猛暑も落ち着き、今日の暑さは何か「子供の頃にこういう夏ってあったよなぁ」と安堵させる感じがありませんでした?公園での草野球の風景などを思い出して、仕事から帰りがてら一瞬ほのぼのした感覚にとらわれていました。ま、一瞬だけですが。総じて私の生活はひどい状況で、そんなことでブログの更新も遅れ気味でございます。

 

暑さと言えば最近は温暖化問題が議論されますが(そうあるべきだと私も思うのですが)、一方で人類が今まで危機に瀕してきたいくつもの「寒冷期」のことを考えると、大雑把にいってこの辺の気温で落ち着いたというのは本当に奇跡的だと思います。人類が生存の術を手に入れる大きな転換点であった毛皮の着用や農耕の開始も、寒冷期に多くの生命が絶える中で一部の個体が編み出したものだそうな。ま、地球も含めて全てが偶然に生まれ、我々も偶然に生きてるというのはたまに思い出してもいいのかもしれませんね。「世界史を変えた新素材」という本を読んでいてそう思いました。

 

さて、たまたま私が陥っている「板挟み」。仕事上よくある状態ですよね。今日はここから入りましょう。「板挟み」は他の日本語で言い換えが難しいことから見ても、かなり重要な日本語概念かと思いますし、それゆえに英語で出てこない時には不快感があると思います。

 

多分、基本は"caught in between (X and Y)"だと思います。「XとY」が文脈上分かっていれば、単に"I'm caught in between"だけでいいと思います。もっと辛い状況を概念的に表すには、"I'm (caught) between a rock and a hard place"なんてのもあります。同じことを「あちらを立てればこちらが立たず」で言う場合は"I"m in a dilemma (of xxx)""I'm facing a dilemma"です。不思議なことに日本語では結構「ジレンマ」が使われるのに、日本人の英語で"dilemma"をあまり聞かない気がします。

 

次に「大げさ」ですが、これも意外に出てこなくて困ることはないでしょうか。

やたら複雑な人事制度、不必要に細かい記入フォーム、大したことない問題を取り立てて大騒ぎ・・・、ビジネスシーンにはよくあります。「誇張」の1:1対応である"exaggerate"で済むときもあれば、どうもしっくりこないこともあり・・・という感じではないでしょうか。また"too much"ではちょっと物足りなさが残るとか。

 

状況次第なのですが、"overengineer (over-engineer)"は私が重宝してる表現の一つです。これは「作り込み過ぎ」「大げさなソリューション」といった場合に使います。一般会話ではマイナーかもしれませんが、ビジネスにおいてはかなりメジャーと言って間違いないと思います。やたら細かいマニュアルやフォーム、スプレッドシートに対して"This is overengineered"。或いは"Don't overengineer. Whatever works is fine."とか。

 

"Over the top"もよく使われます。こちらはoverengineerよりも一般的な「やり過ぎ」「言い過ぎ」と相性が良いように思います。例えば羹に懲りて膾を吹くように当局がやたら厳しい規制を出してきたような場合、"the new regulation is over the top"です。オフィスで誰かが過剰反応したのであれば、"His response was way over the top"。"Go overboard"でもほぼ同じことが表現できます。

 

「(実質以上に)大げさに言う」、あるいは今風の言葉で言えば「盛る」の一部にもなる"play up"もマスターする価値があると思います。これこそExaggerateでも良いのかもしれないのですが、「自分の有利になるように吹聴する」ようなニュアンスが"play up"ならではのものがあるように私は思います。誰かが何かの重要性を殊更に騒ぎ立てる状況について、"He is playing up the importance of xxx to raise the profile of his project"などのように使えます。

 

逆の"play down"も「(重要性などを)矮小化する」ようなときに重宝するので、ぜひ活用してください。"I'm not trying to play down the importance of the new regulation, but given the limitation of resources, we need to avoid over-engineering"といった感じで。

 

念の為申しますと、"exaggerate"がダメなわけではありません。普通に"Don't exaggerate his weakness. You need to be fair in personnel evaluation."などのような使えますし、逆にこのような場合は上で紹介した表現は使えません。 

 

また、「やり過ぎ」に"too much"で良い場合もたくさんあると思います。が、"too much"は広過ぎて焦点がボケると言うか、日常会話っぽくなるので、必要に応じて"excessive"などの大人っぽい言葉も使った方が良いのではないかと思います。例えば"Excessive use of social media is partially responsible for today's political polarization"(SNSの過剰使用が今日の政治分断の一因でもある)の"excessive"を"too much"にするとちょっと品が落ちると言うかインパクトに欠けるような気が私はします。

 

それではまた次回。

いつもお読みいただきありがとうございます。