケースによっては最初は定員内に入っていたにも関わらず、後で定員外になってしまう可能性があります。
上のリンク先の例で言うと下記のようなケースです。(定員が2名の場合)
学生3が最初は定員に入っていたものの、学生4が学科2で後から敗退して学科1になった場合です。。。(知りたい方は上のリンク先を。。。)
ただ、これを導入するには、今の制度を変更する必要はありそうです。
例えば、都立の場合、自校作成問題を採用していますが、高校ごとに問題が異なるとそもそもこの方式は採用できません。
他にも内申の加点要素も高校によって異なると採用できないですね。
個人的にハードルが高いと思うのは、制度変更することよりも、私立高校が反対しそうです。
今は、例えば日比谷高校で不合格になった生徒の一定数は併願校(私立)に進学していると思いますが、この方式だと戸山高校には合格できる可能性があり、併願校(私立)に進学する生徒レベルが、高校によっては低くなる可能性がありますね。。。
とは言いつつ、面白い方法ではあるので今回紹介してみました。
これを書いた後に、大阪の入試制度改革の素案のニュースがありました。
複数校志望が取り上げられています。今回紹介した方法ではないかもしれませんが、複数校志望が徐々に採用されていくのかもしれませんね。